2014/12/17

カーニバル21号[主張]

 
安倍政権と対決し言論・治安弾圧に抗していこう!
 

 低迷を続ける経済の中で、九〇年代以降の日本国家は極端な財政出動を繰り返し、政府債務を積み上げ続けてきた。とりわけこの十数年間は「国家財政の危機」が唱和され、政府支出の「見直し」が政治課題となってもいた。そのなかで、麻生内閣は大規模な政府支出を実施したが、アメリカのサブプライムローン破綻の結果を糊塗したにすぎず、放漫なバラマキの経済効果は全く見られなかった。ところが安倍政権は、これに輪をかけた支出と金融緩和を実施し、円安効果による金融・株式市場への資金誘導を「アベノミクス」と名付けて喧伝している。
 しかし、これが政府赤字を埋めるだけの財政ファイナンスにすぎず、折から実施された消費税八%への「駆け込み効果」を除くと、極めて一時的な景気浮揚効果しかもたらさなかったことは、もはや明らかだ。実体経済は、十数ヵ月にわたる実質賃金の低下とともに、はっきりとリセッションに至っている。経済活動全体の落ち込みの中で新たな産業の基盤もそぎ落とされ、富裕層からの「トリクルダウン」どころか、課税や福祉削減、雇用不安定化などにより、中間層の崩壊と貧困層からの強盗的な収奪が拡大する一方となっている。そのような中で、安倍はこの年末に衆院選挙を実施し、日銀の「追加金融緩和」の影響で株価が上昇したことのみを「成果」として謳いあげて、マスメディアの囲い込みとその「バンドワゴン」効果で、自民党政権をさらに固めようとしているのだ。
 改憲策動、国家秘密法、集団的自衛権、原発再稼働、沖縄の米軍基地など、安倍ら極右グループがこのかん推進してきた政策は、国内的にも国際的にも緊張を高めている。しかし、こうした「ショック・ドクトリン」的な手法によって、これまで安倍らは独裁的地位を強化してきた。今後はこれに味を占め、さらに警察国家的な強圧政治を重ねていくことが想定される。
 こうした事態を拱手傍観しているわけにはいかない。私たちは、もちろん、それぞれ小さな力量しか持ち合わせはない。しかし、それにもかかわらず、安倍ら極右グループによる強権的支配への憤りが、大きな広がりをもっていることを、さまざまな人々からの声とともに、これまでよりさらに強く確信できている。
 二〇一五年は、大日本帝国の敗戦から七〇年にあたる。またこれは、日韓条約から五〇年という時期でもある。こうしたことそれ自体が意味を持つわけもないが、歴史的な時間の中で、日本国家の過去と現在~未来を見極めていくにあたって、多くの人々と討議を深めていくにあたっての重要な好機たりうるだろう。日本国家の戦争・戦後責任と、戦後補償の問題は、日本政府がその責任をないがしろにする政策や発言を繰り返し、日本国家と民主主義の頽廃が極右勢力の台頭をもたらす中で、ますます先鋭化してきている。安倍ら極右による自民党政権自体が、民間暴力と国家の暴力を伴うヘイト集団であることが、あらゆる点から露わになっている。それは、韓国、朝鮮や中国などの諸国との関係のみならず、アメリカの軍事戦略にとっても、明仁らによる「象徴天皇制」の体制にとっても、重大な暗雲を投げかけるものとなっているのだ。
 昭和天皇裕仁の「昭和天皇実録」が公刊される。すでにその内容の一部は伝えられており、裕仁の戦争責任や、戦後の「君主」としての政治への関与も、その多くは伏せられながら、少しずつ明らかにされていくことになるだろう。明仁と美智子は、安倍政権下で歴史問題が浮上する前にと考えてか、今年は、沖縄や長崎に加え、広島にも「慰霊」を実施した。しかし、このようなふるまいをするほどに、天皇制の責任や、それを宗教で蔽わんとする「慰霊」の政治性は明らかであり、私たちはこれまでもこれからも、この問題を撃ち続けていく。
 一二月二三日の明仁の誕生日は、東京裁判のA級戦犯の死刑執行の日でもある。この歴史を批判しつつ、私たちは今年も集会を持つ。今回は、安倍政権下の言論弾圧、治安弾圧を批判しぬくものとして準備がなされている。多くの結集を呼びかけたい。         
(蝙蝠)

 

2014/12/16

反天皇制運動カーニバル21号 [通巻364号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル21号 [通巻364号]
2014年12月9日発行


主張 ◯  安倍政権と対決し言論・治安弾圧に抗していこう!

動物(あにまる) 談義◯  ・臣民への道?・の巻

状況批評 ◯  辺野古に通って10年─田場祥子

反天ジャーナル ◯

紹介 ◯  「現代のナショナリズムを考える─国はなくとも人は生きる」 

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈56〉 ◯  朝鮮通信使を縁にして集う人びと─太田昌国

皇室情報の〈29〉 ◯  あらためて、象徴天皇制とは何か?─私はなぜ天皇夫婦のオコトバに「感動」などしないのか─天野恵一

野次馬日誌
集会の真相
集会
神田川



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2014/12/03

12・23反天連集会 敗戦70年「平成天皇制」を総括する




【発言】山口正紀(ジャーナリスト)
    井上森(立川自衛隊監視テント村)
    天野恵一(反天皇制運動連絡会)


【日時】2014年12月23日(火・休)13:15開場

【会場】千駄ヶ谷区民会館2F(JR原宿駅/地下鉄北参道駅下車)

【主催】反天皇制運動連絡会(hannten@ten-no.net
 

 

呼びかけ

 3年目を迎えようとしている安倍政権。靖国神社参拝、集団的自衛権容認、秘密保護法、原発再稼働…と、批判の声を無視して、力ずくで「戦後国家」の枠組みを大きく変える道を突き進んでいる。
 一方、ことあるごとに「平和」や「護憲」の姿勢を滲ませることで、安倍のアブナイ政治に懸念を示しているかにみえる天皇。その存在に、安倍政権に反撃する強力な「援軍」を得た気持ちになってしまうような言説もあとを断たない。
 しかし、考えてみよう。天皇という立場が戦後国家の制度(象徴天皇制)に基づいている限り、天皇制は時の政権を正当化することしかできないのだ。なんであれ、天皇を賛美することは、日本国家を賛美することしか意味しない。そして、天皇に対して批判的な言説を口にする余地は、マスコミや警察権力、右翼、そしてこの社会の風潮によって、ますます狭まっている。天皇制が、自由な言論と人権を抑圧し続ける。
 象徴天皇制とは、いったいどういうものであるのか。12月23日の「天皇誕生日」に、今年も天皇制の問題をあらためて考える集会を持つ。ぜひとも、多くのみなさんの参加を。

2014/11/16

カーニバル20号[主張]

   「争いや苦しみの芽を摘む」ってなんじゃい


 一一月七日、反対する多くの市民の声を前に、鹿児島県議会は川内原発の再稼働を求める陳情を賛成多数で採択した。傍聴報告、いち早く出されたFoE Japanやフクロウの会の緊急声明など、すでにインターネット上に流れている。無惨な議会の様子や反対派の声など、ここでは割愛するしかないが、この国の政治家たちの、福島原発事故への無反省と、どれだけの人が苦しもうが一部の人間の利益を優先するという確たる方針だけはよく見て取れる。人を人と思わず、自然をなめきった政財界が結託した阿呆な政策結果に泣かされるのは、やはり人であり自然である。県議会の、政府を信じるというパフォーマンスは、痛すぎる。

 そういった政治家と企業の好き勝手を許すわけにはいかないと、現地と全国の反対運動は、このひどい事態の中でも諦めずに果敢に闘われている。反天連にも老体にむち打ち関わり続けるメンバーがいる。私個人のできることなどないに等しいが、それでも繋がっていくしかないと今さらながら思うのだった。ここで再稼働なればあとは芋づる式、とのひそひそ声も聞こえる。そうはならんぞ、という声とともに歩くしかない。

 この川内原発の件でも、いずれはアキヒト・ミチコがなんらかの言葉を発するような事態がでてくるであろうか。ここ数年の彼らのパフォーマンスは目に余りすぎるが、一〇月二〇日のミチコの誕生日前、記者会質問に答えた恒例のミチコ文書にも、無視できない発言が紛れていた。例年、よく驚きの一発が入っていたりするが、今回もかなりすごい。

 「平和の恩恵に与っている私たち皆が、絶えず平和を志向し、国内外を問わず、争いや苦しみの芽となるものを摘み続ける努力を積み重ねていくことが大切ではないかと考えています」。

 具体的な例など何もない。そういう意味ではさまざまにシチュエーションと立場性を想定して読める一文である。これをまた都合よく解釈して読む人も出てくるのであろうか。ただ、「争いや苦しみの芽となるものを摘み続ける努力」とは、どのようにも解釈できる、といったはなしではない。超権力・最高権威者に一番近いものの発言としては、ぞっとするほど具体的すぎはしないか。

 この発言は、今回の川内原発再稼動をめぐる攻防にも、沖縄の辺野古や高江で闘われている米軍基地建設問題をめぐる攻防にも、靖国をめぐる攻防、国会で進められている集団的自衛権や秘密法の問題、「慰安婦」問題をめぐるNHKや政府が代表する見解と国内外の謝罪と補償を求める声、あるいは武器輸出問題、カジノ容認問題、はたまたオリンピック、TPP、消費税、派遣法、等々……、私たちがすぐに思い起こすすべての課題に関連させて読むことができる。

 「平和」を願い祈る天皇・皇后だから、まさか極右の安倍や戦争国家米国の側にではなく、民衆の側に立った発言に違いない、というのが大方の読み手の「思い」となるのだろうか。そう読めば、摘みとられるのは安倍政権ということになるのだろう。そうでなければ、我々が摘み取られるのか? そこには具体性を押し隠した気持ちの悪い政治のありようが見え隠れするのだ。

 天皇一族の発言をどのように解釈しようと、それは天皇制の政治の土俵に登ることにしかならない。それを望まない私たちにできることは、そういった天皇一族の政治的発言を許さない、という立場をとるだけだ。発言したければ、権力者の上に立つ最高権威者の地位から降りるべし。当たり前のことだ。また、時の権力者たちが超権力・最高権威を政治的に使い、そのためにこそ最高権威者として天皇を護る(雇う)という政治システムが天皇制であることを忘れてはなるまい。しかし、そんなことも理解させないのが「慈愛」の天皇制であり、権威の発言にこそ意味を見出す意識が発想が天皇制を支える。しかも、それは公的な暴力で支えられているのが現実で、天皇制批判を許さない権力と日本のマジョリティ社会がある。およそ民主主義とはかけ離れた社会なのだ。

 反天連では、このようなアキヒト・ミチコ天皇制を批判し抜くための、Xデーを射程に入れた議論を開始していきたいと考えている。天皇一族の護憲発言の真相、それを一歩踏み外したかにも見える今回のミチコ発言、対する人々のさまざまな反応の分析等々、議論することは多い。これまでも同じ課題をずっと議論してきた反天連であるが、もう少し議論の切り口・視点を増やしていく努力、発想の転換、等々を模索したいと考えている。その手始めとして12・23集会も準備を始めている。ぜひとも、お集まりください。詳細はインフォメーション・チラシを!
(桜井大子)
 

2014/11/14

反天皇制運動カーニバル20号 [通巻363号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル20号 [通巻363号]
2014年11月11日発行
 

貝原浩のあの時・この時 ◯  「愛ちゃん」誕生大ハシャギの瞬間

状況批評 ◯  10年後のミッキーたち─平井玄

反天ジャーナル ◯

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈55〉 ◯  四、五世紀の時間を越えて語りかけてくる、小さな本─太田昌国

ネットワーク ◯  被爆70年、『原爆の図』を米国へ ─鶴田雅英
 
野次馬日誌 ◯ 10月1日~11月4日

集会の真相◯  響かせあおう死刑廃止の声2014
         ・朴花城(パクファソン)を学ぶ
         ・「平成」の天皇制ハラスメント

集会情報◯

神田川◯

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2014/11/11

2014 8・15反「靖国」行動 ●報告と抗議声明 ― 安倍戦争国家の「追悼」を許さない!反「靖国」行動実行委員会

 

2014 8・15反「靖国」行動 報告と抗議声明

 8月15日に行なわれた「安倍戦争国家の『追悼』を許さない!8/15反『靖国』行動」は、今回も警察の厳しい規制や右翼らによる執拗な妨害を受けましたが、けが人などを出すことなく、安倍政権への抗議や反靖国、反天皇制の声をあげていくことができました。今回の集会への参加者は220名、デモへの参加者は250名を数えました。厳しい時代状況の中、この集会とデモに参加された皆さん、また、ご支援、ご協力いただいた皆さんに、心からお礼を申し上げます。
 今回の行動に対する警察の警備により、大騒音をかきたてる右翼団体の大型・小型の街宣車については、集会会場やデモ行動から遠ざけた位置で規制されました。しかし、いつものごとく警察の警備行動は、在特会らのレイシストグループにはその街宣の場所を確保するものであり、さらに、右翼団体構成員らがデモ行動につきまとい暴行することに対しては、きわめて恣意的な判断で、ある程度自由にやらせるという警備が実施されました。
 それは、参加者の身体を傷つける暴力を振るうということにたいしては一応止めるものの、宣伝カーへの攻撃や参加者のもっているプラカードの強奪などは黙認するというものでした。こうした矛盾に満ちた警備体制のもと、多くの右翼が、歩道のみならず車道をデモ隊と並走し、ヘイトスピーチを含む暴言を投げ続けました。この場で現実に繰り広げられたのは、宣伝カーに対する器物損壊であり、デモの横断幕や旗竿・プラカードなどの強奪と破壊であり、これら暴行に伴う「殺せ殺せ」という脅迫であり、参加者に掴みかかって衣服を破ったり、蹴りや殴打を加えるなどの直接的な暴力によるデモ行動の妨害でした。さらにこれは、重装備の若い機動隊員をも怯ませるほどの規模で行われる、組織的な公務執行の妨害でもありました。
 そして、このような右翼団体構成員による暴力が、警備の警察官によって一旦は抑止されても、暴行を加えた同一人物が公安の私服警察官と談笑しながらデモに並進し、警備の隙を狙っては形相を変えデモ隊列に向かって突進するという醜悪きわまる光景を、私たちは幾度となく目撃し、また、身をもって体験させられました。
 大阪府警が刑法犯の認知件数を大幅に過少に報告していたという問題が7月末に明らかになっています。このように警察では、事件捜査においても、証拠や調書の扱いにおいても、統計事実の扱いにおいても、恣意的な権力行使と隠蔽が常習化しています。明白な右翼の暴力を見過ごすことも、これと軌を一にする問題だと言えるでしょう。
 私たちのデモもそうですが、近年、数多くの表現や行動が右翼暴力団やネット右翼などのグループによる暴力にさらされています。しかし警察は、その目の前でふるわれている暴力を見過ごして立件しようとせず、かえって、国家に対する異議申し立てを行う運動、右翼の暴力に抗議する運動に対して、厳しい弾圧を実施してきました。公安警察などによる違法なビデオ撮影も、右翼の暴行を撮影するというよりは、一貫してデモ隊の参加者の特定のために行なわれていました。
 これらの事実は、私たちのみならず、右翼や警察官を除くすべての人々においても、警察の行為に不信感を抱かせるものです。8月20日、21日に開催された国連人権高等弁務官事務所における人種差別撤廃委員会においても、レイシストの側を守るかのような警察による権力行使が誤っていることについて、厳しく指弾されています。
 私たちは、右翼暴力団、レイシストグループらによるデモ行動への攻撃を許しません。そして、こうした右翼の暴挙をむしろ勧奨するかのような、公安・警備の警察官の行動を強く弾劾します。

   安倍戦争国家の「追悼」を許さない!反「靖国」行動実行委員会
    http://2014815.blogspot.jp/

2014/10/07

カーニバル19号[主張]

 安倍右翼政権との対決を、さまざまな場所から!


 喧噪の8・15が過ぎると、反天連はひと息つけて、年末の討論集会の準備などにかかる、などと悠長なことがいっていられたのも随分前の話。昨年の九月は東京国体反対闘争があったし、ここ数年はまったくもって「闘争の秋」といった趣き。今年の九月もさまざまな集会や行動に、週末はもちろん平日も、時間を作って参加する日々が続いた。

 いうまでもなく、それは安倍政権の怒濤のような攻撃があるからだ。まったくひどい状況。だが、さまざまな課題として現れるそれらの攻撃に対して、多様な民衆の反撃がつくり出されており、その結果としてこうした日々があるならば、できるかぎりその参加者の一人となって、声を上げていきたいとも思う。

 それにしてもひどい。「多くの人々が傷つき悲しみ、苦しみ、怒りを覚え、日本のイメージは大きく傷ついた。『日本が国ぐるみで性奴隷にした』との、いわれなき中傷がいま世界で行われている。(朝日新聞の)誤報によって作り出された」。一〇月三日の衆院予算委員会で、自民党の政調会長に就任した稲田朋美の質問に答えた安倍の言葉だ。

 稲田は「日本の名誉回復をはかっていく具体策も検討したい」と述べ、「吉田証言が与えた国際的な影響などを検証する新組織を党内に設ける」考えを示したという。

 朝日新聞のほうは、「これまでの慰安婦報道をめぐる記事作成の背景や一部記事の取り消しにいたる経緯、国際社会への報道の影響などについて、弁護士ら有識者七人で構成する第三者委員会で検証」し、報告をまとめるとか。

 私はこの原稿を、四日付けの朝日新聞朝刊を見ながら書いているのだが、その見出しは「予算委で首相『河野談話継承』」である。「多くの人々が傷つき悲しみ、苦しみ、怒りを覚え」というのは、まさに日本がやってきたこと、そしてその責任にほおかむりし続けてきたこと、安倍自身、そうしたことを先頭に立ってやり続けてきたし、いまなおやり続けていること等々にたいしてこそ向けられるべきことだ。この是非の転倒の上に、文言としての「河野談話」の継承を安倍が口にしたからといって、どんな積極的な意味があるのか。朝日が作る第三者委員会も、集団的自衛権行使容認というお手盛りの報告書をまとめた、安保法制懇座長代理の北岡伸一まで入っている。朝日の、集団的自衛権に関する報道に、それは影響しないのか? その他もいかにもの人選である。本号でも、別の論者が触れていることだと思うから、これ以上は書かないが、ここぞとばかりに「朝日バッシング」に邁進する既存大手マスコミも含めて、社会的な言説状況のありかたが、まとめてとんでもない方向へと雪崩を打っているようにしか見えない。

 「日本のイメージは大きく傷ついた」ということにも、よく言うよと呆れるばかりだ。例の、高市早苗や稲田朋美とネオナチ(国家社会主義日本労働者党代表)との、山谷えり子と在特会幹部とのツーショット。「知らなかった」などととぼけているが、はじめから同じ穴の狢だ。そしてなにより、ことあるごとに「従軍慰安婦はなかった」と繰り返し、明白な人権侵害・加害責任を否認し続ける安倍自身の姿勢が、「日本のイメージを傷つけている」ことは、多くの指摘がある通りである。

 明白な加害者の側が被害者めいたふるまいをし、歪んだ感情をそのまま排泄するというこの醜悪そのものの姿は、まさに八月に私たちが目にした右翼たちと同じものだし、むしろそうした連中の親玉によって、現在の政権中枢は占拠されているのである。私たちの運動の課題は大きい。

 昨年末の安倍首相の靖国参拝に対して、大阪に続いて四月二一日に提訴した東京の靖国訴訟は、九月二二日に第一回の口頭弁論が行われた。私も傍聴したが、原告代表の関千恵子さんと在韓原告の金敏詰(キム・ミンチョル)さんの気持ちのこもった意見陳述、弁護団の力強い訴状陳述がなされた。この裁判に対して、靖国派の右翼たちが東京・大阪でそれぞれ「補助参加」の申し立てを申請している。

 それを要求している「英霊を被告にして委員会」(会の名前はやしきたかじんのパロディらしい)は、鴻池祥肇、津川雅彦、金美齢、竹田恒泰、加瀬英明、 湯澤貞……といった面々をずらりとそろえているが、関西でその事務局的役割を担っているのが、さきの山谷とのツーショットの人物であるし、また、彼らの代理人として今回の口頭弁論にも参加していた、おなじみの弁護士・徳永信一とともに、かつて小泉靖国参拝違憲訴訟において、靖国応援団として補助参加を申し立てた弁護士の一人が稲田朋美である。

 こうした状況の中で、国・安倍・靖国神社を直接相手取った裁判が本格的に始まった。当然にも右翼たちは、大量の傍聴希望者を動員し、この訴訟そのものを妨害しようとしている。次回口頭弁論(第二回)は一二月一日の予定だ。この裁判支援のためにも、ぜひ東京地裁に集まろう!
(北野誉)
 

反天皇制運動カーニバル19号 [通巻362号]



反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル19号 [通巻362号]
2014年10月7日発行


主張 ◯ 安倍右翼政権との対決を、さまざまな場所から!

動物(あにまる) 談義◯ 「昭和天皇実録」?の巻

状況批評 ◯ 朝日新聞への攻撃そしてNHK会長問題 ─永田浩三

反天ジャーナル ◯

小田原紀雄さんを悼む ◯  ─高橋寿臣

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈54〉 ◯ 「慰安婦」問題を語る歴史的射程(その2) ─太田昌国

皇室情報の〈28〉 ◯ 象徴(人間)天皇の大御心への「感動」という物語─池澤夏樹批判 ─天野恵一

野次馬日誌◯

集会の真相


集会情報

神田川


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2014/09/10

カーニバル18号[主張]

  「天皇制と民主主義」公に議論できる場をつくり出したい!


 九月三日、第二次安倍改造内閣が発足した。主要閣僚六人を留任させ、新たに加わったメンバーも「戦後レジームからの脱却」をめざす安倍と信条を同じくする者たちだ。大半が日本会議のメンバーである。
  虚しくなるばかりの言葉を連ねるだけではなく、平和主義や人権についてその原理を語り、高尚な原稿を書きたいのだが、いかんせん今の私の力量ではそれは望めない。この歴史修正主義者たちのことを直接取り上げるしかない。
 新たな政調会長となった稲田朋美は、毎年足しげく靖国神社を参拝している。河野談話に対して、「虚偽で自分の国の名誉が失墜している。名誉回復のために政府も与党も、言論人もマスコミもがんばっていく必要がある」「私たちの先人(が作った国=筆者)が、犯罪国家であると流布されている現状は変えていく」と述べる。その主張は、白昼堂々ヘイトスピーチを繰り返し「殺せ!殺せ!」と私たちのデモの沿道で連呼する在特会とまったく同質のものである。
 敗戦から六九年たった現在、私たちはこのような信条を持つ政権と対峙している。帝国主義を肯定するような言説が当たり前のような空気は息苦しく、窒息しそうである。それにしても、敗戦を経験し、六〇年代の運動、福島原発事故と、何度も転換する機会があったにも関わらず、途切れることなく継承される国家体制を問うことをしない不気味さ。それはいったいどういうことなのだろうか?
 それでも、原発再稼働をはじめ、秘密保護法、集団的自衛権公使に反対する民意が半数を超えていることは、かすかな希望といえよう。
  しかし、「デモはテロ」と発言した石破が地方創生相。ヘイトスピーチと民主主義の正当な手段としての抗議行動をまったく同列視し、国会周辺デモを規制すると発言した後、さすがに訂正した高市は総務相。こういう二人が入閣する内閣とは、民意に耳を傾ける姿勢など微塵もないということである。麻生も以前「ナチスをまねて」と発言したが、未だに留任している。
 「切れ目のない安全保障法制の整備を加速させる」そのための内閣、「実行、実現内閣」と安倍は名づけたというが、民意の表明を規制の対象としか見ることができず、独断でやりたいようにやるその手法を「独裁」と呼ぶのではないのか。「積極的平和主義」という言葉にしても、本来は、戦争だけではなく差別や貧困のない社会をめざした考えを指すという。言葉に対して真逆な解釈を平気で行うこの男の図々しさ、そして、それが許されるほどこの社会は病んでいる。 沖縄辺野古への基地移設準備は暴力的に進められている。川内原発再稼働の新規制審査も、火山学者の見解やパブコメに寄せられた多くの人々の意見をまったく無視した形で、合格の判断が下されようとしている。これほど危険な地盤の上に建つ原発を再稼働するなど信じがたいことだ。この暴挙を絶対に許すわけにはいかない。
  このような極右安倍政権の対極として、「民主主義者」として天皇夫婦を讃える言論が頻繁に聞かれるようになった。天皇制を議論する自由は公にはない。反天皇を唱える者は常に暴力に脅かされる。不自由を強いられる。私たちはその体験を通して問うのである。暴力と一体の制度が果たして「民主的」といえるのか。その制度を体現する天皇個人とは?
  私は議論したい。様々な意見を出し合って思考したい。けれども、この国ではそれは許されない。民主主義を良しとし、天皇夫婦がそれを体現しているとするなら、まず民主主義の原理から考えることが、言論者としての責任だと思う。天皇を個人として讃美することは、結局のところ天皇制の強化に向かう。極右政権批判が天皇讃美に直結することの大きな問題性。そこに生じる矛盾を突く言葉を、私たちは作り出したいと思う。そうでなければ、あまりにも貧しく悲しいこの国の戦後民主主義の帰結である。
  「戦争のできる国」の姿が具体性を帯びてきた今年、「安倍戦争国家の『追悼』を許さない!8・15反『靖国』行動」には、二五〇人もの仲間が集会に集まってくれた(集会報告参照)。その後のデモに対する右翼の暴力は凄まじいものであった。それに対して、私たちは弁護士も交えて反撃の準備を進めている。
 「天皇制と暴力は一体のものであることを、言葉をもって明らかにするぞ!」と「殺せ 殺せ!」の罵声を浴びながら固く心に誓ったあの日。暑い夏が終わろうとしている。しかし!運動は続くのだぞ。                   (鰐沢桃子)

反天皇制運動カーニバル18号 [通巻361号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル18号 [通巻361号]
2014年9月9日発行


主張  「天皇制と民主主義」公に議論できる場をつくりだしたい!

貝原浩のあの時・この時  【2001年10月】 アフガニスタン戦争始まる

状況批評  ガザ攻撃をとおして見えた「イスラエリゼーション」─田浪亜央江

反天ジャーナル

書評  一人ひとりの「死」の具体性と国家の責任を問い続けるために ─山田昭次『全国戦没者追悼式批判』─蝙蝠

ネットワーク   ヘイトクライムは誰をなぜ憎悪しているのか─藤田五郎

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈53〉  「慰安婦」問題を語る歴史的射程(その1)─太田昌国

野次馬日誌◉ 8月1日~9月3日

 集会の真相
  • 2014年平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動         
  • 黙祷と国家を考える 8・15と3・11
  • 安倍戦争国家の「追悼」を許さない!反「靖国」行動
 

集会情報

神田川


 
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2014/08/18

2014年8月8日に東京都公安委員会に提出した、「反『昭和の日』行動実行委員会」による「苦情申出書」

今回の8月15日の行動に対する、右翼暴力団らの妨害はすさまじいものでした。
私たちは、この8月15日の行動にあたり、事前に警察に対して不当に基本的人権を侵害することのないよう申し入れを行い、あわせて、本年4月29日に新宿で行われた「象徴天皇制の戦争・植民地支配責任を撃つ!反『昭和の日』行動」における、右翼暴力団らのデモ隊に対する暴行を是認するかのごとき不当な警備について、苦情申出を行なっています。
今回の右翼暴力団の悪質な攻撃や、それを許す警察の警備態勢に対する抗議を、どのように対応するかについては、現在検討中ですが、以下に、8月8日に東京都公安委員会に向けて提出した、「反『昭和の日』行動実行委員会」による「苦情申出書」を掲載します。



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苦情申出書

東京都公安委員会御中
2014年08月08日
2014年4月29日に、新宿区柏木公園を出発地点とし、同公園を解散地としたデモ行動に対する、警視庁新宿警察署・警視庁四谷警察署の警備課と、警視庁警備部および警視庁公安部による規制に関して、警察法第79条に基づき苦情申出を行う。

1、苦情申出人の氏名
反「昭和の日」行動実行委員会
実行委員 ××××××
東京都××区××××町××-××-×× ×××××
電話/Fax:××(××××)××××
2、苦情申出の原因たる職務執行の日時、場所とその概要について
年月日:2014年4月29日
時間: デモ行動 同日15時05分~16時15分ころ
この日、東京都新宿区の柏木公園に集合して「象徴天皇制の戦争・植民地支配責任を撃つ!反『昭和の日』行動」によるデモ行動が、同実行委員会により実施された。
同日の行動には、子どもや老人も参加していた。そして、このことは、申出人らが事前に新宿警察署に赴いて、デモに伴う道路使用許可申請を提出した際に、警備担当者らに対し明確に述べており、警備担当者も知るところであった。
それにもかかわらず、当日の警察官による警備は厳しいものであり、デモ行動への参加者は、行動の最初から最後まで警察官の強い規制に身をさらされ、その思想・信条に基づいた表現が制約された。これに加え、警察官は、指揮官車両や歩道上から、参加者の顔や全身の写真や動画を撮影し続けた。
こうした不適切な警備はこれまでに繰り返されており、デモ行動の申請にあたって、別紙資料を作成し、申し入れを行っているので、これを末尾に添付する。
3、苦情申出の原因たる職務執行による不利益と、これにかかわる警察職員の執務の問題点について
この日の苦情申出人らの行動に対し、「警備」の名目のもとに警察官が行った職務執行は、日本国憲法に基づく個人の自由や権利を著しく損なうものであって許されない。
警備・公安警察による不適切な警備行動は、右翼暴力団による暴行や妨害を助長するものであり、これは速やかに糺されねばならない。
近年、右翼団体の排外主義的な政治活動が猖獗をきわめ、それとともに右翼暴力団の構成員らによって、集会やデモの参加者が直接的な暴力にさらされる事態も頻発している。
昨年2013年の4月29日の行動において、苦情申出人らを含む実行委員会は、当初考えていたコース上で、右翼街宣車が定期的に街宣をしているという情報を得たので、参加者の安全を守りつつデモを実施するため、デモの進路を大幅に変更した。しかし、その警備担当者の情報に示唆されて変更したルートのうち、新宿駅周辺においては、ほぼ全面にわたり、あらかじめ右翼暴力団らの大型街宣車が配置されており、デモ行動は強く規制され、アピールの声はかき消され、行動の目的の達成は大きく損なわれた。新宿周辺は、警備当局の意向により、むしろ右翼暴力団の大騒音の街宣の場と変えられたのであった。
このような事実に基づき、今回の行動においては、右翼暴力団の街宣車が苦情申出人らを含む実行委員会の行動を妨害することのないように、事前に強く要請した。しかし、今回の行動においては、右翼暴力団の街宣車こそデモの進路から遠ざけられたものの、右翼団体の構成員らは拡声器等を手にしつつ、デモの最初から解散地に至るまで追尾し、妨害を重ねた。
右翼のあるものは、デモのルートに木刀らしき物体を隠しておき、デモ隊列が通りかかるや、それを手にして襲撃まで企てた。今回は警備の警察官により寸前で抑止されたが、これまでにも、例えば2011年8月には、右翼がナイフを持って襲撃を企てたという前例があり、右翼によるデモ行動への参加者に対する暴力が、どのような形で行使されるかは、もはや予断を許さない事態にある。
このような現実に際して、警察により実施されている警備は、集会やデモを憲法の理念に基づいて保障するものではない。都公安条例に関する最高裁判決は、現在に至るまで続く、警備当局者による恣意的な集団行動の規制を容認した点で、民主主義を実質的に大きく損なっていると考えるが、その判決においても、「公共の安寧の保持を口実にして平穏で秩序ある集団行動まで抑圧することのないよう極力戒心すべき」としている。それにもかかわらず警備当局者は、「右翼にも表現の自由がある」とうそぶき、右翼団体構成員が「殺すぞ」などの脅迫と暴力を伴いつつ、歩道や車道上でほしいままに実質的な示威行進と妨害行動をすることを平然と許しながら、苦情申出人らを含む実行委員会による正当なデモ行動を強く抑制し続けている。
表現の自由などの人権は、憲法をはじめとする制度的保障はもちろんだが、その実質的な保障を前提としつつ、社会における具体的な営為によってこそ実現される。苦情申出人らを含む実行委員会による主張と行動は、まさにこれを正しく実現することを求めるものであり、右翼暴力団による暴行を拱手傍観しつつ、それを口実としてひとびとの表現と行動を圧殺しようとする警備は、不法に人権を蹂躙するものに他ならない。公安警察官らによるビデオ撮影も、そのほとんどは右翼による妨害行動を撮影するのではなく、デモ行動の参加者の監視のためにのみ用いられている。これもまた、行動参加者に対する脅迫や萎縮効果をこそ意図したものであり、肖像権を侵害し表現の自由を侵すものである。
警視庁警備部、公安部、そして所轄の警察署による、このような誤った権力行使は、決して繰り返されてはならない。苦情申出人らを含む実行委員会は、思想・信条の自由、表現の自由という権利を実現し、街頭で安全に行使していくために、またそのことを前提に集まってくる参加者の安全を守るために、東京都公安委員会に対し、再び強く要請する。
上記の事態は、憲法上の権利や自由が十分に保障された状況とはほど遠いものであった。それは、警察による適法な警備がなされていなかったことに他ならないと考える。これらについて、適切な調査と改善が早急になされることを求める。
以上、苦情を申出るものである。


別紙
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申入書
警視庁警備部長 殿
警視庁新宿警察署長 殿
警視庁四谷警察署長 殿
反安保実行委員会
反「昭和の日」行動実行委員会
 私たち反安保実行委員会と反「昭和の日」行動実行委員会は、4月29日、「象徴天皇制の戦争・植民地支配責任を撃つ!4・29反『昭和の日』行動」を行うにあたり、これまで私たちが主催したデモの経験を踏まえ、4月29日当日の貴職による警備について、申し入れます。
 近年、右翼団体の排外主義的な政治活動が猖獗をきわめ、それとともに右翼暴力団の構成員らによって、集会やデモの参加者が直接的な暴力にさらされる事態も頻発しています。
 このような現実に際して、警察により実施される警備は、集会やデモを憲法の理念に基づいて保障するものではありません。それどころか、右翼暴力団が参加者に対してほしいままの暴行をなすことや、轟音による妨害行為を行うことを勧めているに等しいものであり、およそ表現の自由を認める法治国家とは言えない事態です。
 昨年の4月29日には、警備当局・担当者の意向を最大限に斟酌し、デモの進路を大幅に変更しました。しかし、警備担当者に示唆されて変更したルートである新宿中央通りから西新宿二丁目、さらに甲州街道のほぼ全面にわたり、あらかじめ右翼暴力団らの大型街宣車が配置されており、デモ行動は強く規制され、アピールの声はかき消され、行動の目的の達成は大きく損なわれました。新宿周辺が、警備当局の意向により、むしろ右翼暴力団の街宣の場と変えられたことに、私たちは強く抗議するものです。
 集会や集団示威行動においては、まずなによりも参加者の主体的な意志や表現が尊重されねばなりません。しかし、右翼や道路交通等を警備の名目としながら、警察による警備が、集会やデモに対してのみきわめて抑圧的に実施される状況が拡大しています。昨年4月29日の事態のように、右翼団体のかきたてる騒音と警察官らの拡声器により、集会やデモの表現が圧殺されるような事態が頻発しています。
 私たちはこのような事態を繰り返すことなく、思想・信条の自由、表現の自由という権利を街頭で安全に行使していくために、またそのことを前提に集まってくる参加者の安全を守るために、再度、貴職に対し、以下を強く要請します。
1.右翼のデモ参加者に対する威嚇・妨害行為に対して、警察は厳正に当たること
 ・右翼に実行委員会のいかなる情報も流さないこと。
 ・右翼の街宣車をデモコースに配置させないこと。
 ・右翼団体構成員によるデモ参加者へのつきまといや暴行をさせないこと。
2.集会会場付近での参加者の監視行動や、デモ時、デモ参加者の写真やビデオ撮影を行わないこと。
 デモ隊前後の警察車両からビデオ撮影をしないこと。肖像権侵害は違法行為であるとの認識を周知徹底すること。
3.機動隊の指揮官車を、デモ宣伝カーの前につけないこと
 デモを指揮するのは警察ではないという認識を周知徹底すること。指揮官車はデモを監視しているようにしか受け取れない。
4.デモ参加者への規制および大音量でデモの示威行為を妨害しないこと
 早く歩くように指示したり、デモの後ろから押したりしないこと。不当に左右から挟み込んだり圧縮しないこと。また、大音量によるデモ行進の告知をしないこと。デモ行進は一目瞭然であって告知は不要であり、大音量のアナウンスはデモの示威行為を妨害している。
以上

2014/08/05

カーニバル17号[主張]

安倍政権の戦争政策を許さず  8.15 反「靖国」行動をともにつくろう!


  八月一五日の「全国戦没者追悼式」は、今年もまた天皇皇后が出席する国家儀礼として政府主催により開催される予定となっている。

 国家による儀式、なかんずく「慰霊」や「追悼」の儀式は、政治や経済、軍事などの政策の具体的なありようや、誤った政策による害悪の大きさに比べると、その役割は小さいものとしばしば見做される。しかし、それが国家のイデオロギーのフレームを明確に指し示すものとして重視されるべきであることを、私たちはずっと主張してきた。

 山田昭次さんの近著「全国戦没者追悼式批判〜軍事大国化への布石と遺族の苦悩」にも指摘されているが、昨年の安倍による「式辞」は、安倍の第一次政権時のものと比較してすら大きく異なるものだった。

 このかんの首相の式辞には「アジアの諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」ことへの「反省」と「哀悼」、さらに「不戦の誓い」を意味する内容が必ず言及されており、それは、天皇の「お言葉」なる式辞が、ほぼ判で押されたように固定的なものとなっていることに対応するものでもあった。

 ところが、昨年の安倍の「式辞」では、そのくだりがごっそりと削除された。これに代わり、この男の口から吐かれると虫唾が走るので、「美辞麗句」と形容するのもおぞましく感じる種類のコトバがずらずらと並べられ、わずか六百数十文字のうち、「御霊」という神道用語を用いたフレーズは、これまでの一個から四個へと大盛りになった。そして、昨年末には多くの人々や各国の厳しい批判をも顧みず、靖国神社への参拝を強行したのである。

 これらはもちろん、安倍政権が現行憲法の全面的な改悪を意図し、国家秘密法などの制定や「集団的自衛権」行使に関する解釈改憲などの立憲主義の破壊、武器輸出や沖縄の軍事基地建設など、あらゆる面で軍事国家化の政策を推進していることに、完全に対応しているものであることは誰の目にも明白だ。

 さらに、数々の経済政策や税制の改悪は、個々の経済政策のもたらす「効果」すらも相互に矛盾した支離滅裂な様相を示しており、企業活動の多くの側面におけるいっそうの「ブラック」化を進め、セーフティネットをずたずたにして、ひとの生存権をも否定しているものとなっている。

 しかし、安倍政権やその周辺のグループによる教化宣伝・宣撫政策は、これらの事実や、政権に対する批判を圧殺する目的で、きわめておぞましいものとなっている。かつて「女性国際戦犯法廷」の番組への介入で味を占めた安倍らは、各メディアの首脳に対する接待や利益誘導、NHK会長人事のゴリ押しにはじまり、ネット企業やメディアへの統制を強化している。「国家秘密法」や「集団的自衛権」など大きい政治対立をはらんだ報道においては、つねに首相や閣僚の発言のみが長時間流されるという異常な事態が続くが、七月三日の「クローズアップ現代」などでは、番組放映後にも菅幹事長から直接的な圧力がなされたという。歴史認識などの面でも、日本会議や地方議員を通じ、極右を煽り立て自治体や学校に圧力をかけるなどして「改竄」や「自粛」をねらう、各地での妄動も数多く報告されている。

 いま、イスラエルの右翼議員は「パレスチナの母親を皆殺しにせよ」と叫び、ガザでは連日にわたり正規軍による大虐殺がなされている。安倍政権の進める軍事政策は、疑いもなく、アメリカの「敵」を殺すと同時に、自衛隊の兵士の戦闘による死を予定するものとなった。その死者を「靖国」の「神」として「祀る」ことも安倍らはもくろんでいるだろう。私たちを含む実行委員会による、反「靖国」の闘いは、こうした状況下で、微力ながらもこれまで以上に大きい課題を担っていかなければならない。今年も警察や右翼による激しい攻撃が予想されるが、これに屈するわけにはいかない。安倍政権の戦争政策にわずかずつでも抵抗し、国家の暴力や欺瞞を打ち破る闘いをつくっていこう。
(蝙蝠)

2014/07/22

安倍戦争国家の「追悼」を許さない ! 8.15反「靖国」行動 集会とデモへ!!

 
安倍戦争国家の「追悼」を許さない ! 
8.15反「靖国」行動 
集会とデモ

▼日時
2014年8月15日(金)
13時15分開場

集会後デモ
 
▼場所
全水道会館4F (JRほか 水道橋駅2分)
http://www.mizujoho.com/front/bin/ptlist.phtml?Category=9177

▼発言
北村小夜(元教員)・天野恵一(実行委)
 
 
▼7月1日、安倍政権は「集団的自衛権の行使」を合憲と解釈し直す閣議決定をし、本格的な戦争国家となることを宣言した。憲法も国会も無視したこの暴挙は、瀕死の状態にある「平和憲法」に最終的な一撃を加えた。安倍政権は、昨年12月に強行した安倍靖国参拝で侵略戦争と植民地支配の歴史を肯定し、今回の解釈改憲閣議決定で近い将来の戦争をも承認したのだ。そして、同時に進行していることは秘密法や沖縄辺野古・高江への新基地建設といった、具体的な戦争準備である。

▼このような状況下、また8月15日がやってくる。この日は、1945年、当時の天皇裕仁が連合軍に降伏したことをラジオで告げた日だが、後日「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とされた。しかし、このような国家が遂行する「全国戦没者追悼式」や靖国参拝が「平和」にもとづくわけがない。安倍の言う「平和」が戦争でしかないことを、私たちは声を大にして訴えていきたい。

▼基地建設反対の声も、戦争反対、「靖国」反対の声も、暴力的に押し込められる。一方で天皇一族は自らの歴史的責任を棚上げにして、戦争の犯罪性・暴力性をあたかも相殺できるかのごとく「慰霊・追悼」を繰り返す。このように一体化した暴力と欺瞞の一切合切を批判し抜き、この政治状況に立ち向かうための論理と行動をつくり出していこう。

 8.15の集会とデモへの参加を! ともに!


安倍戦争国家の「追悼」 を許さない! 反「靖国」行動実行員会 http://2014815.blogspot.jp/
振替●00110-3-4429[ゴメンだ ! 共同行動]
 
【呼びかけ団体】
アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会
 

2014/07/16

7・21 安倍戦争国家の「追悼」を許さない! 討論集会


▼日時  
2014年7月21日(月・休) 13時15分開場
 
▼場所 
笹塚区民会館 (京王新線「笹塚駅」徒歩8分)

▼問題提起
日本戦没学生記念会(わだつみ会)(高橋武智)
日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(荒井克浩)
靖国解体企画(村上らっぱ)
反「靖国」行動実行委(北野誉)  

日本政府はサンフランシスコ講和条約発効直後の1952年5月2日、第1回「全国戦没者追悼式」を開催し、1963年以降、8月15日を定例日とした。8月15日とは、1945年のこの日、植民地主義・侵略戦争の最高責任者であった昭和天皇裕仁がポツダム宣言受諾をラジオで公表した日でしかない。1982年、政府はこの日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」と閣議決定・意味づけし、マスコミも毎年この前後に「戦争と平和」をテーマに報道を繰り返す。だが、靖国神社およびその界隈には、「平和」とはほど遠い空気が充満している。
 今年もその8月15日がやってくる。戦争をするための法整備に明け暮れる国家が、「戦没者」を追悼することの意味を、再度問いたださなくてはならない。
 例年8.15には、複数のグループ・団体が反戦や平和を訴える行動をそれぞれに続けてきた。ここ10年以上、「靖国神社」が大きな焦点ともなっている。その行動をつくり出し、参加してきた人々に集まっていただき、8.15を捉え返し、「靖国神社」批判をどのように出していくのか、意見を出し共有しあう場をつくっていきたい。
そして、その議論の成果を8.15行動へと繋げていきたい。
 戦争へ戦争へと突き進む安倍政権下の8.15行動をつくり出すための討論集会です。続く8.15行動ともども、参加を呼びかけます。歴史に連なるこの問題への取り組みにぜひご参加を!


●「全国戦没者追悼式」:以下、すべて閣議決定による
1952年5月2日 第1回「全国戦没者追悼式」を、新宿御苑にて開催
1959年3月28日 第2回を千鳥ヶ淵戦没者墓苑にて開催
1963年8月15日 第3回を日比谷公会堂にて開催
1964年8月15日 第4回を靖国神社にて開催
1965年8月15日 第5回を日本武道館にて開催
     *以降は、8月15日に武道館にて開催が続く


主催: 安倍戦争国家の「追悼」 を許さない! 反「靖国」行動実行委員会
http://2014815.blogspot.jp/
 振替●00110-3-4429[ゴメンだ ! 共同行動]

【呼びかけ団体】
アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2014/07/15

「公安は天皇のための尾行をやめろ!」共同声明報告

 
「公安は天皇のための尾行をやめろ!」共同声明へのご賛同ありがとうございました。おかげさまで同声明には、171団体・867名(計1038)ものご賛同をいただきました。
 
公安のつきまといを止めさせました!
 共同声明運動をはじめた5月以降、公安警察は目に見える形でのAさんのつきまとい・嫌がらせをやめました。公安の人権侵害を許さないたくさんの声が集まった力です!
 
●二度と、誰も、被害者にさせないために
 意思表示をする人々への、同様のつきまとい・嫌がらせは全国で起きています。二度と、誰も、こんな権力犯罪の被害者にさせないために、共に声をあげていきましょう!(2014/7/8)
【公安は天皇のための尾行をやめろ!実行委員会】




公安は天皇のための尾行をやめろ!共同声明

市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバーであるAさんは、2013年10月から半年以上、公安刑事の執拗な尾行・嫌がらせを受けています。深刻な人権侵害であり、警視庁に即刻中止するように求めます。


●尾行の発端となった天皇来訪に対する抗議の意思表示
 尾行の発端となったのは、昨年10月、国民体育大会の競技観戦のためにAさんの暮らす町に天皇夫妻が訪れたことでした。市は広報で市民に「奉送迎」を呼びかけ、大量の日の丸小旗を配布しました。
 Aさんは「全ての市民が天皇を歓迎しているわけではない」ことを示そうと、日の丸を振る市民の傍らで、天皇の車に向けて「もう来るな」と書いた小さな布を掲げました。抗議場所はガードレールのある歩道上であり、車列を妨害したわけでもありません。憲法で保障された最低限ともいえる意思表示でした。   


●天皇移動日のつきまとい・嫌がらせ行為の数々
 その数日後、突如公安刑事の尾行が始まりました。尾行は、天皇が皇居を離れ、視察に訪れたり式典に参加する日に行われています。尾行の日数は計25日以上に及び、自宅付近・職場・テント村の活動現場などAさんは行く先々で複数の公安刑事につきまとわれています。
刑事は隠れることもなく、Aさんに数メートルまで接近したり、職場のドア越しに大声を出すといった嫌がらせをしています。「あんなことしたんだからずっとつきまとってやる」といった脅迫発言も行っています。
 2014年3月からは、立川テント村の活動にも尾行刑事が登場し、嫌がらせはエスカレートしています。


●公安警察は尾行をやめろ!表現の自由・民主主義を獲得しよう!
これらの行為は、天皇への抗議活動に対する報復的・懲罰的なものとして行われている事は明白です。
 これまでも、天皇の行く先々で同様のことが行われてきました。国体や全国植樹祭といった天皇行事が行われるたびに、公安警察による嫌がらせや、微罪をでっち上げて逮捕する予防弾圧が繰り返されてきました。
「不敬罪」の時代ではありません。天皇制に批判的な表現は、天皇の前でも当然保障されるべきです。
私たちは「天皇に関することはしょうがない」という意識を乗り越えて、人権と民主主義のために、Aさんに対する尾行・嫌がらせを即刻やめるよう警視庁公安部に強く要求します。
警視庁はAさんに対する尾行・嫌がらせを即刻やめろ!警察は天皇のための人権侵害を二度と行うな!


2014年7月2日 賛同発表
呼びかけ:立川自衛隊監視テント村/やってる場合か!「スポーツ祭東京」実行委員会/三多摩労働者法律センター


団体賛同・171団体              
あ行)旭日ダイヤ闘争支援共闘会議/アジア連帯講座/麻生邸リアリティツアー事件国家賠償請求訴訟団/ATTAC Japan(首都圏)/アルバイト・派遣・パート非正規等労働組合/いのちと未来をみつめるハナミズキの会/茨城不安定労働組合/うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会/映画『侵略』上映委員会/大阪此花発!STOPがれき近畿ネットワーク/沖縄とむすぶ市民行動・福岡 
か行)春日井学校労働者組合/学校事務職員労働組合神奈川/関西争議交流会/関西大弾圧救援会/関西大弾圧救援会・東京の会/関西単一労働組合黒川乳業分会/同組合・大阪大学分会/同組合・兵庫県立こども病院分会/管理ネット(kanri.net)/北九州自立連帯労働組合/救援連絡センター/教育があぶない!北摂市民ネットワーク/教育社労働組合/教育社闘争支援連帯会議/共謀罪新設反対国際共同署名運動/キリスト教事業所連帯合同労働組合/くにたち駅前反戦/刑法改悪阻止!保安処分粉砕!全都労働者実行委員会/ケミカルプリント闘争を共に闘う会/研究所テオリア/原発イヤだ!府中/言論・表現の自由を守る会/航思社/公安警察解体!反弾圧・反警察運動/子どもの未来を望み見る会/神戸高速ユニオン
さ行)三多摩合同労組/同組合ケミカルプリント分会/同組合・三信自動車/同組合・中大生協/同組合・東海技研分会/三多摩労組争議団連絡会議/死刑廃止・タンポポの会/しずおか改憲阻止の会/静岡県学校労働者組合/自治体労働者組合・杉並/12・6秘密法国会傍聴者弾圧救援会/出版労働者連帯会議/女性と天皇制研究会/新空港反対東灘区住民の会/人権平和・浜松/STOP原子力★関電包囲行動/ス労自主・京浜支部連合会/西部地区労働者共闘会議/精神障害者カワセミの会/全関東単一労働組合/全関東単一労働組合武谷病院分会/戦争に協力しない!させない!練馬アクション/全国金属機械労働組合港合同/同組合・昌一金属分会/同組合・協和金属分会/同組合・田中機械分会/同組合・矢賀製作分会/同組合・大熊鉄工分会/同組合・協和機工分会/同組合・港高周波分会/同組合・関西警備分会/同組合・南労会分会/同組合・ネグロス電工分会/同組合・アートアド分会/同組合・サンコー分会/同組合・イヅツヤ分会/同組合・NRB分会/同組合・コーヨー急送分会/同組合・大輪産業分会/同組合・富士加工分会/同組合・レインボー分会/全国労働委員会対策ネット/戦時下の現在を考える講座/争議団連絡会議
た行)大道測量闘争支援共闘会議/第27回府中平和まつり実行委員会/たがわ生協労働組合/多摩あおば病院労働組合/地域共闘交流会/千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」/中大生協・吉田さんを支える会/中部地区労働者交流会/辻つじ反戦ながし/ディストピアTOKYO/天皇制に問題あり!福岡連絡会/天皇制を考える会:静岡/天皇問題を考える市民ネットワーク(大分)/東京地労委対策会議/東京中部地域労働者組合/同組合・旭ダイヤ/同組合・論創社/同組合・東邦エンタープライズ分会/同組合・酒巻商店対策会議/同組合・中外臨床研究センター対策会議/同組合・東京中央サトー対策会議/同組合・エヌアイシーソフト対策会議/同組合・スミダ電機対策会議/同組合・冨士屋スーパー/東京南部労働者組合/同組合・新日東電化/同組合・二葉/同組合・トラストパーク/同組合・ユニック/同組合・HNC/同組合・太陽製薬/同組合・鈴木さん闘争/東京ふじせ企画労働組合
な・は行)並木道の会/南部地区労働者交流会/日本冤罪・死刑研究所/日本キリスト教団岩見沢教会教会役員会/排外主義にNO!福岡/「バスストップから基地ストップ」の会/破防法・組対法に反対する共同行動/反安保実行委員会/反改憲運動通信/反原発たねがしま/反戦反天皇制労働者ネットワーク・関東/反戦平和熊毛/反弾圧研究会/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会/福岡グリーンコープ自立労働組合/福岡市民救援会/福岡地区合同労働組合/ふじせ闘争支援共闘会議/ふちう歴史苦楽部/府中緊急派遣村/府中緊急派遣村労働組合/仏教徒非戦の会・福岡/フリーター全般労働組合/フリーターユニオン福岡/平和をあきらめない人々のネットワーク・福岡/北部労働者法律センター
ま・や行)未来を考える会/未来を紡ぐ市民の会・種子島/みらくる∞未来を創るにんげんアクション(関西)/明治大学生活協同組合労働組合/明大生協闘争支援共闘会議/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/山田書院労働組合/山田書院闘争支援連絡会議/有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会/有事立法に反対する府中市民の会/ユニオン東京合同/横浜生活保護利用者の会/4・29『昭和の日』に考える集会・実行委員会
わ・ら行)連帯労働者組合/同組合・杉並/同組合・ジャレコ/同組合・大道測量/同組合・ファミリーマート/同組合・ライフエイド/同組合・不二出版/同組合・板橋区パート/同組合・武蔵学園/同組合・富士テレコム/同組合・東洋化学/同組合・末広印刷/労働運動活動者評議会/労働者共闘/労働法制改悪阻止・職場闘争勝利!労働者連絡会


個人賛同867

2014/07/08

カーニバル16号[主張]

 安倍戦争国家の「追悼」を許さない!討論集会へ!


 六月二六日、天皇・皇后が沖縄入りした。この訪問は、今年が「対馬丸事件」から七〇年ということで、天皇夫婦の強い希望であったと報道された。天皇らは、沖縄平和祈念堂、国立沖縄戦没者墓苑を訪問し、翌日、「対馬丸犠牲者」の慰霊碑へ供花、その後「対馬丸記念館」で生存者や遺族と懇談した。
 一九四四年、国体護持のための「沖縄戦」が本格化するなか、「皇軍」の食糧確保と足手まとい排除を目的とする約一〇万人の疎開計画が立てられ、半強制の海を渡る疎開が展開された。その過程で米潜水艦によって撃沈され、一五〇〇名が死亡した「対馬丸事件」。天皇夫婦はその事件の責任を負う立場から謝罪し許しを請うためにではなく、当然のように、この事件の「犠牲者」の慰霊と、生存者や遺族との懇談を行った。この懇談に参加を呼びかけられた、当時引率役で乗船していた元教員は、「遺族に申し訳ない」と不参加であった。そこには、同様に「犠牲者」でありながら、引率者・教員という立場の責任を感じる人の痛みがある。その元教員から手作りのレース三枚が送られ、それらは天皇の行く先々、供花台や部屋に「敷かれた」という。その部屋で、天皇は「私と同じ年ですね。どうぞお元気で」、皇后は「奇跡のように生き残ってくださって」、などと生存者に声をかけ、「懇談」した。倒錯した責任感や倫理観のようなものが倒錯したまま表現されるこの状況に、胸が悪くなる。「対馬丸事件」問題については、私たちも参加する8・15反「靖国」行動実行委主催の集会で、講師の石原昌家さんから詳しい話を聞くことができた(集会報告参照)。
 その沖縄では、オスプレイ強制配備、辺野古や高江への新基地建設、与那国島への自衛隊配備などが、人々の大きな反対の声が響く中で強行され、更なる軍事化が進められている。沖縄を訪問し、「戦争犠牲者」の慰霊、被害者への慰撫を繰り返す天皇と、沖縄を米国の自由にさせ、戦場にすることに何の躊躇もなさげにみえる安倍は、矛盾するようでいて、表裏かもしれないが実は一体のものとしてある。天皇の強い希望があろうがなかろうが、今回の天皇の沖縄訪問は安倍政権の政策の一環である。それが象徴天皇制という国家のしくみであり、からくりなのだ。時の政権と天皇が織りなす、矛盾と一体化のこのだまし絵は、何度もその絵柄を変えつつ、繰り返し人々に見せてきたものだ。同じからくりに半世紀以上も騙され続ける社会であっていいわけがない。このからくりを暴き倒すための知恵を出し合い、何とか楽しい行動につなげていかねば、思う。
 似て非なる問題として、六月一八日都議会において塩村文夏都議が受けた「自分が産んでから」等のセクハラ野次について、一点だけ書いておきたい。
 野次に対する批判のなかに、議会の「品格」ということばを何度か目にした。「品格」の専売特許は天皇一族であるが、その天皇一族と天皇制こそが、この野次を正当化しこのような思考と発言が「普通」に出てくる環境をつくりだしているのではないか。たとえば皇太子妃雅子は、一族から、日本中から、同じハラスメントを受けてきたし、それはいまだに正当化されたままではないのか。世襲制という政治システムがそれを正当化しているのだ。「子どもを産むこと」を要請するこの「品格」に欠けたシステムが、皇族に「品格」を維持するための費用を支払う倒錯。安倍と天皇のだまし絵ではないが、これは、この社会が気づかねばならない、根本的なところで騙され続けている問題の一つなのだ。
 さて、安倍政権は七月一日、「集団的自衛権」の行使を合憲と読み直す閣議決定を下した。閣議決定で、憲法を実質変えていくという暴挙に対して、「『これは総理の悲願だから』。首相官邸の高官や自民党幹部から連日こんな言葉を聞く」と、新聞は書いている。憲法は安倍の「悲願」などで簡単にいじられるようなものではない、が、以前なら冗談にもならないようなことが現実のこととなっている。この社会の「常識」をかなりずれてしまっているのだ。
 私たちはこのような状況下で8・15行動を迎えるため、8・15行動実行委とともに、六月二八日、前述した集会を開催し、七月二一日には、「安倍戦争国家の『追悼』を許さない!討論集会」を準備している(チラシ参照)。国家が天皇とともに「戦死者」を追悼することの意味を、これまで8・15に行動を作ってきた人たちとともに討論したいと考えている。これは、例年の私たちの8・15行動を豊かなものとするための議論となるはずである。多くの方に参加を呼びかけたい。 
(桜井大子)

反天皇制運動カーニバル16号[通巻359号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル16号 [通巻359号]
2014年7月8日発行


主張◉ 安倍戦争国家の「追悼」を許さない!討論集会へ!

貝原浩のあの時この時◉ ヤスクニ問題燃ゆ

状況批評◉ 安倍に対する海外報道での評価─成澤宗男

反天ジャーナル◉

紹介◉ 『安倍政権と象徴天皇制の変容』『「原子力規制委員会」の原発再稼働への《暴走》を許すな!』

ネットワーク 五輪返上。今、ニッポンには、この四文字が必要だ。─反五輪の会 SSS

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈51〉◉ 「自発的服従」の雰囲気の中で─太田昌国

野次馬日誌◉ 6月5日~7月1日

集会の真相◉
  • 安倍にNO!ファシズム国家はごめんだ6・1集会
  • 日韓市民の力で「1965年体制」を終わらせていく
  • 天皇の沖縄訪問反対!沖縄戦「対馬丸」事件の責任を問う

集会情報◉

神田川◉
 
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2014/06/11

天皇の沖縄訪問反対! 沖縄戦・『対馬丸』事件の責任を問う 6・26集会


2014年6月26日(木)
18:00 開場/18:30 開始

講師:石原昌家さん
   沖縄国際大学名誉教授
   著書に『虐殺の島―皇軍と臣民の末路』 (晩聲社)
   『ピース・ナウ 沖縄戦』(法律文化社)など

場所:渋谷区勤労福祉会館 第1洋室
   JRほか渋谷駅下車7分(パルコ前)

 2012年(「海づくり大会・沖縄」)に続いて今年6月26~27日にも天皇の沖縄訪問が計画されている。今回の訪問は「対馬丸事件」(囲み参照)70年を期して、対馬丸記念館視察のためとしている。
 天皇アキヒトは1997年、『対馬丸』の船体が発見されたことを短歌に詠み、誕生日会見で「私と同じ年代の多くの人々がそのなかに含まれており、本当に痛ましい……」と発言したとされている。
 「もう一度戦果を挙げてからでないと……」という天皇ヒロヒトの言葉によって、「本土決戦」準備が整うまで、米軍を一日でも長く沖縄に引きつけておく「出血持久戦」として凄惨な地上戦が行われたのが沖縄戦である。その沖縄戦に向かう過程で、日本軍の食糧確保と作戦の足手まといとなるということで、老幼婦女子10万人の疎開が行われた。それは日本軍の作戦行動の一環として行われ、その結果として「対馬丸」事件の被害もうまれたのである。
 天皇の沖縄訪問は、辺野古新基地建設など現在強権的に進められようとしている米軍・自衛隊基地建設を加速させ、反基地闘争を孤立させ、そこに貫かれている反ヤマト(日本)意識を解体させることになる。
 私たちは、天皇の沖縄訪問反対の論理を深めていくために、石原昌家さんを迎えて、沖縄戦と対馬丸の問題について、その責任を明らかにしていきたい。また対馬丸事件の死者は、「戦時遭難船舶」の中で唯一「慰霊・顕彰」され、靖国合祀も行われている。それはなぜか。8・15にむけて、天皇制国家による「慰霊・追悼」批判の視点も共有したい。


【対馬丸事件とは?】
 1944年7月サイパン島「陥落」後、次は〝沖縄だ〟と判断した軍の要請で、10万人の疎開計画が出された。海上の危険などで進まない学童疎開は校長や教員を通じて半強制的に行われた。8月21日、那覇港から長崎に向けて出港した学童疎開船3隻のうち、「対馬丸」が奄美大島近くの悪石島付近で米潜水艦に撃沈され、乗客約1800人(学童800人)中、約1500人(学童741人)が亡くなった。



8・15反「靖国」行動(準備会) http://2014815.blogspot.jp/
【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2014/06/10

カーニバル15号[主張]


 戦争をする国家による「追悼」を許すな!

 この原稿を書いている時点で、国会会期末まであと二週間。「安全保障法制整備」のための閣議決定に「集団的自衛権の行使容認」を明記しようとする安倍政権は、主に公明党との間で文言の調整をすすめている。報道によれば、当初、「行使容認に慎重な公明党」に配慮し、必要最小限度の「自衛権」との表記にとどめ、自衛権が「集団的」か「個別的」かで区別せずに閣議決定することにしていたが、安倍の強い意向で方針を転換し、「集団的自衛権」を明記する意向をあらためて示したという。さらに公明党との協議の過程で、政府は、事実上、戦場での積極的な戦闘行為以外のすべてに自衛隊が関与しうる「PKOなどの国際協力を念頭にした自衛隊の後方支援活動の範囲を見直す」案さえ出している。

 前号の主張にもあるように、こうした姿勢は、五月一五日の安倍の記者会見で、はっきりと打ち出された。多くの人びとによって指摘されているように、それはまさにクーデター的なものである。国会での審議すら経ずに、ただ時の内閣が合憲と解釈すれば、いとも簡単に解釈変更ができるという。本来、内閣には憲法を遵守する義務はあっても、それを解釈する権利などありえない。まさにこうした行政府の恣意を許さないために存在するのが憲法であるはずだ。

 安倍は、閣議決定の時期について「年末までに日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しを完了する。それに間に合うようにまとまることが理想的」と述べている。日米同盟の一層の強化と、対中国シフトとしての「離島防衛」=沖縄前線基地化をすすめる安倍政権にとって、自衛隊が「国民の生存の確保」や「平和主義」の名のもとに、「日本が攻撃を受けていない場合」においても海外で軍事行動がとれること、すなわち戦争をすることがいつでもどこでも可能であるとすることは、必要不可欠のことである。

 あらゆる分野で、いわゆる「戦後民主主義」において、たとえ微弱でも存在した「戦後的価値」が一掃されようとしている。「安倍政権打倒!」が、決して空疎なスローガンではありえない状況であると強く感じる。

 文字通りの戦争国家の道をひた走る安倍政権にとって、戦争の準備は、国家による戦死者の「追悼」の準備をも要請せざるをえない。戦争国家の戦争行為によって、自国の死者が生み出される可能性は、きわめて大きなものとなっている。私たち反天皇制運動の視角からする安倍政権・戦争準備批判の大きな柱として、「靖国」と国家による「慰霊・追悼」に反対する課題が、あらためて前面に据えられていかなくてはならないのだ。

 私たちはいま、私たちも参加する実行委員会として、例年同様に8・15反「靖国」行動の準備に入っている。死者を、国家的に「追悼」する中心施設は、安倍にとって靖国神社であるかもしれないが、アジア・太平洋戦争をはじめとする戦争と植民地支配の総体を肯定する靖国神社がそのような位置を占めるのは、少なくとも現在の姿のままでは不可能であろう。しかし、靖国参拝にみられるその賛美が、「国家に命を捧げる」ことの美化を意味することは明らかだ。

 私たちの8・15行動(デモ)は、大量の右翼と警察に囲まれ、その両者による暴力と介入に見舞われる中を進むものとなってしまっている。デモ本来の街頭における自由なアピール行為という面からいえば、実に不本意なことでもあるが、逆説的にいえば、この日現出するそうした空間が、天皇制や靖国をめぐるこの国と社会の現実、すなわち「少数者」に対する線引きと暴力的排除の本音を、可視化しているのだ。だからこそ私たちも、こうした行動を続けていかなくてはならないが、それにとどまらず、多くの人たちと、この問題を討議していく場を意識的に作っていきたい。

 実行委としては、七月二一日に前段集会を持つことにしているが(詳細次号)、六月二六日の天皇沖縄訪問(対馬丸記念館視察など)についても、当日夜、この実行委員会として討論集会を持つことにしている。字数がないので、内容的なことについて詳しく展開することはできないが、対馬丸事件の死者もまた、援護法行政とのからみで靖国に合祀されている存在である。すなわち、天皇制国家による死者、沖縄戦の被害者が、国家による謝罪・補償ではなく「国に命を捧げた」として顕彰されること、そして過去と現在の戦争国家をつなぐ場面に、死者を介在させて天皇が登場し、国家的に包摂していくという構図がここにもある。ぜひ、こちらの集会へも参加を!
(北野誉)

反天皇制運動カーニバル15号[通巻358号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル15号 [通巻358号]
2014年6月10日発行


主張◉ 戦争をする国家による「追悼」を許すな!

動物(あにまる)談義◉ 〝皇族婚約〟の巻

状況批評◉ 安倍政権の「戦争をする国」路線を許してはならない─清水雅彦

反天ジャーナル◉  ・グローバル下の日本の労働者が…
          ・卒入学式の一コマ
          ・「グリーナムの女たち」と命の歌

ネットワーク◉ 連続講座〈運動と思想〉:花崎皋平が花崎皋平を語る─ピープルズ・プラン研究所事務局・たんば

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈50〉◉ 日朝合意をめぐって、相変わらず、語られないこと─太田昌国

皇室情報の解読◉ 原発再稼働と〈壊憲〉全面軍事化政策を重ねて考える─アキヒト夫婦のオバマ大統領の異例の「おもてなし」の政治的意味─天野恵一

野次馬日誌◉ 5月14日~6月4日

集会の真相◉
  • 茨城反貧困メーデーinつくば&in水戸
  • 貧困ではなく富裕を問おう
  • 持たざる者の全都メーデー
  • 東アジア反日武装戦線と私たちの来た道、行く道

集会情報◉

神田川◉



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2014/06/07

2014 8・15反「靖国」行動(仮称)への参加・賛同の呼びかけ


 安倍政権による憲法破壊、米軍とともに戦争を遂行する国家への原理的な転換が進んでいる。原発やTPP、安保・沖縄・基地問題、教育、歴史認識、労働法制など各分野にわたって、いわゆる「戦後民主主義」をも根底から否定し、国家主義と強権に貫かれた全面的な再編が成し遂げられようとしている。

 五月一五日、首相の「お友だち」による私的諮問機関にすぎない「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書提出を受けて記者会見した安倍首相は「集団的自衛権の行使」を合憲とする「基本的方向性」をはっきりと打ち出した。

 それは、「国民の生存の確保」や「平和主義」の名のもとに、「日本が攻撃を受けていない場合」においても海外で軍事行動がとれること、すなわち戦争をすることが可能であるとするものだ。これまで歴代の自民党政権みずからが「集団的自衛権の行使」は違憲としてきたものを、国会での審議すら経ずに、ただ時の内閣が合憲と解釈すれば、いとも簡単に解釈変更ができるという。これはまさにクーデター的手法である。内閣には憲法を遵守する義務はあっても、それを解釈する権利など本来ありえない。憲法は、まさにこうした行政府の恣意を許さないために存在するのだ。

 この間安倍政権は、秘密保護法・日本版NSC設置の強行、新防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)決定をおこない、辺野古への基地建設推進など、日米同盟の一層の強化と、対中国シフトとしての「離島防衛」=沖縄前線基地化に踏み込んでいる。文字通りの戦争国家の道をひた走る安倍政権にとって、戦争の準備は、国家による戦死者の「追悼」の準備をも、要請せざるをえないのである。

 昨年一二月二六日、安倍首相は靖国神社を参拝した。アジア諸国のみならず、アメリカから、さらには与党・政権内部からも懸念を示されていたにも関わらず、自分の「気持ち」だけで突っ走ったのだ。

 靖国参拝が、国家の宗教との関わりを禁じた憲法の政教分離規定(二〇条)に反する行為であることは明らかである。そればかりではない。靖国神社とは、天皇のための死者、侵略戦争の戦死者を「英霊」として祀る神社であり、その歴史観はかつての戦争を「アジア解放戦争」「聖戦」として賛美するものである。首相としてその神社に参拝することは、日本政府が侵略戦争と植民地支配の歴史総体をも肯定することにしかならない。それはもはや、過去の侵略戦争も、今後準備されるであろう侵略戦争も区別しないということである。過去の戦争もまた「平和」の名のもとに行われたことを忘れてはならない。安倍政権は、国家による戦争発動は、常に正義であると宣言しているに等しいのだ。

 こうして国家の戦争が「正当」なものである以上、その死もまた賛美されべきるものとなる。もちろん、「戦争国家」によっておこされる戦争の死者を追悼する中心施設がどのようなものであるべきかという点については議論は分かれている。安倍は明確に靖国派であり、新たな「無宗教の追悼施設」に対しても否定的な態度を示しているが、しかし問題は、靖国神社であれ新しい追悼施設であれ、それが結局「お国のための死」を賛美し、死に追いやった国家の責任を無化し、それへの責任追求に向かわせなくする機能にこそあるのだ。

 八月一五日、天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式である。こうした死者の利用は、来るべき戦争において生み出される死者にたいする国家の「追悼」において、まったく同質の姿を見せることになるだろう。

 こうしたことを訴える私たちの反天皇制運動に対して、街宣右翼や在特会によるデモ妨害が執拗に繰り返されている。さらに彼ら右翼を利用してデモを規制しようとする警察権力の動きも強化されてきている。右翼的な部分は、私たちの行動は死者への冒涜であるなどと主張する。だが、我々が批判しているのは、そうした死者を生み出し、今後も生み出そうとしている日本国家の歴史的・現在的な負性そのものである。だからこそ私たちは、多くの人びととともに、歴史認識の歪曲・改ざんを許さず、天皇制国家による侵略・植民地支配責任を追及する声をあげ続ける。靖国神社・国家による「慰霊・追悼」反対、天皇制の戦争責任・植民地支配責任の批判と、安倍改憲政権による戦争国家づくり、天皇元首化の実質化、ナショナリズム・排外主義煽動に抗する反天皇制運動をともに作り出していこう。実行委員会への参加・賛同を訴える。

8・15反「靖国」行動(準備会) http://2014815.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2014/06/01

反天連パンフレット――安倍政権と象徴天皇制の変容

反天連パンフレット
安倍政権と象徴天皇制の変容 
2014年4月29日発行 300円
目次
・天皇モデルの転換と私たちの民主主義・・・・・・・・2
・戦後天皇制を支えた「家族」の崩壊・・・・・・・・14
・天皇と皇后による天皇制の「政治利用」・・・・・・・・23
・討論・・・・・・・・31
 
このパンフレットは、2013年12月23日に、東京・早稲田で開かれた「安倍政権と象徴天皇制の変容」(主催:反天皇制運動連絡会)を冊子にしたものです。



2014/05/21

カーニバル14号[主張]

安倍政権の暴走へ怒りをこめた抵抗を!

 一五日に安倍晋三が自らの私的諮問機関から解釈改憲を提言する報告書を受け、集団的自衛権の解釈改憲検討表明の記者会見を行った。気がつけば私は仁王立ちでTV画面を睨みつけ、握りしめた拳は怒りでわなわなと震えていた。二枚のパネルを用いて「人々のために働いているPKOの方々が」とか、「他国で戦争に巻き込まれた人々が」とか、誰がゴーストライターかは知らないが、人々の心情に訴えかけるような文言を用意し巧みに誘導する。「積極的平和主義」が示すように実体とは真逆の言葉を平気でというか、あえて用いて自己正当化していく。秘密保護法、集団的自衛権の行使、原発再稼働など、世論調査で半数以上の人々が反対の声を上げているにもかかわらず、相対する他者のことなどおかまいなしに強行していく。
 「人々のために」という言葉を使いながら、「公助よりも自助」政策。生活保護法をはじめ、この間どれほどの社会保障制度の見直しがなされていることか。心にもないことを平気な顔でペラペラと口にするこの男の大嘘を、絶対に止めさせなければならない。
 麻生の「ワイマール憲法」発言、「デモはテロ」の石破発言は安倍政権の本質である。このような発言をした当人たちにすら、何の処罰も与えることが出来ず、あろうことか安倍の支持率も高いままであった。しかし今回の安倍の手法は、独裁政権に等しいものである。さすがにメディアも、立憲主義について方々で論じている。しかし、憲法そのものについて踏み込み、「民主主義の原理」について論じられることはない。象徴天皇制や民主主義について議論がなされるように喚起することも、メディアの役割の一つではないのか。今さらメディアに期待などしてはいないが、戦後の平和主義の根幹を少なくとも、正当な手段もとらず、姑息なやり方で変えようとする記者会見の直後に、田崎史郎時事通信解説委員、島田敏男NHK解説委員ら報道関係者らが西新橋の「しまだ鮨」で安倍と会食したという。このタイミングで首相とメディア関係者が会食をすることは大きな問題である。「すしなんか喰っている場合か!恥を知れ」といいたい。腐ったすしネタは捨てられるが、腐ったメディアが重宝されるのは、重罪である。
 もう一ヶ月も前になるが、四月二三日から二泊三日の日程でオバマ米大統領が国賓扱いで来日した。皇室関係行事の調整に最低必要な日程だという。米国の正義など、はなから信じてはいない。軍事産業でしか経済がなりたたず、アメリカの正義の名のもとに一体どれほどの人々が苦しみを余儀なくされ、血を流してきたことだろう。アメリカ帝国主義が第三世界の人々から搾取し奪ったものは、はかり知れない。政治の責任者はその加害性を思いしるべきである。原爆を投下した広島、長崎で、米軍基地に苦しむ沖縄で、その人々の苦しい声に耳を傾ける義務がある。アキヒトと会って何とする。象徴天皇に外交の権利などない。天皇元首化を目論む安倍などと会食する腐ったメディアに、その違憲性を批判する視点など微塵もない。イスラエルのネタニエフ首相とも会見しているが、きな臭いこの二人の首脳とアキヒトの会見の問題性を反天連は追及して行く。
 オバマ来日当日、コースが三万円〜という銀座の高級すし店「すきやばし次郎」でオバマと安倍の会食の報道がされた。
 多くの若者が貧困にあえぎ、奴隷のような不条理な労働条件の下で働かされ、希望ももてずに生きている現状を安倍は本気で考えたことがあるのだろうか。この国で餓死者がいる現実をこの男は想像することがあるのか。それとも、この貧困もまた、戦争に動員させる道具として意図的につくりだしているというのか。日米首脳会談で、オバマから集団的自衛権行使の支持を受けたと安倍は得意げであった。集団的自衛権が行使されたベトナム戦争やイラク戦争がもたらした悲劇を想起しよう。私たちは過去に学ぶことでしか、現代を生きることが出来ないと確信している。私たちを取り巻く状況は非常に厳しい。けれどもわたしたちは「天皇制はいらない!」の声をあげ続け、「抵抗」することを決してやめない。握りしめた拳は振り上げてやる。
(鰐沢桃子)

2014/05/20

反天皇制運動カーニバル14号[通巻357号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル14号
2014年5月20日発行

 
主張◉ 安倍政権の暴走へ怒りをこめた抵抗を!

貝原浩のあの時この時◉ 小泉純一郎首相の登場

状況批評◉ 明仁・美智子天皇制の現在の戦争責任追及を─中嶋啓明

反天ジャーナル◉ 

反天連声明◉ オバマ来日・日米首脳会談反対!天皇会見・宮中晩餐会を許すな!

書評◉ 天野恵一『災後論——核(原爆・原発)責任論へ』─水島たかし

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈49〉◉ 政治家の「誇り高い」言葉をめぐって─太田昌国

野次馬日誌◉ 4月3日~5月13日

集会の真相◉ 
  • 4・13差別排外主義にNO!集会
  • 4・21靖国違憲訴訟・東京提訴
  • 4・26神奈川の会・リレートークとデモ
  • 4・27/29「沖縄・安保・天皇制を問う」連続行動

集会情報◉

神田川◉




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2014/05/06

「公安は天皇のための尾行をやめろ!」共同声明にご賛同ください

~ご賛同よろしくお願いします!~
 立川自衛隊監視テント村のメンバーAさんが、天皇に対する抗議活動の報復として、昨年10月から半年以上にわたって公安警察の尾行・嫌がらせを受け続けています。一刻も早くこの行為を終わらせるため、団体・個人の賛同を集めて以下の共同声明を発表します。
 なるべくたくさん集めることが力になりますので、ご賛同いただけますよう、どうかよろしくお願いいたします!(2014/5/3)

集約先アドレス:bikouhantai@gmail.com

※団体/個人賛同をお願いします。何らかの団体に参加されている方は、ぜひ団体賛同していただけるよう会内で御検討頂ければ幸いです。

※団体名・個人名の公表の可否を明記してください。個人名は「公表可」でもビラのみ記載、ネット公表はしません。

※賛同費は無料です。

1次集約:2014年5月31日 最終集約:6月30日


***「公安は天皇のための尾行をやめろ!」共同声明***
 市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバーであるAさんは、2013年10月から半年以上、公安刑事の執拗な尾行・嫌がらせを受けています。深刻な人権侵害であり、警視庁に即刻中止するように求めます。

●尾行の発端となった天皇来訪に対する抗議の意思表示
 尾行の発端となったのは、昨年10月、国民体育大会の競技観戦のためにAさんの暮らす町に天皇夫妻が訪れたことでした。市は広報で市民に「奉送迎」を呼びかけ、大量の日の丸小旗を配布しました。
 Aさんは「全ての市民が天皇を歓迎しているわけではない」ことを示そうと、日の丸を振る市民の傍らで、天皇の車に向けて「もう来るな」と書いた小さな布を掲げました。抗議場所はガードレールのある歩道上であり、車列を妨害したわけでもありません。憲法で保障された最低限ともいえる意思表示でした。   

●天皇移動日のつきまとい・嫌がらせ行為の数々
 その数日後、突如公安刑事の尾行が始まりました。尾行は、天皇が皇居を離れ、視察に訪れたり式典に参加する日に行われています。尾行の日数は計25日以上に及び、自宅付近・職場・テント村の活動現場などAさんは行く先々で複数の公安刑事につきまとわれています。
刑事は隠れることもなく、Aさんに数メートルまで接近したり、職場のドア越しに大声を出すといった嫌がらせをしています。「あんなことしたんだからずっとつきまとってやる」といった脅迫発言も行っています。
 2014年3月からは、立川テント村の活動にも尾行刑事が登場し、嫌がらせはエスカレートしています。

●公安警察は尾行をやめろ!表現の自由・民主主義を獲得しよう!
 これらの行為は、天皇への抗議活動に対する報復的・懲罰的なものとして行われている事は明白です。
 これまでも、天皇の行く先々で同様のことが行われてきました。国体や全国植樹祭といった天皇行事が行われるたびに、公安警察による嫌がらせや、微罪をでっち上げて逮捕する予防弾圧が繰り返されてきました。
 「不敬罪」の時代ではありません。天皇制に批判的な表現は、天皇の前でも当然保障されるべきです。
 私たちは「天皇に関することはしょうがない」という意識を乗り越えて、人権と民主主義のために、Aさんに対する尾行・嫌がらせを即刻やめるよう警視庁公安部に強く要求します。
 警視庁はAさんに対する尾行・嫌がらせを即刻やめろ!警察は天皇のための人権侵害を二度と行うな!

よびかけ:立川自衛隊監視テント村/やってる場合か!「スポーツ祭東京」実行委員会/三多摩労働者法律センター

2014/04/23

【反天連声明】 オバマ来日・日米首脳会談反対!  天皇会見・宮中晩餐会を許すな!

2014年4月23日
反天皇制運動連絡会


 本日、オバマ・アメリカ大統領が、四か国歴訪の一環として、都内一万六〇〇〇の戒厳態勢のなか、「国賓」として来日する。二三日に安倍首相と非公式の夕食会、二四日に皇居での歓迎行事、首脳会談、共同記者会見、そして宮中晩餐会などが予定されている。


 今回の首脳会談のテーマとして、日米の同盟強化、環太平洋連携協定(TPP)、地域の緊張緩和があるなどとマスコミは報じている。


 この間の、「靖国」「慰安婦問題」をはじめとする「歴史認識」における安倍政権の突出が、中国や韓国のみならず、アメリカの「失望」発言さえ引き出した。安倍政権の行為こそ、東アジアにおける「不安定要因」を拡大しているのだ。今回のオバマ来日・日米首脳会談の最大の目的が、こういった状況を調整し、「傷つけられた日米関係」を「修復」し、あらためて強固な日米同盟の方向性を再確認することにあるのは明らかである。


 だがそれは、安倍政権が前のめりになっている、集団的自衛権や武器輸出の容認、対中国シフトに向けた沖縄の出撃拠点・前線基地化の、より一層の進展をしか意味しない。また、新自由主義の貫徹としてのTPPに関しても、安倍はその「早期妥結」による「日米同盟」の強化こそが、「わが国の国益」だと明言している。「自らの思い」だけで突出した安倍がアメリカの批判をうけたことで、その「見返り」としてTPP問題で妥協し、取り引きしようというのではないのか。


 そして私たち、反天皇制運動の立場からは、今回のオバマ来日にともなって行われようとしている「天皇会談・宮中晩餐会」に対しても、批判の声を上げていかなければならないと考える。


 今回日本政府は、当初一泊二日で予定されていたオバマの来日日程を、二泊三日にすることにこだわった。米大統領としてはクリントン以来一八年ぶりの「国賓」としての来日という形を取りたかったからだが、続けて訪問予定の韓国との差異化を図ろうとしたものであったとも言われている。


 「国賓」に対しては、あたりまえのように、天皇との会見や宮中晩餐会がセットされている。だが、これは憲法で定められた天皇の「国事行為」に規定のない違憲の行為である。こうした違憲の行為が、天皇の外国訪問や来日した外国の首脳との会見なども含めて、いわゆる「皇室外交」としてもてはやされてきた。そしてそうした場をつうじて、天皇はあたかも日本国の「元首」であるかのような位置づけをされてきた。


 自民党は天皇元首化をも掲げた改憲案をすでに提出している。「天皇会談・宮中晩餐会」は、天皇の「元首」としての実質化を図るものであり、いわば天皇条項に対する「解釈改憲」のさらなる積み重ねにほかならない。


 同時にわれわれは、その天皇の行為が持つ政治的機能それ自体をも、批判していかなければならない。


 天皇の行為は、国家の賓客としての「国賓」をもてなすための、儀礼的な行為であるに「すぎない」ように見える。実際に、「政治的権能を有しない」とされている天皇の行為として、それは外交の場面における、国際親善・友好一般のための行為のように演出される。


 だが、それはあくまでも、日米首脳会談という現実政治の一環であり、その外交に被せられた政治なのである。そこで発せられる天皇の「おことば」なるものの具体的な中身がどのようなものであれ、それは必然的に、今回のオバマ来日をめぐる日本政府の立場を、全面的に肯定するものとならざるを得ない。そもそも、宮中晩餐会を含む天皇の賓客への「接遇」自体が閣議で決定されるものであり、「おことば」もまた、基本的には官僚による作文である。いわば天皇は、儀礼的な面において、安倍政権の政治を分担しているのである。


 国家のひとつの機関として、国家の政治を認証し、権威づけするのが天皇の役割である。だからこそ、安倍の政治にたいする批判には、この天皇の違憲の行為にたいする批判も含まれる。


 天皇制の政治的権能の強化、そして「元首化」への動きは、マスコミなどを通じて日々再生産され続けている天皇へのタブー意識などとあいまって、現実政治のなかに、批判を許さない「聖域」を形づくることになる。それは民主主義的な原理とはけっして相いれない。


 オバマ来日・日米首脳会談反対! 天皇会見・宮中晩餐会を許すな!

2014/04/19

「沖縄・安保・天皇制を問う」4・27/29行動


4月27日(日)講演集会
沖縄と日本の占領と戦後 4.27講演集会
時間*2014年4月27日(日)午後3時~
講師*鳥山淳(沖縄国際大学教員)
場所*スペースたんぽぽ

http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=336



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4月29日(火)反「昭和の日」行動(デモ)
 象徴天皇制の戦争・植民地支配責任を撃つ!
 時間*2014年4月29日(火)午後2時15分集合
場所*新宿・柏木公園

http://chizuz.com/map/map95457.html


・・・・・・・・・・・・・・・・・

 私たち、反安保実行委員会と反「昭和の日」行動実行委員会は、今年も、4.27/4.29の行動を共同で取り組む。 
 昨年4月28日には、安倍政権によってはじめての「主権回復の日」式典が、天皇出席の政府主催としておこなわれた。サンフランシスコ講和条約と安保条約のもとにかたちづくられた戦後日本社会のありかたを、その起点において賛美するこの式典に対しては、この日をもって「本土」から正式に「切り捨て」られ、米軍による直接支配のも とにおかれた歴史を持つ沖縄から、激しい批判の声があがった。今年は 政府式典は見送られた。しかし安倍政権による一層の軍事化、日米安保体制のさらなる強化と、アジアにおける沖縄の前線基地化が進められよ うとしている。「琉球処分」以降の近代日本による沖縄に対する植民地主義的支配、その帰結としての沖縄戦の悲劇、米日による沖縄支配・軍事基地化という歴史総体に対する怒りをもって声を上げている沖縄の闘 いに、「ヤマト」の地において、私たちはどのように答えうるのか。
 このことを常に問い返しつつ、私たちは「沖縄デー」前日の4月27日と、天皇制の延命のために沖縄を米軍に提供し、日米安保締結を推進した昭和天皇を賛美する「昭和の日」の4月29日の行動 に取り組む。ぜひ参加を!




反安保実行委員会 + 4.29反「昭和の日」行動実行委員会
    
【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制 運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇 制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2014/04/08

カーニバル13号[主張]


    社会全体の軍事化のなかで沖縄と天皇制の現在を考える

 いわゆる「パンとサーカス」政策を現代日本ふうに置き換えてみたら、「ラーメンとアニメ」ということになるのだろうか。ありえたかもしれない職人的な修練や技巧というやつをセントラルキッチンと広告戦略で無化した勘違いグルメや、単純なマトリクスを用いる類型化でつくられた目が大きく幼児的な2Dキャラクターが展開する、性と暴力をテーマや暗喩としたストーリー。「クール・ジャパン」と銘打ったグローバリズムにメディアや文化が蔽われてしまって久しい。
 唱和されてきた「輸出立国ニッポン」なるものがすでにバブルの幻影でしかないということが、最近のいくつもの経済指標から露わになりつつある。「ハイテク」だの「金融工学」だのという新技術やビジネスも、すっかりその「魔術」性を喪失しつつある。にもかかわらず、日本国内では「復興」事業や二〇年東京オリンピックを名目とする「開発」が急速に進められている。税制や予算は、消費税の趨勢にも明らかなように、分配にではなく露骨な収奪に、そして貪欲な「資本のための資本」を維持拡大する方向に、さらに向けられている。
 「武器輸出三原則」には法の裏打ちもなく、これまでもかなりの程度になし崩しとなっていた。しかし、これが明確に安倍内閣において「防衛装備移転三原則」として否定されようとする意味は、きわめて大きい。官僚や大企業は「消費財」や「生産財」の製造や輸出による「経済成長」には、もはや「限界」を感じていると思われ、この限界を補う「新事業」として、今後は「国家の特定秘密の保護」をたてにしながら「軍需産業」の育成を進めていくことができるだろう。
 もちろん、これが平坦な道で進むはずはない。かつて自動車や家電製品、電子部品やロボットなどを、技術者が現場のニーズに応じて開発し提供していた方法と、軍需産業とは大きく異なる。何よりも、日本のような国家の軍需産業は、アメリカの軍備、それをまかなう軍需産業のスタンダードによりそい、これをすべて受け入れることとして「振興」されなければならないのだ。
 福島原発の「事故」は、原子力産業がすなわち「核開発」産業であり、世界的な軍事と核管理体制の動向のうちにあることに、あらためて焦点を当てるものとしてもあった。「監視社会」化と「国境防衛」を名目とする国家の軍事化、排外主義がますます蛮声を響かせる社会のなかで、これらがどのように展開していくかについて、私たちはより厳しい危機感を持って対応していく必要がある。
 私たちはいま、「反安保実行委員会」と「四・二九 反『昭和の日』行動実行委員会」の共同で、四月二七・二九日の「沖縄・安保・天皇制を問う」連続行動を準備中だ。昨年四月二八日に安倍政権によって実施された「主権回復の日」は、今年は天皇が出席する政府式典としては実施されない。しかし、沖縄・辺野古への米軍の新基地建設は、仲井眞知事の安倍政権への屈服により大きく進められようとしている。また、「尖閣」を名目とした自衛隊の沖縄の先島諸島への配備もまた同様だ。サンフランシスコ講和条約と日米安保条約、そして天皇制によって形成された日本国家の「戦後」は、沖縄の軍事化とともにあったわけであり、いままさにそれが新たな形で繰り返されているのだ。
 この時期、オバマ大統領の「国賓」としての来日は、これを東アジアの政治情勢の中で、安定的に位置づけるためにこそある。
 天皇明仁や美智子は、こうした政治状況に対して微妙なかじ取りでふるまっているかに見える。しかし、昭和天皇裕仁の「轍」をいかに「じょうずに」踏むかということこそ、彼ら自身が望むものでもあろう。こうしたさまざまな問題を、この連続行動の中で、より明確にしていきたいと考えている。多くの人々の参加を呼びかける。
(蝙蝠)

反天皇制運動カーニバル13号[通巻356号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル13号
2014年4月8日発行
                             
主張◉ 社会全体の軍事化のなかで沖縄と天皇制の現在を考える

動物(あにまる)談義◉〝天皇家の公私〟の巻

状況批評◉ 安倍政権に翻弄されるNHK─池田恵理子

反天ジャーナル◉

ネットワーク◉ 安倍靖国参拝違憲訴訟、東京提訴!─安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京 事務局

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈48〉◉ 三月三一日は、消費税引き上げ前夜だけではなかった─太田昌国

皇室情報の解読◉ 天皇制の核(原爆・原発)責任─〈アメリカじかけの象徴天皇制国家〉をめぐって─天野恵一

集会の真相
集会情報
神田川


●定期購読をお願いします(送料共年間4000円)
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●郵便振替00140-4-131988落合ボックス事務局


2014/03/13

カーニバル12号[主張]

天皇制社会の「常識」を変えていこう!

 昨年12月の安倍靖国参拝が引き起こした政治的混乱は、私たちの予想どおり、あるいはそれ以上に尾を引いている。年を越して報道される靖国参拝をめぐる政府内外の動きは無視できるほど小さくはなく、そればかりか、安倍側近による靖国参拝をめぐる発言のひどさで事態は更に大きくぐらつき、おさまりようもなく続いているのだ。しかしそれは、メディアが騒ぐことによってのみ問題化されている、というのが恐ろしい現実であろう。報道が途切れればこの問題もそれで終わりだ。まさかそれで問題が解決するわけもないが、多くの人にとって、この社会にとって、靖国問題はなんということもない、関心の対象外でしかないのだ。関心があるのは積極的支持派か少数の反対派だけ。そのことこそが、現在の「靖国問題」をつくりだしているし、今後の運動の課題でもあると、あらためて考えるのだった。


 1月も終わる頃に報道された安倍靖国参拝までの自民党も含めたいくつかの動きは、この靖国参拝が作り出す、私たちが抱く危機感とは無関係の、政府にとってのヤバイ事態を予想させるものであった。たとえば、「冷え込んだ」日中韓関係を「立て直す」ために奔走していた外務省は、昨年10月、「参拝すれば、日本外交の底が抜ける」と危ぶんでいた。そして、安倍の靖国参拝前日まで日中韓首脳会談実現に向けて協議を重ねていたという。一方、同じく10月の秋の例大祭後、山谷えり子参院議員など安倍の支持層が、安倍の靖国参拝を強く求めていた。また、同じく10月、2+2で来日したジョン・ケリー米国務長官とチャック・ヘーゲル米国防長官はわざわざ「靖国」ではなく千鳥ヶ淵を訪問し献花した。言外に「靖国」を否定してみせたのだ。そういった全体状況から判断する参拝への慎重論は、自民党内部や側近の一部からも出ていた。


 これらいくつかの視点・スタンスから出ている牽制や助言には、政治判断すべきことが多々あったはずだし、それを経て安倍は靖国参拝を選択した。それでいける、と考えたのだ。そしてそのことで少なくとも日本の大衆社会が動揺しているようには見えない。それどころか、安倍の支持率は50%以上をキープしている。国内的な反応としては、安倍の読みは間違っていなかったということになる。恐ろしいことである。その結果、安倍側は更に増長している。


 安倍靖国参拝に対する米政府の「失望」発言=批判。それに対する2月16日の、安倍側近による、「米国が『失望』と言ったことには我々の方が失望だ」からはじまる、米政府への高慢な対応。エスカレートを極める安倍グループによる暴言の数々。安倍たちのあまりのひどさに、体制内からも批判は出てくる。メディアが流す安倍批判は、こちらの言い分とはかけ離れてはいるが、体制側なりの説得力もある。対米国、対韓国・中国、どうするんだ、という恐ろしく現実的な政治の話なのだ。


 もちろん私たちは、仮に新たな打つ手が皆無になろうと、その土俵に立つことはない。むしろ、「靖国問題」を外交問題というメディアの「常識」から、歴史認識の問題、戦争と平和、民主主義に関わる問題として、再度立て直していくしかないとの確信を強めている。それは決していまに始まった課題ではないが、それも含め、これまでの反「靖国」運動の検証であり、現在的な8・15的状況も念頭に入れた立て直しでもある。今年も2・11反「紀元節」行動を皮切りに、議論はすでにスタートしている。また、東京・関西で「安倍靖国参拝違憲訴訟」がそれぞれ準備されており、反天連も微力ながら協力したい(同封資料参照)。多くの方が原告あるいは支援者としてこの靖国問題を社会化し、異を唱えていく行動に合流されることを訴えたい。


 ほか、気になる問題は横並びにあるが、NHK問題、歴史認識問題、辺野古新基地問題、戦争法、治安維持・弾圧法、差別排外主義的な動き(『アンネの日記』損壊事件も!)等々、気になりつつも割愛するしかない。


 そして、こういったひどい時代であればこそ、天皇一家のいかにも超然としていられる存在が大きく社会に入り込んでくる。2月23日の皇太子誕生日を前に、例年どおり皇太子は記者会見し、天皇同様の「護憲」発言や、故マンデラ元南アフリカ大統領の言葉を引用して「民主主義や人権の尊重など普遍的な価値」について述べた。他人の人権と民主主義を抑圧する中でしか存在し得ない天皇一族が述べることではないが、安倍との対比でありがたいものとして流布し、受け入れられていく。天皇制と民主主義や人権尊重に矛盾を感じないこの国の「常識」を変えていくことが、反天皇制の闘いでもある。今年も頑張るぞ。
 (桜井大子)

反天皇制運動カーニバル12号[通巻355号]


反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル12号


2014年3月11日発行


主張◉ 天皇制社会の「常識」を変えていこう!

貝原浩のあの時この時◉ 「皇紀二千六百年」と「二〇二〇年」  


状況批評◉ 戦後民主主義幻想(=資本制国民国家)との訣別
  ─劣化した日常から共に生きる営みをこそ─竹森真紀


反天ジャーナル◉

 
書評◉ 大橋由香子著『満心愛の人 益富鶯子と古謝トヨ子─フィリピン引き揚げ孤児と育ての親』 ─近藤和子


太田昌国のふたたび夢は夜ひらく
〈47〉「真実究明・赦し・和解」の範例を遠くに見ながら─太田昌国

ネットワーク◉ 日韓つながり直しキャンペーン2015 スタート!─矢野秀喜


集会の真相
集会情報
神田川




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2014/03/12

女性と天皇制研究会連続講座 反逆の女たちに出逢いなおす


女性と天皇制研究会連続講座 反逆の女たちに出逢いなおす


第8回「宮本百合子 (1899〜1951年) 」

人道主義からはじまり共産主義、共産党へと立ち位置を変えていった百合子。戦時下での検挙と執筆禁止。厳しい弾圧の中で、体制の流れを拒み、苦悩・選択・決断を繰り返した。「貧しき人々の群」「ソヴェト紀行」「伸子」「乳房」「播州平野」など実に多くの作品・評論を残す。

    ▼    ▼    ▼
私たちは先端技術の恩恵と弊害、富と貧困、排外主義と国際化、戦争と平和、 さまざまな矛盾にゆれる現代に生きる。この現代を形づくった近代の過程でその社会に挑み、生き、死んでいった「女」たちがいた。沢山の言葉や生き様を残した反逆の「女」たち。私たちは時代を遡り、残された彼女たちの言葉と記録をよりどころに、私たちの自身の感性で、再度、彼女たちに出逢いなおしたい。現在を生きるために。

報告 ● 桜井大子(女性と天皇制研究会)

日時 ● 2014年 3月19日(水)19:00~21:00
場所 ● ピープルズプラン研究所 会議室
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/tinyd1/?id=5
東京都文京区関口1-44-3 信生堂ビル2F TEL: 03-6424-5748
(東京メトロ 地下鉄有楽町線「江戸川橋駅」1-b 出口 徒歩5分)

[江戸川橋駅(有楽町線)からの行き方]
江戸川橋駅1-b出口を出て、左手にドトールなどを見ながら大通り(新目白通り)を5分ほど歩くと、「一休橋入り口」という交差点があります。そこを左に曲がって、道路の左側にある3つ目のビルです。1階は「だいもん印刷」さん、2階がピープルズ・プラン研究所です。

参加費 ● 500円
主催 ● 女性と天皇制研究会(jotenken@yahoo.co.jp


2014/03/11

【書籍紹介】 災後論 核(原爆・原発)責任論へ 

災後論 核(原爆・原発)責任論へ 
天野恵一著
2014年3月11日発行
インパクト出版会

      目次

まえがき─〈災後〉と〈壊憲〉

Ⅰ 2011年3月11日直後
政府・東京電力は、すべての原発をストップし、
福島原発事故の予想される本当の危機も含めた情報をすべて開示せよ!

天皇の「御心配」パフォーマンスに「ノー」の声を
 ──人びとの「不幸」の政治利用はやめよ!

「皇室」と「米軍」による人々の不幸の政治利用を許すな!

「福島原発事故緊急会議」スタート!─私たちも参加・協力します

「高度に政治的」な天皇一族のパフォーマンス
 ──「被災」と象徴天皇性をめぐって

「平成天皇制」の「総決算」の政治的パフォーマンス
 ──Xデーを覚悟し、決意をかためた〈アキヒト・ミチコ〉の平成の「玉音放送」と「被災地巡行」

〈新しい災害援助隊・非軍事の防災体制づくり〉に向けて討論を開始しよう!
 ──反戦・反軍運動の自覚的課題として

天皇ご一家〝総動員の夏〟
 ──「新しい意味」などありはしない

9・11再稼働反対・脱原発! 全国アクションへ

野田政権の政治的性格
 ――「被爆大国」化の促進を許すな!

「3・11以後」の「レスキュー」・「防災」の論じ方
 ─―〈原点〉としての九条「(絶対)平和主義」をふまえて

〈11・11〉経産省包囲「人間の鎖」1300人で実現!
さらに〈12・11〉再稼働反対アクションへ!

天皇(夫妻)・秋篠宮(夫妻)VS皇太子(夫妻)の再浮上
 ―「平成」Xデーへのファイナル・カウントダウンはじまる

自民党のやり残した悪政をすべて実現しようという民主党・野田政権との対決を!

〈3・11〉災後一年の状況下で宣言された〈廃太子〉行動のゆくえ

〈3・11〉政府式典に〈NO!〉の声をたたきつける原発再稼働反対行動へ!
 ──〈戦争責任〉から〈原発責任〉へ

Ⅱ 2012年3月11日後
「無責任の体系」=「祈り共同体」の外へ
 ──〈3・11原発震災〉一周年の日に

〈3・11〉脱原発アクションの成功をステップに、
さらなる再稼働反対行動へ!

天皇中心とする「祈り共同体」=「無責任の体系」にNOの声を!

〈戦争責任〉をふまえて〈原発責任〉を問う
 ──「再稼働」反対行動へ

橋下らの手をかりた野田政権の原発「再稼働」を許すな!
 ──憲法[生存権]をふまえて対決を

PKO派兵反対を持続し、沖縄オスプレイ配備・原発再稼働糾弾の大きな闘いを!

〈原発(核)責任〉論へ
 ──再稼働反対運動の渦中から

原爆の死者は「平和利用」のための礎!
 ──「8・15反靖国」行動へ向けて

核武装をも射程に入れた戦争国家づくり(改憲策動)を許すな!
 ──「原子力基本法」改悪・「自民党改憲草案」批判

9・11経産省・規制委員会包囲アクションと
9・16「原子力ムラの責任を問う」シンポへの結集を!

「日本固有の領土」なんてものはない!
 ──「愛国(排外)主義」の洪水の中で

オスプレイ・原発再稼働問題からみえる戦後[象徴天皇制]国家の〈正体〉

あらためて〈天皇メッセージ〉の責任を問おう!
 ──アキヒト天皇の「海づくり大会」沖縄訪問反対行動のなかから

「平成の妖怪」と「売国ナショナリズム」
 ──安倍政権のオスプレイ配備の論理

〈3・11〉二年に向けて
 ──安倍壊憲政権に〈原発責任〉を対置する運動を!

 2013年3月11日後

安倍壊憲政権下の〈3・11〉天皇儀礼
 ──進行する「棄民」政策にどう抗するのか

「誤った戦後国家のスタート『主権回復の日』(4・28)を今こそ問う
 ──沖縄・安保・天皇制の視点から」集会への結集を!

「維新のドン」と「売国ナショナリズム」
 ──安倍政権と石原慎太郎〈壊憲〉政治批判

〈壊憲〉に抗する運動へ向けて
 ──安倍政権と対決する第9期をスタートします

メディア操作による安倍「売国」ナショナリズムの全面化
─原発再稼働を許すな

象徴天皇制国家〈無責任の体系〉の「誤れる」スタートの日によせて
 ──「4・28~29」連続行動

安倍「壊憲」政権の「ナチス」ばりの政治的「手口」への批判を!

安倍〈壊憲〉政権下での六八回目の8・6、8・9、8・15
信念をもったデマゴーグ安倍「壊憲」政権の手口
 ──〈オリンピック政治〉批判

安倍政権の全面的〈壊憲〉攻撃に反撃を!
   「集団的自衛権」合憲化・秘密保護法、国家安全保障会議づくり、
   「伊勢」参拝・「靖国」奉納は戦争(戦死者)づくりの体系的政策である

「治安維持法」・「特高警察」の現在的復活!
  ──「秘密保護法案」反対運動の中で

デマゴギー政治の全面化
  ──二〇二〇年東京オリンピック招致・原発再稼働・放射能汚染・〈壊憲〉

抵抗のさらなる持続・拡大へ─二〇一三年一二月五日・六日の記録

戦争ヘ暴走する全面〈壊憲〉政権
  ──沖縄辺野古米軍基地づくり、靖国参拝、諸軍事・治安法づくり……

伊勢神宮・「靖国」神社への安倍首相らの参拝
  ──「壊憲」策動への原則的批判を!

「平和」という名の戦争への暴走を支える自己陶酔
  ──安倍首相の「靖国」参拝から視えてくるもの

2014/03/05

いま問う「靖国問題」 2・11反「紀元節」行動 集会基調



いま問う「靖国問題」 2・11反「紀元節」行動   集会基調 http://2014211.blogspot.jp/ 

 はじめに

 昨年一二月二六日、安倍首相は国内外の批判を無視し、靖国神社を参拝した。
 靖国神社は、天皇のための死者、侵略戦争の戦死者を「英霊」として祀る神社であり、その歴史観は一連の日本の侵略戦争を「アジア解放戦争」「聖戦」として賛美するものだ。
 一方で、安倍政権は「積極的平和主義」を唱えながら、米国とともに「戦争ができる国」づくりを猛スピードで進めている。戦争の歴史は「世界平和」を口実に繰り返されてきたのだ。また、「戦争をする国家」はその戦争による死者を意味づけし賛美していく。日本におけるその舞台は靖国神社である。
 天皇神話に基づく「建国」を祝わせ、天皇のための戦死者を顕彰する靖国神社を戴く、戦後も断ち切られていない政治に「NO!」の声を突きつけることが、いまこそ切実に求められている。
 天皇主義と国家主義を露骨に推進し、私たちの自由や生存権を踏みにじり、東アジアに緊張を創り出し、沖縄を新たな戦争の前線としてあらためて位置づけなおす安倍政権に、大きな抵抗の声をあげていくために、私たちは本日、〈いま問う「靖国問題」 2・11反「紀元節」行動〉を開催する。


1 「紀元節」と右派の動向

 本日二月一一日が「建国記念の日」とされたのは、一九六六年からである(適用は六七年から)。紀元前六六〇年のこの日に、神武天皇が橿原宮で即位したという「建国神話」にもとづく、戦前・戦中の「紀元節」の復活にほかならなかった。それゆえにこの日は、天皇主義右派勢力にとって、最大の祝日であり続けている。
 例年この日には、神社本庁や日本会議、神道政治連盟などが「賛助団体」として名を連ねる「日本の建国を祝う会」主催の「建国記念の日奉祝中央式典」が明治神宮会館で開かれ、青山通りから明治神宮にかけて、主催者発表で五〇〇〇名規模の奉祝パレードも行っている。また、別の右派グループである「紀元節奉祝式典実行委員会」も、星稜会館で「紀元節奉祝式典」を開催している。
 一方、政府後援の式典やイベントは、自民党政権時代の二〇〇六年以降、中断されたままだ。
 一九八五年、中曽根政権のもとで結成された「建国記念の日を祝う会」によって、政府が後援し首相参列のもとで記念式典が開催された。この「祝う会」は八六年に財団化して「国民の祝日を祝う会」に改組されたが、やがて、政府後援の式典からは首相の参列がなくなり、規模も縮小され、やがて会自体が解散するに至った。
 八六年の改組にあたっては、「神武天皇建国の意義」を除くなどの方向性が打ち出されたことに不満を抱いたグループが脱退し、独自の式典を開催するようになった。それが今年も記念式典をおこなう「日本の建国を祝う会」である。これら一連の経緯の背景には、中曽根政権の国家主義・復古主義に対する内外からの批判の高まり、八〇年代以降のグローバル化など、大きく変貌する情勢に対して、権力側にとって、「建国記念の日」をたんなる復古主義で位置づけて祝うことが、必ずしも積極的な意味合いを持たなくなっていたということがあるだろう。しかし、安倍政権の再登場は、この「建国記念の日」についても、新たな意味付けが付与される可能性を高いものとしている。二〇一二年の自民党の選挙公約において、「竹島の日」(二月二二日)、「主権回復の日」(四月二八日)と並んで、「建国記念の日」に政府主催の式典を開催すると明記されていたことを忘れてはならない。
 昨年の「日本の建国を祝う会」による2・11の式典には、下村博文文科相、高市早苗自民党政調会長なども出席し、安倍自民党総裁の祝辞が代読されている。そこでは「政府主催の奉祝式典を実施する、その環境づくりを進めていく」などの発言が相次いでいる。今年の2・11には政府主催の式典は実現しなかったが、「建国記念の日」をめぐっても、安倍政権による攻撃は強まっていくだろうことは間違いない。
 こうした、政府与党のトップが右派勢力によって占められているという状況が、民間右翼に力を与え、またネット言論も含めた右翼勢力の動きが、安倍政権の政治的資源となっているという状況がある。とりわけ、在特会をはじめとする「行動する保守」勢力は、昨年、新大久保や鶴橋をはじめとして、各地で醜悪なヘイトクライムをまきおこした。デモや宣伝などで彼らが垂れ流す差別煽動それ自体が犯罪である。しかし、それらの言説を批判するポーズをとってみせる右翼政治家たちの主張が、本質において在特会などと大きく異なるものではないのだ。それはこの社会を広く蔽っている。
 しかし、在特会を始めとするレイシストの行動に対しては、彼らを社会的に包囲していく動きがこの間大きく作り出されつつある。朝鮮学校へのヘイトスピーチ街宣にたいしても京都地裁が人種差別撤廃条約に言及した判決を出した。
 こうしたさまざまな声に連なりつつ、われわれも社会的に構造化されてしまった差別・排外主義に抗する質を持った、反天皇制運動の大衆化をめざしていこう。


2 「なぜ靖国問題?」の解決を

 靖国神社は、一九四五年八月一五日の敗戦以降、その存在のあり方も含め、国内外で問題とされ続けてきた。その一方で、天皇を含め、国会議員、閣僚、首相らは、敗戦直後から断続あるいは集中的に参拝を続けてきた。軍国主義のイデオロギー装置として連合国側から危険視され、その解体さえありえた占領期を一民間宗教法人とすることで生き延び、その裏では国家が関与した明確な政教分離違反の「合祀」を継続し、植民地主義・軍国主義的なイデオロギーも保持したまま、靖国神社は現在にいたっている。国外からの抗議や国内における訴訟など、具体的な問題が出ても、「靖国」は「靖国」のまま残り続けているのだ。この「靖国」の戦後史は厳しく問い直されなければならない。このような戦後史を許し続けてきた日本社会の問題として、それはいま切実なものとしてある。
 A級戦犯合祀などが主な理由で大きな外交問題となった一九八五年の中曽根康弘元首相の参拝以来、首相の公式参拝は一旦途絶え、二〇〇一年、小泉政権で復活した。同時にそれは、外交問題、あるいは外交問題に起因する政治問題として、頻繁にメディアの俎上にあがることとなった。六年続いた小泉参拝もやはり外交問題が大きな理由で小泉政権とともに終止符が打たれ、首相参拝は再度六年間の空白を要した。しかし、その間も閣僚や国会議員参拝は途切れることなく続いている。昨年も、「春季・秋季例大祭」(四月・一〇月)、「終戦記念日」(八月)における国会議員・閣僚の大量参拝、首相安倍の「真榊」「玉ぐし料」奉納など、安倍政権は国内外に緊張の波をたて続けてきた。そして、一二月、安倍は靖国を参拝した。メディアは「日韓関係はもちろん、対米関係の冷却化を招いた」と断定・批判した。
 安倍の靖国参拝に対し、国外からはもちろん、国内でも大きな批判の声があがった。韓国・中国との首脳会談の準備に奔走してきた外務省をはじめ、自民党内部にさえ批判は渦巻いたという。また、昨年一〇月初めに2+2で来日したジョン・ケリー米国務長官とチャック・ヘーゲル米国防長官は「靖国」ではなく千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花し、靖国否定を態度で示した。参拝直前まで米国や自民党内部からは「やめろ」のサインが出し続けられていたのだ。それを振り切った参拝は、安倍のこれまでの傲慢で挑発的な外交のひとつの典型であり、それは、安倍政権が推し進める戦争国家と対応し、そのことで想定される死者の顕彰・追悼は、ほかのどこでもなく「靖国」でやる、という意思の表明でもある。
 「靖国」参拝で外交問題が生じるのはあたりまえであるが、外交問題が生じるから問題なのではない。政教分離規定では完全に違憲であり、それ以前に、かつての植民地主義・軍国主義への無反省が靖国神社を今なお存続させているのであり、存在そのものが問題であるのだ。また、そのような神社への首相や閣僚・国会議員らの参拝は、この国が靖国思想を肯定し、国家のための死者に感謝し、その死を顕彰し、かつ新たな死の想定を暗黙に了承させる行為としてある。それは戦争をする国家のやることだ。中曽根は「国のために命を捧げた人に国が感謝と哀悼の意を捧げないようでは、これから先、誰が国のために命を捧げるというのか」と語ったではないか。
 しかし、この「靖国」問題はいま、外交問題、あるいはそれを起因とする政財界の不利益に繋がる結果の政治問題としてのみ、新聞・TV等のマスメディアによって語られる。そしてそれがそのまま世論につながるという事態が延々と続いているのだ。「靖国」問題とは歴史認識の問題であり、戦争と平和、民主主義に関わる問題である。その解決は、「靖国」と靖国的なものを残し続けてきた日本社会の課題である。私たちは諦めることなく訴えていきたい。


3 日米安保の強化・沖縄の前線基地化
  辺野古新基地建設をとめよう

 安倍政権は、中国や朝鮮の軍事的脅威やアルジェリア人質事件のような「国際テロ」から国家と企業を守るとして一挙に改憲の先取り=「戦争できる国」へと国家体制の大転換をすすめている。昨年末、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法」と「特定秘密保護法」を強行採決し、年末には対中国戦争を想定した、国家安全保障戦略、新防衛大綱、中期防衛力整備計画を閣議決定した。島しょ「防衛」を名目に「防衛」の重心を北方から南西諸島に移し、「沖縄の基地負担軽減」と言いながら、沖縄・琉球諸島全域を軍事基地としようとしている。与那国島に自衛隊の沿岸監視部隊を配備し、移動式警戒管制レーダーを南西諸島の島しょ部に配備、那覇基地に早期警戒機の飛行隊新設配備と戦闘機部隊を一個飛行隊から二個飛行隊に増勢する。「平成二六年度」防衛予算も二年連続増加であり、陸上自衛隊員の定数をはじめてふやした。
 安倍政権の領土ナショナリズムを煽る好戦的施策は、中国や韓国、朝鮮から避難を浴び、軍事的、政治的緊張を激化させている。同盟国米国からも安倍首相の靖国参拝や「従軍慰安婦問題」では非難されている。米政府は中国の防空識別圏への対応でも民間航空会社が中国政府へ飛行計画提出を容認するなど安倍政権と一線を画しており、歴史認識などでは安倍政権の国際的な孤立も深まっている。
 安倍政権がすすめる戦争国家化は、日米安保体制のさらなる強化をもたらす。それは沖縄を一層、日米の軍事基地・出撃基地とすることであり、沖縄に再度の「犠牲」を強いることである。安倍政権は、そのためにあらゆる手段を使って沖縄民衆の反戦反基地の闘いを叩き潰し、辺野古新基地建設を強行しようとしている。
 安倍政権は、昨年末から仲井真沖縄県知事の公有水面埋め立て承認、そして一月一九日の名護市長選で辺野古新基地建設推進派の末松候補を当選させるために権力や金などあらゆるものを総動員して沖縄に襲いかかった。まず沖縄選出の自民党国会議員団を「離党勧告や除名処分」の恫喝をもって普天間基地の「県外移設」から「辺野古容認」へ転向させた。石破自民党幹事長がその国会議員五人を従えての「記者会見の光景は、歴史の歯車が1879(明治12)年の琉球処分まで後戻りしたような印象を抱かせた」(沖縄タイムス)と沖縄メディアをして言わしめた。その後自民党沖縄県連を屈服させ、一二月二七日の仲井真県知事の公有水面埋め立て承認を引き出した。続く名護市長選では、石破自民党幹事長は末松候補への選挙応援で「五〇〇億円の名護振興基金」を打ち上げ、沖縄は「金さえ出せば基地を容認する」という態度を露骨にしめした。この沖縄差別に貫かれた安倍政権・石破幹事長の行動は、二〇一一年、当時の米国務省日本部長ケビン・メアによる「沖縄は日本政府にたいするごまかしとゆすりの名人」という発言と同一の、沖縄民衆に対する侮辱以外の何ものでもない。この間の安倍政権の沖縄に屈服を強いる態度は植民地宗主国としてのふるまい以外の何ものでもない。
 沖縄の民衆は、仲井真県知事の埋め立て承認に対して県庁包囲・県庁ロビー座り込みなどで抗議し、仲井真県知事の辞任・「承認取り消し」を要求して闘いを開始している。政府の総力がかかる名護市長選挙で辺野古新基地建設反対の現職稲嶺進さんを当選させた。名護市議会を含め県内一〇の議会が安倍政権や仲井真県知事への抗議や埋め立て承認撤回を要求する決議を可決しており、今年一月に辺野古埋立承認取消訴訟を那覇地方裁判所に提訴し、全面的な対決に入った。
 安倍政権・沖縄防衛局は、市長選の二日後には辺野古基地建設に向けた施設設計・調査などの入札公告を行い、「市長権限を制限するため是正措置や行政代執行などを検討」など強権で基地建設をすすめる姿勢を明らかにしている。
 そうした中で問われているのは私たちヤマトの民衆の運動である。日米による沖縄軍事基地化の元凶は天皇ヒロヒトが自らと天皇制の延命のために沖縄を米軍に提供した「天皇メッセージ」と日米安保締結にある。近代天皇制国家成立以降一貫して日本人民が克服できずにきた沖縄、アイヌ民族、中国、朝鮮への差別・排外主義と、天皇制との闘い抜きに安倍政権の戦争国家化、沖縄の軍事基地化を止めることはできない。今春以降具体的になる辺野古新基地建設を阻止し、戦争国家の完成とも言える国家安全保障基本法阻止の闘いをつくりだそう。


4 安倍自民党政権に対決する
  幅広い取り組みを作り出そう

 第一次安倍政権において成立させられた現行教育基本法は、「伝統と文化を尊重し」「我が国と郷土を愛する」ことを「教育の目標」の一つにすえた。教育においてもっとも重要であるべき個人の尊厳は、「公共の精神」に制約されるものとされた。
 この現行の教育基本法の制定時には、安倍らの愚劣な国家主義や精神主義に基づいた「教育」のために学校や職員を変えようとしていることに対して、多くの批判がなされた。しかし、教育基本法改定から六年を経て、日の丸・君が代の強制や、教員の「再教育」などをはじめ、すでにかなりの変化が教育現場にもたらされている。そして、これらに加え、第一次政権下で安倍の首相の座とともに頓挫した「教育再生会議」が、第二次政権においては「教育再生実行会議」として開始されている。
 この「教育再生実行会議」は、「愛国心教育」や「徳育」を加えた国家主義的教育や、「道徳」の教科化などをもくろんでおり、「教育再生推進法案」なるものを制定しようとしている。この法案は、学習指導要領に基づく指導や教材使用の強制、教職員に対する人事管理、学校の統廃合などをはじめとして、国家による教育の全面的な支配を確立しようとするものだ。
 教科書採択では、沖縄・八重山地区における教科書採択に見られるような、いわゆる「つくる会教科書」の強要や、「国旗・国歌の強制」に触れた教科書を排除しようとする教育委員会や右派議員の動きも、神奈川や大阪などをはじめとして活発になっている。また、君が代に不起立の教員に対し最高裁で減給処分が取り消されたにもかかわらず、都教委が同一の案件で戒告処分を出すなど、権力を濫用する悪質さもエスカレートしている。
 安倍政権は昨年一二月に、国家の情報を隠蔽し報道や調査を罰する「特定秘密保護法」の制定を強行したが、治安法などの改悪の動向もこれにとどまるものではない。すでにネットワークを大幅に規制する盗聴法の拡大や、共謀罪の新設も予定されている。安倍版NSCの国家安全保障会議の創設に伴い、社会のあらゆる面で監視体制と情報統制の強化がもくろまれている。特定秘密保護法の廃止運動などをはじめ、持続的な闘いがより重要な課題となっている。
 「二〇二〇年東京オリンピック」が決定されたことで、今後の社会・経済体制も、これに向けて短期間に激変させられるだろう。生活保護などの福祉行政が改悪され、「野宿者」排除など行政の警察化も強化されている。特定企業の思うままに労働者を使い捨てる「特区」の制定ももくろまれており、消費税の上昇を財源に、国家による生活環境の破壊と、権力にたかる少数の連中による「開発」「投資」の利権あさりが臆面なく広がりつつあるのだ。
 三月一一日には、昨年に引き続き、天皇・皇后の出席で東日本大震災三周年の「追悼式典」も予定されている。核エネルギー開発を進めた国家や企業への批判は「追悼」儀式により蔽われ、原発の再稼働と「棄民政策」がますます強引に進められようとしている。
 今年は、一〇月に長崎において国民体育大会が予定されており、全国豊かな海づくり大会は、今年は奈良県吉野郡において開催が予定される。全国植樹祭も六月に新潟で予定されている。天皇や皇后は老齢化し病気がちとなって、その「公務」の範囲を縮小しようとしているが、これらについては今後もなお出席を続けるという意向が示されている。私たちは各地の運動との結びつきを広げ、「天皇行事」への反対運動を模索していかなければならない。
 今年もまた、本日の反「紀元節」の闘いに始まり、サンフランシスコ条約と日米安保が発効した四月二八日と「昭和の日」の四月二九日を貫く闘いへと向かう。幅広い人々の取組みとつながりながら、運動を広げてゆこう。