2014/06/11

天皇の沖縄訪問反対! 沖縄戦・『対馬丸』事件の責任を問う 6・26集会


2014年6月26日(木)
18:00 開場/18:30 開始

講師:石原昌家さん
   沖縄国際大学名誉教授
   著書に『虐殺の島―皇軍と臣民の末路』 (晩聲社)
   『ピース・ナウ 沖縄戦』(法律文化社)など

場所:渋谷区勤労福祉会館 第1洋室
   JRほか渋谷駅下車7分(パルコ前)

 2012年(「海づくり大会・沖縄」)に続いて今年6月26~27日にも天皇の沖縄訪問が計画されている。今回の訪問は「対馬丸事件」(囲み参照)70年を期して、対馬丸記念館視察のためとしている。
 天皇アキヒトは1997年、『対馬丸』の船体が発見されたことを短歌に詠み、誕生日会見で「私と同じ年代の多くの人々がそのなかに含まれており、本当に痛ましい……」と発言したとされている。
 「もう一度戦果を挙げてからでないと……」という天皇ヒロヒトの言葉によって、「本土決戦」準備が整うまで、米軍を一日でも長く沖縄に引きつけておく「出血持久戦」として凄惨な地上戦が行われたのが沖縄戦である。その沖縄戦に向かう過程で、日本軍の食糧確保と作戦の足手まといとなるということで、老幼婦女子10万人の疎開が行われた。それは日本軍の作戦行動の一環として行われ、その結果として「対馬丸」事件の被害もうまれたのである。
 天皇の沖縄訪問は、辺野古新基地建設など現在強権的に進められようとしている米軍・自衛隊基地建設を加速させ、反基地闘争を孤立させ、そこに貫かれている反ヤマト(日本)意識を解体させることになる。
 私たちは、天皇の沖縄訪問反対の論理を深めていくために、石原昌家さんを迎えて、沖縄戦と対馬丸の問題について、その責任を明らかにしていきたい。また対馬丸事件の死者は、「戦時遭難船舶」の中で唯一「慰霊・顕彰」され、靖国合祀も行われている。それはなぜか。8・15にむけて、天皇制国家による「慰霊・追悼」批判の視点も共有したい。


【対馬丸事件とは?】
 1944年7月サイパン島「陥落」後、次は〝沖縄だ〟と判断した軍の要請で、10万人の疎開計画が出された。海上の危険などで進まない学童疎開は校長や教員を通じて半強制的に行われた。8月21日、那覇港から長崎に向けて出港した学童疎開船3隻のうち、「対馬丸」が奄美大島近くの悪石島付近で米潜水艦に撃沈され、乗客約1800人(学童800人)中、約1500人(学童741人)が亡くなった。



8・15反「靖国」行動(準備会) http://2014815.blogspot.jp/
【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2014/06/10

カーニバル15号[主張]


 戦争をする国家による「追悼」を許すな!

 この原稿を書いている時点で、国会会期末まであと二週間。「安全保障法制整備」のための閣議決定に「集団的自衛権の行使容認」を明記しようとする安倍政権は、主に公明党との間で文言の調整をすすめている。報道によれば、当初、「行使容認に慎重な公明党」に配慮し、必要最小限度の「自衛権」との表記にとどめ、自衛権が「集団的」か「個別的」かで区別せずに閣議決定することにしていたが、安倍の強い意向で方針を転換し、「集団的自衛権」を明記する意向をあらためて示したという。さらに公明党との協議の過程で、政府は、事実上、戦場での積極的な戦闘行為以外のすべてに自衛隊が関与しうる「PKOなどの国際協力を念頭にした自衛隊の後方支援活動の範囲を見直す」案さえ出している。

 前号の主張にもあるように、こうした姿勢は、五月一五日の安倍の記者会見で、はっきりと打ち出された。多くの人びとによって指摘されているように、それはまさにクーデター的なものである。国会での審議すら経ずに、ただ時の内閣が合憲と解釈すれば、いとも簡単に解釈変更ができるという。本来、内閣には憲法を遵守する義務はあっても、それを解釈する権利などありえない。まさにこうした行政府の恣意を許さないために存在するのが憲法であるはずだ。

 安倍は、閣議決定の時期について「年末までに日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しを完了する。それに間に合うようにまとまることが理想的」と述べている。日米同盟の一層の強化と、対中国シフトとしての「離島防衛」=沖縄前線基地化をすすめる安倍政権にとって、自衛隊が「国民の生存の確保」や「平和主義」の名のもとに、「日本が攻撃を受けていない場合」においても海外で軍事行動がとれること、すなわち戦争をすることがいつでもどこでも可能であるとすることは、必要不可欠のことである。

 あらゆる分野で、いわゆる「戦後民主主義」において、たとえ微弱でも存在した「戦後的価値」が一掃されようとしている。「安倍政権打倒!」が、決して空疎なスローガンではありえない状況であると強く感じる。

 文字通りの戦争国家の道をひた走る安倍政権にとって、戦争の準備は、国家による戦死者の「追悼」の準備をも要請せざるをえない。戦争国家の戦争行為によって、自国の死者が生み出される可能性は、きわめて大きなものとなっている。私たち反天皇制運動の視角からする安倍政権・戦争準備批判の大きな柱として、「靖国」と国家による「慰霊・追悼」に反対する課題が、あらためて前面に据えられていかなくてはならないのだ。

 私たちはいま、私たちも参加する実行委員会として、例年同様に8・15反「靖国」行動の準備に入っている。死者を、国家的に「追悼」する中心施設は、安倍にとって靖国神社であるかもしれないが、アジア・太平洋戦争をはじめとする戦争と植民地支配の総体を肯定する靖国神社がそのような位置を占めるのは、少なくとも現在の姿のままでは不可能であろう。しかし、靖国参拝にみられるその賛美が、「国家に命を捧げる」ことの美化を意味することは明らかだ。

 私たちの8・15行動(デモ)は、大量の右翼と警察に囲まれ、その両者による暴力と介入に見舞われる中を進むものとなってしまっている。デモ本来の街頭における自由なアピール行為という面からいえば、実に不本意なことでもあるが、逆説的にいえば、この日現出するそうした空間が、天皇制や靖国をめぐるこの国と社会の現実、すなわち「少数者」に対する線引きと暴力的排除の本音を、可視化しているのだ。だからこそ私たちも、こうした行動を続けていかなくてはならないが、それにとどまらず、多くの人たちと、この問題を討議していく場を意識的に作っていきたい。

 実行委としては、七月二一日に前段集会を持つことにしているが(詳細次号)、六月二六日の天皇沖縄訪問(対馬丸記念館視察など)についても、当日夜、この実行委員会として討論集会を持つことにしている。字数がないので、内容的なことについて詳しく展開することはできないが、対馬丸事件の死者もまた、援護法行政とのからみで靖国に合祀されている存在である。すなわち、天皇制国家による死者、沖縄戦の被害者が、国家による謝罪・補償ではなく「国に命を捧げた」として顕彰されること、そして過去と現在の戦争国家をつなぐ場面に、死者を介在させて天皇が登場し、国家的に包摂していくという構図がここにもある。ぜひ、こちらの集会へも参加を!
(北野誉)

反天皇制運動カーニバル15号[通巻358号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル15号 [通巻358号]
2014年6月10日発行


主張◉ 戦争をする国家による「追悼」を許すな!

動物(あにまる)談義◉ 〝皇族婚約〟の巻

状況批評◉ 安倍政権の「戦争をする国」路線を許してはならない─清水雅彦

反天ジャーナル◉  ・グローバル下の日本の労働者が…
          ・卒入学式の一コマ
          ・「グリーナムの女たち」と命の歌

ネットワーク◉ 連続講座〈運動と思想〉:花崎皋平が花崎皋平を語る─ピープルズ・プラン研究所事務局・たんば

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈50〉◉ 日朝合意をめぐって、相変わらず、語られないこと─太田昌国

皇室情報の解読◉ 原発再稼働と〈壊憲〉全面軍事化政策を重ねて考える─アキヒト夫婦のオバマ大統領の異例の「おもてなし」の政治的意味─天野恵一

野次馬日誌◉ 5月14日~6月4日

集会の真相◉
  • 茨城反貧困メーデーinつくば&in水戸
  • 貧困ではなく富裕を問おう
  • 持たざる者の全都メーデー
  • 東アジア反日武装戦線と私たちの来た道、行く道

集会情報◉

神田川◉



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2014/06/07

2014 8・15反「靖国」行動(仮称)への参加・賛同の呼びかけ


 安倍政権による憲法破壊、米軍とともに戦争を遂行する国家への原理的な転換が進んでいる。原発やTPP、安保・沖縄・基地問題、教育、歴史認識、労働法制など各分野にわたって、いわゆる「戦後民主主義」をも根底から否定し、国家主義と強権に貫かれた全面的な再編が成し遂げられようとしている。

 五月一五日、首相の「お友だち」による私的諮問機関にすぎない「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書提出を受けて記者会見した安倍首相は「集団的自衛権の行使」を合憲とする「基本的方向性」をはっきりと打ち出した。

 それは、「国民の生存の確保」や「平和主義」の名のもとに、「日本が攻撃を受けていない場合」においても海外で軍事行動がとれること、すなわち戦争をすることが可能であるとするものだ。これまで歴代の自民党政権みずからが「集団的自衛権の行使」は違憲としてきたものを、国会での審議すら経ずに、ただ時の内閣が合憲と解釈すれば、いとも簡単に解釈変更ができるという。これはまさにクーデター的手法である。内閣には憲法を遵守する義務はあっても、それを解釈する権利など本来ありえない。憲法は、まさにこうした行政府の恣意を許さないために存在するのだ。

 この間安倍政権は、秘密保護法・日本版NSC設置の強行、新防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)決定をおこない、辺野古への基地建設推進など、日米同盟の一層の強化と、対中国シフトとしての「離島防衛」=沖縄前線基地化に踏み込んでいる。文字通りの戦争国家の道をひた走る安倍政権にとって、戦争の準備は、国家による戦死者の「追悼」の準備をも、要請せざるをえないのである。

 昨年一二月二六日、安倍首相は靖国神社を参拝した。アジア諸国のみならず、アメリカから、さらには与党・政権内部からも懸念を示されていたにも関わらず、自分の「気持ち」だけで突っ走ったのだ。

 靖国参拝が、国家の宗教との関わりを禁じた憲法の政教分離規定(二〇条)に反する行為であることは明らかである。そればかりではない。靖国神社とは、天皇のための死者、侵略戦争の戦死者を「英霊」として祀る神社であり、その歴史観はかつての戦争を「アジア解放戦争」「聖戦」として賛美するものである。首相としてその神社に参拝することは、日本政府が侵略戦争と植民地支配の歴史総体をも肯定することにしかならない。それはもはや、過去の侵略戦争も、今後準備されるであろう侵略戦争も区別しないということである。過去の戦争もまた「平和」の名のもとに行われたことを忘れてはならない。安倍政権は、国家による戦争発動は、常に正義であると宣言しているに等しいのだ。

 こうして国家の戦争が「正当」なものである以上、その死もまた賛美されべきるものとなる。もちろん、「戦争国家」によっておこされる戦争の死者を追悼する中心施設がどのようなものであるべきかという点については議論は分かれている。安倍は明確に靖国派であり、新たな「無宗教の追悼施設」に対しても否定的な態度を示しているが、しかし問題は、靖国神社であれ新しい追悼施設であれ、それが結局「お国のための死」を賛美し、死に追いやった国家の責任を無化し、それへの責任追求に向かわせなくする機能にこそあるのだ。

 八月一五日、天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式である。こうした死者の利用は、来るべき戦争において生み出される死者にたいする国家の「追悼」において、まったく同質の姿を見せることになるだろう。

 こうしたことを訴える私たちの反天皇制運動に対して、街宣右翼や在特会によるデモ妨害が執拗に繰り返されている。さらに彼ら右翼を利用してデモを規制しようとする警察権力の動きも強化されてきている。右翼的な部分は、私たちの行動は死者への冒涜であるなどと主張する。だが、我々が批判しているのは、そうした死者を生み出し、今後も生み出そうとしている日本国家の歴史的・現在的な負性そのものである。だからこそ私たちは、多くの人びととともに、歴史認識の歪曲・改ざんを許さず、天皇制国家による侵略・植民地支配責任を追及する声をあげ続ける。靖国神社・国家による「慰霊・追悼」反対、天皇制の戦争責任・植民地支配責任の批判と、安倍改憲政権による戦争国家づくり、天皇元首化の実質化、ナショナリズム・排外主義煽動に抗する反天皇制運動をともに作り出していこう。実行委員会への参加・賛同を訴える。

8・15反「靖国」行動(準備会) http://2014815.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2014/06/01

反天連パンフレット――安倍政権と象徴天皇制の変容

反天連パンフレット
安倍政権と象徴天皇制の変容 
2014年4月29日発行 300円
目次
・天皇モデルの転換と私たちの民主主義・・・・・・・・2
・戦後天皇制を支えた「家族」の崩壊・・・・・・・・14
・天皇と皇后による天皇制の「政治利用」・・・・・・・・23
・討論・・・・・・・・31
 
このパンフレットは、2013年12月23日に、東京・早稲田で開かれた「安倍政権と象徴天皇制の変容」(主催:反天皇制運動連絡会)を冊子にしたものです。