2013/04/25

【共同声明】異議あり! 4.28「主権回復の日」共同声明

 
 私たちは、政府自民党による4月28日の「主権回復の日」化を許さず、天皇出席の下で行おうとしている記念式典に反対します。
 この日を「主権回復の日」として祝うことは、以下のような理由から大きな問題があると考えます。

1)サンフランシスコ講和条約は「片面講和」であり、日米安保体制とともに、冷戦構造のもとで、アメリカを中心とした一方の極に加担することを意味しました。このことによって、米軍は、行政協定(現在の地位協定)に基づいて引き続き駐留が認められ、「本土」から分離された沖縄は、米軍がほしいままに使用できる基地の島となりました。そのもとで日本は、朝鮮戦争やベトナム戦争、そして現在アメリカが推し進めている「対テロ戦争」にいたるまで、アメリカに出撃基地を提供するとともに、戦争支援・協力を続けることになりました。
2)昭和天皇を核とする日本の支配層は、アメリカのヘゲモニーの下でかたちづくられたこの体制に積極的にすり寄ることによって、延命しました(岸信介ら戦犯容疑者も、講和条約を期に公職追放を解除されました)。沖縄への米軍の長期の駐留を「希望」した昭和天皇の「沖縄メッセージ」にもみられるように、昭和天皇は、沖縄「切り捨て」に明確な責任を負っています。この天皇のメッセージを受け、アメリカは引き続き沖縄を軍政下に置くことになりました。沖縄を基地として自由に使おうとするアメリカは、「銃剣とブルドーザー」によって強制的に土地を接収し、基地を拡大していきました。
 さらに、サンフランシスコ講和条約の枠組と冷戦構造のもとで、日本の戦争責任は事実上不問に付されてしまいました。きわめて不十分な戦後賠償さえ、日本の資本進出の足がかりとなるようなかたちでしかなされませんでした。侵略戦争による住民の被害のみならず、軍人・軍属として、あるいは「慰安婦」や強制労働・徴用といったかたちで、アジアの人びとが動員され、多大な被害を与えたにもかかわらず、一切の個人賠償もきちんとした謝罪もなされずにきました。日本が賠償を免れることができたのは、アメリカの強い働きかけがあったからであるともいわれています。その結果、日本は軍事的・政治的にはアメリカに「従属」しながら、経済的には高度成長とアジア再進出を果すことが可能となりました。しかしそれは、「アメリカを通してしかアジアと向き合うことができない」戦後日本の基本的な性格をも作りだしました。

3)サンフランシスコ講和条約は、かつての「大日本帝国」を解体して、戦後日本の国境線を新たに確定させるものでもありました。しかし講和条約の会議には中国・台湾や南北朝鮮の代表は招かれず、ソ連も条約の調印を拒否しています。この条約に基づいて「日本が放棄すべき領土」に何が含まれるのかということは、アメリカや日本も含め、さまざまな議論がありましたが、最終的にはアメリカの「安全保障」の必要上線引きをした部分もあります。尖閣(釣魚島)、竹島(独島)や「北方領土」をめぐる係争も、このときの偏った戦後処理がなされた結果として生み出されたものにほかなりません。
4)さらに、この日をもって、朝鮮人・台湾人など旧植民地出身者は、一方的に日本国籍をはく奪され、日本社会の構成員ではない存在とされました。この日、旧植民地出身者を治安管理の対象とする思想に貫かれた入管体制(外登法・入管法)が確立されたことで、それまでも生存の権利をはく奪され、 差別されてきた「在日」の人びとは、その法的地位の不安定さや社会的な無権利状態を「公的」に温存・強化されることになりました。
 日本政府は「戸籍」と「国籍」を都合次第で使い分け、たとえば軍人恩給や各種社会保障については「内地戸籍をもたないから」と適用を除外しました。一方、巣鴨に囚われていた朝鮮人BC級戦犯は、講和条約の発効とともに刑の執行停止を求めましたが、日本政府は「そのときは日本人だったのだから」と言って拒否しています。
 これらは本来、戦後の出発点において清算されなければならなかった問題でした。しかしそれは存在しなかったように形を変えて、現在まで継続する植民地主義の問題となっています。

 以上のように、安倍政権が記念しようとする「主権回復の日」とは、敗戦と占領を経て、冷戦体制の刻印のもとに、戦争と差別を不可分のものとして戦後日本国家が確立し、出発した日です。そのことを肯定し、積極的に意味づけようとするのが、政府による記念式典です。本来、植民地支配と侵略戦争の責任を果たし、「平和構築」の第一歩となるべき日が、このような多くの問題を抱えた日となってしまいました。このように歪められたものを、それとして祝おうというのが安倍政権の政治です。私たちは、現在の日本国家・社会のさまざまな問題が、このような戦後日本国家の起点にあるがゆえに、「主権回復の日」に反対します。
 同時に安倍政権は、全面改憲に見られるように、戦後日本国家の全面的転換をも図ろうとしています。「主権回復の日」は、いまある「国家主権」を賛美し、「領土問題」などをめぐって脅かされる「日本の主権」を守ることが「国民」の責務であるというキャンペーンの日にもなるでしょう。
 私たちは、このような「主権回復の日」を許さず、それを祝う式典に反対する意志を共同で示すために、以下連名で、この共同声明を発します。  

                                                                                                                     2013年4月25日
【共同声明】賛同団体
            ↓
異議あり!「主権回復の日」共同声明http://www.ten-no.net/428seimei/

2013/04/16

反天皇制運動 カーニバル1号(通巻344号)

 
反天連機関紙 カーニバル1号  2013年4月16日発行


 【扉】 (津田凌子)
 

【主張】 天皇出席の式典にNO!「講和」と「昭和の日」に反対しよう。(北野誉)

 

【動物(あにまる)談義】 “真打登場!?”の巻


【状況批評】 教育はどう奪われようとしているのか(佐野通夫)

 

【反天ジャーナル】 ・「冷静な軍人たち」の罠(井上森/立川テント村)

                               ・こじれた「改憲」状況をどう生きる!?(排外主義にNO!福岡/竹森真紀)

             ・チェルノブイリを描いた劇映画「故郷よ」(映女)

 

【書評】 太田昌国著 『テレビに映らない世界を知る方法』(栗原幸夫)

 

【太田昌国のふたたび夢は夜ひらく】 36「日本人の統一」を呼号するのではなく

                                                                                「論争ある分岐を」(太田昌国)

 

【皇室j情報の解読】 「維新のドン」と「売国ナショナリズム」

                                       ―安倍政権と石原慎太郎の〈壊憲〉政治批判(天野恵一)

 

【野次馬日誌】 3月1日~4月6日

 

【政府主催の「東日本大震災追悼式」に反対する共同声明報告】

 

【集会の真相】 ・2月~3月・緊急会議の取り組み

                           (海棠ひろ/福島原発事故緊急会議・生きる権利プロジェクト)

          ・やってる場合か! 東京国体 日体協デモ(蝙蝠)

 

【反天日誌】 

【集会情報】

【神田川】

 

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2013/04/14

「講和」・安保・天皇制を問う! 4.29反「昭和の日」行動


日時:2013年4月29日(月・休) 午後2:00
集合 3:00デモ出発
場所:柏木公園 (
東京都新宿区西新宿7)(http://www.shinjuku.info/S75269.html

 昭和天皇裕仁は、アジア・太平洋における侵略戦争と植民地支配の最高責任者でした。また、天皇制と自らを守るため、敗北が明白な戦争を長引かせ、沖縄戦と「本土」各地の大空襲、ヒロシマ・長崎への原爆投下という悲惨な事態をもたらしました。
 

 敗戦後、「米国による琉球諸島の軍事占領の継続を望む」という、1947年の連合国にあてたいわゆる天皇メッセージが、現在の安保体制と沖縄の基地問題を 形づくりました。実際、サンフランシスコ講和条約もそれとセットで調印された日米安保条約も天皇メッセージに沿ったものでした。

 そのよ うな昭和天皇裕仁の誕生日を「国民の祝日」とする「昭和の日」を祝うことなどできません。敗戦から今日まで、日本政府は「紀元節」「元号」「日の丸・君が 代」「昭和の日」の制定など、着々と戦後の天皇制国家を強化してきました。一方で、戦後賠償の軽減によって経済大国にのし上がりました。そしていま、「国 防軍」の設置や天皇の元首化など、憲法改悪を具体化させつつある安倍政権は「主権回復」を唱えています。その真意は戦争国家としての仕切り直しにあること は明らかです。

安倍の思うとおりにはさせない、の声を上げていく行動にぜひ合流を

2013/04/13

【集会】誤った戦後国家のスタート「主権回復の日」(4.28)を今こそ問う!――沖縄・安保・天皇制の視点から

 
講師:新崎盛暉さん(沖縄平和市民連絡会代表世話人)
日時:2013年4月28日(日) 午後1:30〜
場所:新宿歴史博物館・講堂
共催:反安保実行委員会、反「昭和の日」実行委員会
 
 
 
安倍内閣は、3月12日、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に、政府主催の記念式典を開くことを閣議決定した。式典には、天皇・皇后も出席する。安倍は、国会で「日本がかつて主権を失い、7年間占領されていたということを 知らない若者が増えている」と語っている。
しかし、「知るべき」(あるいは「思い出すべき」)は、講和条約が、加速する冷戦状況のなかで、アメリカ主導によって進められ、本来の戦争賠償や平和構築といった課題がうち捨てられてしまったことである。
同時に結ばれた日米安保条約により、占領軍がそのまま日本に居座り、基地の自由使用が継続されたのである。なにより、沖縄は、「主権回復」から切り離され、米国による軍事占領が継続されることとなり、72年の「復帰」後も米軍基地の存在はなお重くのしかかったままである。東側諸国との対抗軸の中での、日本の経済力のひたすらな強化が求められ、被害当事者には届かない戦時賠償すら切り詰められた。侵略の最大の被害国・中国は講和会議にすら呼ばれていない。植民地支配に結果する在日韓国・朝鮮人の日本国籍を一方的に剥奪し、差別を固定化した。
安倍自民党政権の言う「主権回復」の正体とは何であるのか。政府主催の記念式典が行われる今、改めて「講和」の内実を問う集会を持つ。