2013/12/28

【緊急抗議声明】安倍首相の靖国神社参拝を糾弾する

【緊急抗議声明】安倍首相の靖国神社参拝を糾弾する

12月26日 
反天皇制運動連絡会



 本日(12月26日)午前、安倍晋三首相は、突如靖国神社を参拝した。中国や韓国などとの外交関係を悪化させることが当然想定され、また、アメリカからもたびたび懸念を示されており、政府内やマスコミでも「靖国参拝見送りの公算」と言われていたなかでの、それはまさしく突然の参拝だった。


 われわれは、内外の反対を押し切って突如としてなされた、この靖国参拝という行為、そしてそれを通じての戦死者の「英霊」化とその顕彰、それが象徴する戦争責任・植民地支配責任の居直りのすべてを、怒りをもって糾弾する。


 まず、首相が「一宗教法人」たる靖国神社に参拝する行為は、国家の宗教との関わりを禁じた憲法の政教分離規定に反する行為である。この10月にも安倍首相は伊勢遷宮の儀式に出席した。これらは、解釈改憲によって実質的な改憲を積み重ねている、現在的な憲法破壊行為の一環である。


 さらに靖国神社は、その基本的な歴史認識として、かつての戦争を「聖戦」として賛美し、その戦争での死者を「英霊」として褒め称える神社である。1978年のA級戦犯の合祀は、東京裁判を根底から否定する彼らの歴史認識からすれば当然だった。安倍の靖国参拝は、そのA級戦犯を含む戦争の死者をまるごと「日本のために尊い命を犠牲にされたご英霊」とするものであり、侵略戦争と植民地支配責任を公然と否認することにほかならない。


 また、靖国違憲訴訟をはじめとする、積み重ねられてきた靖国批判の声、アジア諸国からの抗議の声に耳を貸さず、自分の「気持ち」だけを強引に押しつけて恥じない態度は、この間の安倍政権の、民主主義を無視した独裁的な政治手法の現われでもある。まさに傲慢不遜というほかない。


 一部マスコミは、今回の靖国参拝が、沖縄県に対する辺野古基地容認を無理やりに呑ませることに成功の見込みがつき、その点でアメリカからの批判を回避しうるというタイミングで決断されたのではないかと報じている。戦後日本国家の全面的な作りかえを目指す安倍政権の暴走は、社会の全分野であつれきを生みだしている。秘密保護法や日本版NSC設置を強行し、新防衛大綱・中期防衛力整備計画とともに「愛国心涵養」の文言を盛り込んだ「国家安全保障戦略」を決定した安倍政権は、まさに戦争国家への道を突き進んでいる。国家の指導者が戦死者を祀る神社に参拝することも、戦死者を今後新たに生み出していくための準備にほかならない。


 憲法の枠を公然と破壊し、国家主義を推進し、民衆の自由や生存権を踏みにじり、アジア諸国にたいすることさらな挑発をおこない、戦争国家への道をひた走る安倍政権を、私たちはけっして許さない。安倍はただちに退陣しろ!

2013/12/25

【申入書】辺野古への新基地建設計画の撤回を求める要望書  

【申入書】辺野古への新基地建設計画の撤回を求める要望書    

2013年12月25日 

反天皇制運動連絡会


内閣総理大臣 安倍晋三様

 政府は、辺野古への基地建設に対して、辺野古現地で身体を張って海を守る人々の存在を無視することは許されない。いま沖縄県庁前で抗議の声をあげ、また、県民大会に参加した九万の人々の反対の意思を無視することもあってはならない。沖縄県議会が全会一致であげた反対決議も、那覇市議会が全会一致で可決した意見書も無視することがあってはならない。いまこの寒空の下に集まって抗議する私たちの声も無視してはならない。
 それらのすべてが主張していることは、沖縄の人々の生存権にかかわることであり、沖縄の人々に連帯しようとする全国の人々、さらには世界の人々の平和と尊厳にかかわることである。
 沖縄の人々の生活の場である土地と海を奪い、生活そのものを壊し、沖縄の人々が平穏に生きる権利を侵害し続けることで得る「安全保障」などありえない。誰かの犠牲を前提として語られる「安全保障」は明らかに差別である。基地や軍隊を必要としない社会こそが、多くの人々の願いであり私たちの要求である。政府は世界規模のその要求に耳を傾けよ。
 最後に、私たちは天皇制に反対する立場から、以下の点を実行することを要求する。
1.辺野古への新基地建設計画を即刻撤回せよ
2.一八七九年の明治政府による琉球処分に始まる日本の沖縄支配、一九四七年の昭和天皇による「天皇メッセージ」に始まる沖縄の米軍への売り渡し、返還後も続く米軍支配の容認の歴史を反省し謝罪しろ。そして沖縄から基地を撤去するための努力をすぐに開始しろ。交渉する相手は仲井真知事ではなく米国であり米軍である。

2013/12/23

運動〈経験〉37号 ― 〈敗戦(8・15)後〉と〈原発震災(3・11)後〉

 2013年12月23日発行

目次


特集●〈敗戦(8・15)後〉と〈原発震災(3・11)後〉

戦後をやり直したい    ●北村小夜


天皇の「終戦」に抗して     ●栗原幸夫


民主主義の根本原則を再確認しよう    ●彦坂諦


一九四五年七月一六日と八月一五日の記憶    ●梶川凉子


震災後と敗戦後、そして何よりも戦争の認識をめぐって    ●高橋武智


戦後民主主義と科学主義をめぐって    ●加納実紀代


ロング書評「ヒロシマとフクシマのあいだ」    ●田浪亜央江


誤った戦後国家のスタート「主権回復の日」を今こそ問う! 4・28集会の記録  ●天野恵一+新崎盛暉+中村利也


[象徴天皇制の現在]社会に介入する天皇制    ●桜井大子


[連載・1968論議]「ベ平連」と「全共闘」    ●天野恵一


[福岡から]なぜ、いま、朝鮮学校とつながりたいのか    ●竹森真紀



定価:1000円+税
編集●反天皇制運動連絡会 
発行●軌跡社
発売●社会評論社 

2013/12/11

カーニバル9号[主張]


安倍独裁政権との対決を! 12・23反天連集会にも集まろう

 「特定秘密保護法案」が参議院で可決・成立して一夜明けたいま、この原稿を書いている。絶えず胸にざわめいてくるものがあるのを、押さえることができない。

 きのう(一二月六日)、日比谷野外音楽堂で行われた集会には一万五〇〇〇もの人が集まり、参議院会館前や国会正門前も何万という人で埋め尽くされた。多様な団体から反対声明が相次いで出され、世論調査でも五〇%が反対、パブコメや公聴会でも反対論あるいは慎重論が圧倒的多数、国連の機関からも憂慮が示されるという現実のなかで、なんとしても今国会で同法案を成立させようと、政府与党は多くの反対言論を嘲笑うかのように強行採決を繰り返した。われわれは、同法案の可決・成立を怒りをもって弾劾する。


 法案に対する批判の声は日を追って高まっていた。国会周辺での抗議行動への参加者が増大し、四日の国会議事堂包囲の「ヒューマンチェーン」は、平日の昼間にもかかわらず、六〇〇〇人以上が集まり成功させた。法案の問題点も早くからさまざまに指摘されていたが、何よりも安倍政権の強硬ぶり、そして法案の本質がどこにあるかを鮮明に示した石破の、ブログでのあの発言が人びとの怒りに火をつけた。


 石破の発言は、たんに自分が嫌いな反対派のデモをテロになぞらえて否定しただけではない。「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」という「テロ」の定義からして、明確に「デモはテロである」と言ったのである。


 「安全保障にかかわる機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化」することを目的とするもの、などと説明されるこの法案が、実際には「国民」の「知る権利」を求める行為さえ違法なものとして処罰される恐れがあり、その政治的な行動を萎縮させることになるとマスコミも報じている。その通りだと思う。そのことを通して、警察主導の民衆への日常的な監視・弾圧は恣意的なレッテル貼りで正当化され、突出した行政権力による、フリーハンドの言論弾圧の根拠が与えられる。


 しかし、安倍や石破たちの、これに関してはまったく「ぶれない」強圧的な姿勢の根拠は何なのだろうか。おそらく、改憲まで射程に入れた彼らなりの国家の全面再編のプログラムにおいて、今回の法案が一つのメルクマールとなると彼らが充分に自覚していることを示しているだろう。また、いかに強硬な態度で政治を進めようとも、のど元を過ぎれば終息すると高をくくっているのかもしれない。あるいは、次から次へと攻撃を強硬に繰り出すことで、運動側の疲弊を狙っているのではないかとさえ疑わせる。


 どこかで歯止めをかけなければならない。この意味において、秘密保護法に関してもこれまでのさまざまな攻撃に対してと同じように、ひとつひとつの日常的な抵抗によって、その実質化を食い止め、廃案をめざす闘いが重ねられることになるだろう。「ファシズム」という語を安易に使いたくはないが、クーデター的な手法を重ね、ポピュリズムにも依拠しながら行政権力を突出させていく安倍の政治と対決する運動=抵抗線の形成がなされなければならない。ともに闘いを持続していこう。


 そして、反天皇制運動の課題としては、この安倍の政治と象徴天皇制との関わりを問題にしていかなければならないだろう。


 極右的な安倍政権の体質に対して、現天皇・皇后の「リベラルさ」を称揚し、これに「期待」するかの議論が後を絶たない。しかし、前提としてふまえられなければならないことは、天皇制とは憲法で規定された国家の機関として存在するものであるということである。したがってそれは「政治に関わらない」という建前にもかかわらず、大文字の「政治」に深く関わる存在なのであって、私たちはそのことをまさに問題とし続けてきたのだ。現天皇・皇后の「リベラルさ」の称揚とは、天皇制の強化にしかつながらないのである。


 安倍政権がねらう改憲では、天皇の元首化が明記されている。これはいわば、これまで「解釈」で元首化してきた天皇の「明文」元首化とでも言うべきものだろう。そこでは、天皇が関わる「政治」の再確定がなされることになるはずだ。すなわち、安倍政権が進めている全社会的な改変のなかで、象徴天皇制もまた変容せざるを得ない。


 私たちは一二月二三日の「天皇誕生日」を、天皇制の問題を考える日として位置づけ、毎年集会をもってきた。今年は、まさにこういったテーマ─安倍政権と「象徴天皇制の変容」─を、さまざまな角度から具体的に議論できる場にしていきたいと考えている。


 神戸大学教員で、家族論やフェミニズムを研究している青山薫さん、歴史研究者の伊藤晃さん、そして反天連の天野恵一の発言を受けて、全体で討議していきたい。多くの皆さんの参加を訴えます。   (北野誉)

反天皇制運動カーニバル9号[通巻352号]


反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル9号

2013年12月10日発行


主張◉ 安倍独裁政権との対決を! 12・23反天連集会にも集まろう


動物(あにまる)談義◉ 〝天皇の政治〟の巻


状況批評◉ あらためて、二〇条改悪問題を考える─浄邦


反天ジャーナル


ネットワーク◉ 「現代のナショナリズムを考える─国はなくとも人は生きる」へのお誘い─加藤克子


太田昌国のふたたび夢は夜ひらく◉ 〈44〉特定秘密保護法案を批判する視点─太田昌国


皇室情報の解読◉ 抵抗のさらなる持続・拡大へー2013年12月5日・6日の記録─天野恵一


集会の真相
 
 集会情報
神田川




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2013/11/15

[反天連集会] 安倍政権と象徴天皇制の変容


[2013反天連集会]安倍政権と象徴天皇制の変容

▼日時
2013年12月23日(月)
午後2時15分開場

▼場所
日本キリスト教会館4F会議室
地下鉄早稲田駅下車(AVACO隣)


▼発言
青山薫…伊藤晃…天野恵一


 安倍政権が返り咲いて一年。右傾化という一言では言い表せない事態、多くの人々を切り捨て、あるいは切り捨てる側の論理でがんじがらめにしてしまう、恐ろしい事態がすでにつくり出されつつある。ヤバイのは、改憲、集団的自衛権、秘密保全法、原発だけではない。福祉、教育、経済、労働、家族と、生活に密着したさまざまな問題が、あるいは戦争・戦後責任を否定する歴史認識問題とそこから滲み出る差別・排外主義、倒錯したナショナリズムの蔓延、等々が同時加速的に進んでいるのだ。

 このような状況にあって、象徴天皇制はどのように変容していくのか。天皇制を最大限利用したい政府・財界、マスコミのそれぞれの思惑。あるいはそれらに左右されながらも天皇制的価値観の中で生きる圧倒的多数の天皇支持者の思惑。そして、それらに規定されながら、それでも独自に自らのあり方を方向付けていこうとする天皇および皇族たちの、あってはならない思惑。

 窒息しそうな安倍政権下で、この三つ巴がつくり出すものが、たとえば山本太郎参院議員の天皇への「手紙」をめぐる「事件」だったりする。これも「象徴天皇制の現在」の大きな断片であるのだ。

 来る12月23日の「天皇誕生日」、この日こそは天皇制の問題を考える日である。反天連恒例の討論集会は今年も開催する。今年はこの安倍政権と天皇制の変容という課題を、具体的に捉えていけるような議論としたい。多くのみなさんの参加を呼びかける。

反天皇制運動連絡会 

2013/11/13

カーニバル8号[主張]


天皇制をめぐる「悪の凡庸さ」を問い続ける!


 新聞を開く度に、気が滅入る記事ばかりが目につく毎日である。一一月の三連休の初日に、神保町にある岩波ホールに映画『ハンナ・アーレント』を観に行った。ナチス親衛隊で六百万人のユダヤ人を強制収容所に移送した責任者アドルフ・アイヒマン。この裁判のレポートが『ザ・ニューヨーカー』誌に掲載され大論争になった。執筆者である『全体主義の起源』の著者ドイツ系ユダヤ人ハンナ・アーレントの物語だ。映画についてはきっと、いろんな方々が様々な媒体で紹介されると思うので省略する。この映画館に頻繁に足を運ぶわけではないのだが、それでもたま〜に行く。その度に空席が目立った。それが今回、信じられない観客動員数なのだ。一時間半前でチケットは完売。ゲットした最終回も満席状態。ここでも年齢層は高い。しかし、大学生らしきグループの姿もいくつか。これも極右安倍政権の影響なのだろうか。嘘で塗り固められた言説が大手をふっている日常に、嫌気が差している人々が少なからずいると思いたい。「思考することを放棄するな」と説くこの作品に予想外の長蛇の列。まだ捨てたものじゃないかもとちょっと嬉しかった。

 一一月七日、NSC(国家安全保障会議)法案は衆院委で可決され、特定秘密保護法案も、国民の「知る権利」を制限する内容のまま衆院本会議での審議に入った。極右安倍首相がめざす『積極的平和主義」とは、米軍との協力強化である。今後、武器輸出三原則を見直し、さらに集団的自衛権の行使を認めるための憲法解釈へと進み、最終的に安倍の悲願である九条に国防軍を明記する壊憲へと目論んでいるのであろうが、絶対に私たちはそれをさせてはならない。

 敗戦による米軍の占領に始まる「戦後民主主義」だが、一条から八条が天皇条項で始まるこの国の戦後は、植民地支配や戦争の責任と対峙することなく、天皇を免責することで「日本人」一人一人もまたこの悲劇の元凶ときちんと向き合うことを放棄してきた。そのことは象徴天皇制と民主主義というまったく相容れないものの矛盾を問うことなく、六八年という時間の中で奇妙な倒錯を作り出してしまった。

 戦争の負債を引き摺り続けたヒロヒト。その天皇の地位を継承したアキヒトは、ミチコとともに「リベラルで民主主義者である天皇・皇后」というイメージをしっかり浸透させた。一〇月二七日、天皇夫婦は「全国豊かな海づくり大会」に出席のため水俣を訪問した。石牟礼道子さんは「胎児性水俣病患者に会ってください」とミチコに訴えたという。そしてミチコについて「知性と愛情にあふれた方。あらためて尊敬します」と感想を述べたという。この報道は「なぜ? 石牟礼さんまで」という思いと悲しいダメージを私に残した。「リベラルや左翼」(適切な言葉が思い当たらなくてこう表現する)と呼ばれてきた人々がその権威にすがり付き、天皇制の強化に引きずり込まれていくことの意味を私たちは問う。政府の理不尽さを天皇夫婦に訴えることの「滑稽さ」を笑えるまっとうな社会はどんどん遠ざかる風潮だが、めげずにふんばろう(園遊会での山本太郎の問題点は「反天連からの手紙」を参照)。

 安倍政権は天皇の元首化にも意欲を燃やしている。戦争の匂いがプンプンする。人権など無視の「アホな安倍に利用されてなるものか」という危惧があるのだろう。ミチコは七十九歳の誕生日の宮内記者会で印象に残った出来事や感想を聞かれ、「五日市憲法草案」に触れている。「基本的人権の尊重や言論の自由などが書かれており、近代の黎明期に生きた人々の政治参加への強い意欲や自国の未来にかけた熱い願いに深い感銘を覚えました」と答えている。あくまで天皇制を前提とした草案ではあるが、基本的人権に重きを置いたと評価されるこの憲法草案を、このタイミングで触れるミチコの安倍への牽制の仕方、民衆への民主主義者というアピールは、実に政治的に長けていると思う。けれども私たちは、この言葉を極右政権と対比させて、喜ぶことなどできない。「皇后」としてのこの感想は欺瞞に満ちたものである。この醜悪を嗅ぎ分けるには、思考することをやめず、「天皇制」を問いつづけていくことが必要であると思う。


(アーレントが、「“思考の嵐”がもたらすのは、知識ではありません。善悪を区別する能力であり、美醜を見分ける力です。私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に至らぬよう」といっているのだ。映画の余韻が残っている、鰐沢桃子)

反天皇制運動カーニバル8号 [通巻351号]

反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル8号
2013年11月12日発行


主張◉天皇制をめぐる「悪の凡庸さ」を問い続ける!

貝原浩のあの時この時◉「日の丸」と「シロハタ」の振り方 
 

状況批評◉失なわれるものが大きそうな
    2020年東京オリンピック─アツミマサズミ

反天ジャーナル◉

書評◉立憲主義の(再)発見とその危機
    ─2006年から2013年へ─岡田健一郎

書評◉映画表現が時代に対峙していたころ─藤田五郎

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく〈43〉韓国における、日本
        企業への個人請求権認定の背景─太田昌国

私たちの見解◉山本太郎さんへの「手紙」
  ─反天皇制運動連絡会

野次馬日誌10月8日~11月5日

集会の真相
  • お・こ・と・わ・り 2020年東京オリンピック返上デモ
  • シンポジウム「拡大する汚染水漏れと被曝労働~再稼働なんてありえない」
  • 「持たざる者」の国際連帯行動

集会情報

神田川


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2013/11/08

山本太郎さんへの「手紙」──私たちの見解


2013年11月6日

反天皇制運動連絡会
 
10月31日、秋の園遊会で、山本太郎参議院議員が天皇に「手紙」を渡したことが、多くの議論を呼んでいます。田中正造の「直訴」になぞらえて評価 する声がある一方、政府や与野党を問わず、「政治利用だ」「非常識」「議員辞職もの」「なんらかの処分を」との声が相次ぎ、参院議院運営委が山本議員の 「出処進退」をただした上で、近く「一定の処分」を下すとする騒ぎになっています。

山本議員も述べたように、「主権回復の日式典」や「オリンピック招致」など、さんざん天皇制の「政治利用」を繰り返してきた、政府や議員連中が、山本議員 へのバッシングという目的のために「政治利用」として批判を繰り返すのはきわめて醜悪であり、いわば「政治利用」の利用です。


記者会見での説明によれば、「手紙」の内容は、「子供たちの被曝、この先進んでいくと本当に健康被害がたくさん出てしまう」「食品の安全基準という部分で もすごく危険な部分がある」「原発の収束作業員(が)……本当に劣悪な環境の中で、しかも、搾取されながら労働の対価というものを手にすることなく、命を はりながら、命を削りながらやっているにもかかわらず、健康管理とか放射線管理がずさんなままにされている実情」などを訴えたものであったとのことです。


私たちは、これらの主張内容はまったくの正論であり、3・11以降の反(脱)原発運動に精力的に関わってきた山本議員が繰り返し訴えてきたことであること を知っています。しかし、そのような内容の文章であれ、それを天皇に渡すことでなんらかの政治的な効果を得ることを期待してなされた行為は、やはり誤りで あると、明確に言わなければなりません。


そもそも、「園遊会」とは何でしょうか。日本国憲法では、天皇の政治への関わりは、第4条において「天皇は、この憲法に定める国事に関する行為のみ を行ひ、国政に関する権能を有しない」とされ、国事行為の内容は第7条に具体的に列挙されています。そしてそれらの行為も儀礼的・形式的な行為にすぎず、 そこに記載されていない行為は、天皇としておこなうことはできないと解すべきものです。現実には、国会開会式における「おことば」や「地方巡幸」、「皇室 外交」など、天皇の「公的行為」の名の下に、こうした限定を無視した政治的行為が積み重ねられてきていますが、それらは、天皇の政治的権能を拡大する違憲 の行為です。

天皇主催による「園遊会」は、天皇が単に私的に友人を招いたりするようなものではありません。それは、各界で活躍する「時の人」を集め、それらの人々に天 皇と皇族が「ねぎらい」の声かけをして回る儀式であり、それらの人を束ねる天皇という像を写しだすことで、天皇の権威を強化しそれを広く受け入れさせる、 きわめて政治的な場になっています。それは何ら法的な裏づけもない儀式であり、いわば、制度としての天皇を、個人としての天皇が自らの権威付けのために 「政治利用」しているとさえいえるのであって、このことこそがまず批判されなければなりません。


こうした場で、天皇に対して「手紙」を渡すという行為は、天皇の権威を前提としたものであり、そのような天皇制の容認です。さらに、権威を持つ天皇 への「手紙」とは、結局天皇に対する「直訴」であって、民衆の自己決定としてなされるべき政治を、すすんで支配者の側の「温情」に委ねる行為でしょう。原 発事故に行き着いてしまった戦後日本の社会的な歪みも、こうした「お上」に対する負の民衆意識に根を持ってはいないでしょうか。

私たちは、天皇制という制度自体がいらないと主張します。国家の制度としていえば、民主主義の原理と、血統のみに依拠した世襲の非選出勢力の存在は、矛盾 すると考えます。象徴天皇の役割とは、端的に言って、ときどきの日本国家のありかたに「正当性」を付与するものであり、それ以外のことはできないのです。 したがって、「国策」として推進された原子力発電所づくり、原子力エネルギーによる社会発展政策をも正当化してきたことになります。そのような天皇制が、 そもそも非政治的な存在であるはずはありません。


これらの点で、私たちは、象徴天皇制を掲げた日本国憲法を無条件で擁護する立場には立ちませんが、安倍自民党によって「元首天皇」を明記した改憲策動が進 もうとしている今日、改憲反対のための闘いが急務であると考えています。そのためにも、天皇制の強化に力を貸すようなことは、断じてするべきではありません。


一方で私たちは、山本議員の今回の行為が、議員資格を問われるに値する行為だとも考えません。「園遊会」自体が法的な裏付けのないものであり、参加者個人 が天皇個人に私的に手紙を渡すことが、なんら違法行為でないことは明らかです。天皇への請願であれば宛先は内閣だ、などという批判もありますが、請願法の 趣旨からすれば、天皇から内閣にそれを送付すれば済むことです。


山本議員に対する批判の多くが、「政治利用」を云々しながらも、実は旧態依然たる天皇感覚のもとでの「不敬罪」意識に基づいたものであることは、一連の発 言からも明らかです。そうした立場から山本議員を批判し、さらにはなんらかの処分を主張することを、私たちは決して許してはなりません。それ自体が天皇制 タブーの強化であるからです。


天皇制の強化につながるあらゆる動きに反対するという立場を原則として、私たちは声を発し続けていきたいと思います。

2013/10/15

カーニバル7号 [主張]



                嘘で成り立つ安倍政権を許すな!

 9月26日、安倍がニューヨークの国連総会で演説したという。記事を読んで目を疑った。「日本国内でも、紛争下の地域や貧困に悩む国々でも、女性が輝く社会をもたらしたい」「憤激すべきは、21世紀の今なお、武力紛争のもと、女性に対する性的暴力がやまない現実だ。犯罪を予防し、不幸にも被害を受けた人たちを、物心両面で支えるため、努力を惜しまない」とし、3000億円を超えるODAを約束し、国際刑事裁判所及び紛争下の性的暴力に関する国連事務総長特別代表と協力していくという。今回の訪米で安倍は、国連関連の四会議、シンクタンクなど三カ所でスピーチし、「積極的平和主義」「女性が輝く社会の実現」「アベノミクス」を繰り返しアピールしてきた、と記事は伝える。
 安倍は国際的にもこの手の嘘が通じると思っているらしい。やるべきこと(たとえば侵略戦争・植民地主義への反省と被害者への補償など)を無視し、まったく正反対の価値観で頭が埋め尽くされている安倍の、口先だけの「平和主義」やら「女性が輝く社会」「努力を惜しまない」等々の言葉に対する批判の説明など不要であろう。ただ、このような詭弁の域を超えた嘘で、何事かを進められてはならないということを、あらためて付記したい。
 歴史を隠ぺいし捏造する。未来を騙しつくり変えるほどの大きな嘘も平気でつく。しかも、卑劣漢のくせに「正義」の仮面を被っている。誰であってもそれは正しくないのだが、政権のトップにあって、実際に過去も未来も作り変えるほどの権力を持つ者だけは、絶対にやってはならないのだ。そう思うことの回数が、安倍政権以降ダントツに増えている。
 今朝(5日)の朝刊でも、秘密保護法案を何としても通すための嘘が記事となっていた。「『知る権利』明記へ」の見出し記事。だが、私たちが考える「知る権利」が保証される文言などどこにもない。「特定秘密」の指定のあり方問題、特定指定された場合の情報公開問題。「知る権利」とはほど遠い話ばかりだ。記事は、政府は「特定秘密の指定期間が30年を超える場合、理由を内閣に示して承認を得るとの規定を追加し、『知る権利に配慮した』と説明した」、と述べる。このハードルの高い規定をクリアしなくては得られない「知る権利」などないと同じだ。また、こんな法律のない現在においてすら、どれだけの報道の不自由、表現の不自由、知る権利の侵害がなされているか、私たちはよく知っているのだ。
 デモや集会への警察警備に関する情報公開など本当にひどく、デモ申請で主催者が出した情報以外は何一つ墨塗りから免れないという徹底したものだ。たかだかデモの警備に関する情報すらも現在においてこういうありさまなのだ。こんな法案を通してしまった後の社会を想像したほうがいい。自衛隊監視行動、反原発現地行動、公務員の活動、組合活動、情報産業や最先端企業の不正のリーク等々、思いつくものすべてが危なっかしいものとなる。国家安全保障会議(設置法案)、集団的自衛権容認問題とセットの危ない法案だ。懸念の声は決して小さくない。一緒に反対の声を上げていきたい。
 大嘘の話では、9月8日に決まったオリンピックの東京招致問題もあった。これについては次ページで放談しているのでそちらに任せたい。どうせこの課題は今後7年間は続き、反天課題として関わっていくことになるのだ。すでに、高円宮久子の招致を決めるIOC総会開会式への参加とスピーチという、露骨な話もあった。国際かつ国粋儀礼イベントに天皇家が関わらないわけはないのだ。古くて新しいこの課題、多岐にわたる視点が必要な運動ともなる。多くの仲間と議論を始めていきたい。
 もう一つの純国粋スポーツイベント「国民体育大会」(国体)は、9月28日に開会式が開催された。反天連メンバーも参加してきた「やってる場合か! スポーツ祭東京実行委」(やってる実)が主催する開会式当日の集会とデモは盛会に終わった(集会報告)。国体に関するさまざまな視点からの問題提起は、過去の運動の蓄積と知識から得たものはもちろん大きいが、同時に1年3ヶ月の活動を通して認識し直したことも実際たくさんあった。各地から駆けつけてくれた反国体を闘ってきた仲間との交流では、やっと反国体の運動の末尾に連なったように私などは思えた。やってる実が報告を出すことになっている。乞うご期待だ。
 この一カ月、ウンザリすることばかりではない。在特会の京都朝鮮学校に対するヘイトスピーチを「著しく侮辱的、差別的で人種差別に該当し、名誉を毀損する」として、約1226万円の賠償を命じた京都地裁判決や婚外子差別違憲最高裁判決など、悪くない話もある。どちらも、頑張った人たちの成果だ。反天課題もやらなくては前に進まない。継続は力なり。ともにがんばろー。    
             (桜井大子)

2013/10/13

反天皇制運動カーニバル 7号(通巻350号)


反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル7号
2013年10月15日発行  
主張◉ 嘘で成り立つ安倍政権を許すな!
動物(あにまる)談義◉〝暗い五輪招致〟の巻 
状況批評◉ 改憲状況と東アジア─冨山一郎
反天ジャーナル◉
書評◉『犠牲の死を問う──日本・韓国・インドネシア』─池内文平
太田昌国のふたたび夢は夜ひらく◉〈42〉ボー・グェン・ザップとシモーヌ・ヴェーユは同時代人であった─太田昌国
皇室情報の解読◉ 信念をもったデマゴーグ安倍「壊憲」政権の手口
―〈オリンピック政治〉批判─天野恵一
野次馬日誌◉ 9月5日~10月7日
集会の真相◉
  • 許すな!差別・排外主義 生きる権利に国境はない! 9・23ACTION
  • 9・28 東京国体開会式反対集会・デモに90名
  • 9・29「やっぱりおかしい!銃剣道」国体当日集会
集会情報◉
神田川◉
 
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2013/09/26

実行委より ―― ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動 報告集


実行委より ―― ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動 報告集http://13815a.blogspot.jp/

 
 今年の実行委員会は、参院選前の七月、安倍政権圧勝という悪い予感にうんざりしながらも元気にスタートした。私たちはここ数年、「靖国」問題に関する歴史的な問題と今日的な運動課題を共有するため、8・15当日を迎える前に小規模ではあるが討論集会を開催している。8・15当日の講演集会とデモにそれらを組み込むことは、時間的にも無理があろうという判断からである。また、年々厳しさをますデモを控えて、ゆっくり議論する精神的な余裕ももてそうにないということもある。というわけで、今年も8・15前段の討論集会「安倍改憲と8・15」を開催し、大いに意見の交換を行った。
 課題と発題者、討論の内容など、本紙集会報告を参照されたし。議論は始まったばかりといった印象も強い。今後も継続していきたい。
 8・15当日は、日韓会談文書・全面公開を求める会共同代表の吉澤文寿さんを迎え、例年どおり集会とデモを行った。吉澤さんは、公開された、あるいは非公開の日韓会談文書をもとに、日本政府の敗戦・戦後処理、戦争責任に対する認識の問題を示しつつ、安倍政権の植民地主義を指摘・批判し、歴史認識論議の「国内問題」化、安倍政権を批判できないマスコミの問題など、いま私たちが考えるべき課題を整理し、わかりやすく示された(「講演要旨」参照)。
 例年この日は、私たちは右翼の妨害に緊張を強いられてきた。今年も例外ではなかった。8・15前々日、集会会場のある建物の同じフロア、幅二メートルほどの廊下をはさんだ向かいの部屋を、「歴史研究会」、実態は在特会が借りていることが判明。今年は集会そのものがターゲットとなったのだ。実行委はすぐに仲間に協力を呼びかけ、建物に警察権力を入れることなく、多くの仲間の結集とその数の力で、集会は予定どおり開催し、滞りなく終了した(参加者二二〇名)。
 そしてデモ。警察は右翼の車両をデモコースに入れない方針をとったようだ。いつもの街宣車が出す大音響の誹謗中傷や「殺せ」コール、ヘイトスピーチは、トラメガによる最大音量程度ということとなった。珍しく私たちの声はお互いに聞こえる程度に響き、これは久しぶりに気持ちがよかった。その代わり、デモのすぐわき、手を伸ばせばつかまれる距離を、「殺すぞ」と威嚇する右翼の面々がくっついて歩いた。デモで歩く参加者の中に一人二人三人となだれ込むように暴力的に介入してくるなど、暴力・妨害も相次いだ。警察は街宣車を止めるかわりに、右翼の接近戦を、私たちの目から見れば「自由に」、やらせていた。そして、これはここ数年続いていることだが、プラカードが、先頭を歩く横断幕が、暴力的に奪い取られた。その際、横断幕のポールは破損し、ポールを持っていた実行委メンバーのズボンはひどく破かれた。軽傷だが手に傷を負った参加者もいた。また、デモの宣伝カーは常に右翼の暴力に晒され、殴る蹴るが続く。車は右翼だけでなく、「進め進め」と警察までもがドアをうるさく叩く。今年は車のドアセンサーが壊れた。昨年はスピーカのコードが切られた。
 いったい、この社会はどうなっているのだ。だが、いや、だからこそか、私たちはこの行動をやめるわけにはいかない。また、この右翼と警察の暴力と横暴に黙っているわけにもいかないのだ。実行委では、これまでも警察への申し入れ、抗議など、行動の前後に行ってきた。今年もまた、どのような形の抗議があり得るのか検討中である。今年も、人が集まることの力をかみしめる行動だった。やめるわけにはいかないのだ。ご注目を。そして支援を。






  
ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8.15反「靖国」行動実行委員会

[報告]「安倍改憲と8・15」7・28討論集会  ―  ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動 報告集 



[報告]「安倍改憲と8・15」7・28討論集会    ―ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動 報告集  http://13815a.blogspot.jp/


 ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動主催で標記集会を日本キリスト教会館で行なった。
 集会は、主催者から8・15当日は討論時間が取れないので今日の集会を企画した。それぞれの運動・立場から安倍改憲との闘いについて議論したいとのあいさつではじまった。
 山口素明さん(フリーター全般労組)は「改憲と生存権、格差問題」について自民党改憲案は生存権保障を後景化させ、家族を社会の基礎的単位として強化し、家族に対しての国家の管理をつよめるものである。日本の生活保護の捕捉率は二〇%程度と低く、最低基準に合わせると称して生活扶助費の削減が行われている。一旦廃案になったが、改憲の具体化として行われる生活保護の改悪案など具体的な攻撃を押し返すことも重要だと訴えた。
 園良太さん(堅川弾圧当該)は「自民党改憲案と弾圧・街頭行動の自由」と題して、自民党改憲案が思想・良心の自由、表現の自由より「公益」を優先し、行政を聖域化するものである。現在園さんにかけられている「2・9堅川弾圧」は改憲の先取り攻撃である。行政は団交を一方的に中止し、野宿者を暴力的に排除し、役所に抗議に行っても担当者は出て来ず、対応した人は無責任な発言を行うだけだった。行政の不当な対応への抗議に警備強化と弾圧で黙らせ、行政の行為を聖域化、絶対化する攻撃である。権力の不当な弾圧を許さず、弾圧に委縮せず、街頭行動の自由を闘いとることは安倍改憲を阻止することと一体である。闘い続けようと訴えた。
 桜井大子(女性と天皇制研究会、実行委)は「歴史認識、差別・排外主義、憲法」について、とりわけこの間の「従軍慰安婦」問題について、日本社会が解決しなくてはならない歴史的課題という認識が、国連関係からの発言をのぞき、おそろしく希薄である。その一因にマスコミの歴史認識問題への無理解がある。「歴史認識」を社会的認識にしていくための、「従軍慰安婦問題」の抹殺と「靖国」思想が同根であることなど明快な説明が必要であるなどの問題提起を行った。
 竹内康人さん(人権平和・浜松)は「戦争・軍拡と反戦・反基地の民衆史」について話された。天皇代替わりの時、この国の民主主義、天皇の戦争責任って何だろうと思った。3・11も同様に考えさせられた。軍事基地はどのように形成され、使われてきたのか。首都圏の反戦・反基地運動の歴史をレジュメで報告した。近代の軍拡の歴史をどう見るか?権力は密約などウソだらけの情報を流し、軍拡を行ってきた。在日米軍基地は横田や横須賀に集約しながら、沖縄の基地を強化してきた。生命、平和、歴史的責任を据えた反核・平和運動が必要と訴えた。
 天野恵一(実行委)は「靖国問題、政教分離、慰霊・追悼問題など」について問題提起を行った。自民党改憲案と大日本帝国憲法と現憲法の比較、「靖国問題と憲法二〇条」と天皇条項について報告した。自民党改憲案は、二〇条の「信教の自由」の3に「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りではない」を加え、靖国神社への首相・閣僚の参拝を合憲化する─「政教分離」原則の破壊である。さらに天皇条項は、天皇を元首とする天皇制の再定義を行っている。天皇を「象徴」のまま強化する第三の天皇制である。自民党改憲案は戦後の擬似立憲国家の擬似を外す攻撃であると訴えた。
 その後討論で「差別禁止法」についてさまざまな意見が出され、「8・15」の黙祷粉砕行動において、靖国神社で「追悼」する家族をどう考えるか、自民党の改憲草案を見たとき「日の丸」「君が代」を習俗的行事とするものである、さらに学校現場で「君が代不起立」を闘う教育労働者から改憲は闘うことすら出来なくなるのではないか、などの議論が行われ、安倍自民党改憲政権との対決の重要性を確信する集会であった。
(労活評・野村洋子)

2013/09/10

カーニバル6号 [主張]

         天皇制への翼賛化を撃ち返す楽しい運動を!!
 
 裕仁の珍妙な朗読でいわゆる「終戦の詔書」が放送された8月15日には、63年以降、国家による「戦没者」の顕彰と慰霊・追悼行事が開催されてきました。そしてこの日は、私たちにとっても、30年にわたり、歴史の捏造を批判し、「戦争神社=靖国」を批判する行動の日として持続されてきました。

 この行動に対する右翼団体の妨害と暴力はそれまでにも繰り返されてきましたが、それが在特会をはじめとするレイシスト・ネット右翼と結合して大きく変貌したのは、08年・09年からのことです。今年の8月15日にもまた、彼らによる私たちの行動への執拗で激しい攻撃がなされましたが、しかし、緊急の呼びかけに応えてくれた多くの人々の熱く堅い意志に支えられ、負傷者を出すこともなくこの日の闘いを終えることができました。当日の行動を集約する場における、参加者の方々の、疲労しながらも晴ればれとした笑顔が、いまも心に深く刻み込まれています。

 「一方において皇室中心主義または愛国運動等の美名に藉口して、他人の言論の自由を不法に抑圧し行動を束縛し暴戻専恣の行動をたくましくし、一般国民をしていいたいこともいえぬような社会情勢を馴致し、社会を陰鬱ならしめていることは、社会不安の重大原因をなすもの」。……これは、戸坂潤の時論集「現代日本の思想対立」から引いたものですが、この発言者は、岡田啓介内閣の小原直司法大臣です。時代は5・15事件を経て、2・26事件前夜、小原は思想弾圧や「国体明徴」運動を進める当事者でもありました。これはすなわち天皇制に基づく「挙国一致」に向け、軍や司法官僚による言論統制を正当化する体制の構築の中で発されたものです。うかつに読むと一見してリベラルとも錯覚するような発言が平然となされる背後に、国家や民間においてどれほどの直接的な暴力と抑圧がなされていたか。これはそれが既成事実化させられた後の「仕上げ」に向けた発言で、それを歴史の中で僅かに追うだけでも慄然とせざるを得ません。

 「コ〜ロセ殺セ、ハンテンレン」という、おなじみの右翼たちのコールは、今年は減少しました。レイシストの中には「コ〜ロセ殺セ、チョーセンジン」などのコールが「対外的に不利」とする連中もいるようです。彼らが働きかけようとするのは、直接的にはインターネットの動画サイトなどで「娯楽としての差別」を享受する層です。しかし、安倍政権の支持層全体の中で、その軍事と治安弾圧体制への傾斜、反中韓・反「北朝鮮」・反ロシアなどの対外硬派的対応、国内的には現憲法の破壊とともに、差別と貧富二極化の進行を、あたかもプラスの一挙的な大改革であるかのごとくもてはやす動きが顕在化しているのは明白です。

 今年も8月15日を前に、私たちは7月28日に「討論集会」を開催し、こうした問題について率直な意見交換を行いました。少ない人数ではあれ会場をいっぱいに満たした人々によるそこでの討論内容もまた、改憲や靖国の認識を豊かなものとすることができたと思います。「社会運動」の運動圏の中には、8月15日の行動を「極左と極右のプロレス」と誹謗し揶揄したりするばかりでなく、「護憲と平和主義の明仁天皇」を賛美し、その意を忖度して持ち上げて見せる傾向も、徐々に深まっています。こうした反理性主義、反歴史主義に抗していくためにも、8月15日の取組みは、より幅広く強靭なものにしていかねばならないと強く思います。

 この夏の猛暑は、豪雨と竜巻の大災害を締めくくりにして緩和されていますが、そんな中で、私たちの行動は、皇室イベントの代表でもある国民体育大会=2013年スポーツ祭・東京への反対行動に向かっています。「東京オリンピック」実現に向け、皇族の招致活動への投入も実施されました。これが実現すると、汚染を地下や海、そして労働者に拡大し続ける福島第一原発の現実は覆われ、障がい者やホームレスは隔離され、社会運動全体がさまざまな方面から弾圧され、スポーツが翼賛運動そのものとして組織されることになります。メディアや広告、土建業などをはじめとする各産業が、自衛隊・警察とともにその尖兵とさせられていくでしょう。この期間には天皇の代替わりもまた想定でき、これをきっかけに社会全体の地滑り的な変動が起きる可能性が大きい。無用で食傷気味な危機アジテーションに聞こえるかもしれませんが、社会のさまざまな分野で進行している頽廃は、それほどまでにも深いと感じます。

 これに比べると、東京国体はささやかなものかもしれません。しかし、天皇行事に向けた学校や公務員の動員という本質は、いささかも変わりません。ほんの少しでもこれらに撃ちかえしていく試みの意味を、自ら捉えかえしながら、できるだけ楽しい運動を実現したいと思います。ご支援ご協力を!
(蝙蝠)

カーニバル6号【集会報告】




ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う8・15反「靖国行動」

 
 日韓会談文書・全面公開を求める会共同代表の吉澤文寿さんを講師にお招きして、8・15行動実行委員会主催による集会を全水道会館で行った。第二次安倍政権における日本の「植民地責任」問題を朝鮮との関係を事例としてお話しいただいた。 
 原発震災以降、原発や核の問題を基調とする議論がされる時に、実質上はアメリカの「属国」であることが強調されるようになったが、同時に日本の植民地支配、戦争責任問題を問うことも大切と前置きされて本題に入られた。   
 日本政府はアメリカとの関係を基軸に、中国や韓国などの周辺諸国と歴史認識などで対立することを前提としながら、政治的経済的関係の維持を模索する戦略をとっている。しかし、外交レベルにおいて、そのようなことが通用するのだろうかと疑問を呈される。  
 朝鮮人強制連行問題をめぐって、韓国と日本の司法が重要な判断を示しているが、この判断の連鎖は不可逆の流れであるという。  
 示された2012年12月以降の年表から領土問題、朝鮮学校への差別等、ナショナリズムを煽る政権運営が見えてくる。一方で、「河野談話」や「村山談話」を見直そうとする動きに対し、米国の対日不信を考慮し、歴史認識論議の「国内問題」化を目指していると指摘される。また、そのような安倍政権を批判しないマスコミの姿勢をも批判された。  
 文書公開運動の一部をパワーポイントを使って紹介され、日韓基本条約、日韓請求権協定の見直しが日本の「植民地責任」を克服するカギとなると話された。  
 第二部では、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、安倍のつくる未来はいらない!人々、日韓民衆連帯全国ネットワーク、平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動実行委員会、オリンピックいらないネット、やってる場合か!「スポーツ祭東京」実行委員会、第40回許すな!靖国国営化8・15集会実から連帯のアピールをいただいた。  
 フロアーの目の前の会議室を「在特会」が確保した緊迫した状況での集会であったが、沢山の仲間たちの応援と協力があり、250名の参加者とともに充実した集会を行うことができた。感謝である。その後のデモも警察と右翼の嫌がらせに屈することなく、無事に貫徹できた。 

(実行委/桃色鰐)

反天皇制運動 カーニバル6号(通巻349号)


反天連機関紙 反天皇制運動カーニバル6号

2013年9月10日発行


主張◉天皇制への翼賛化を撃ち返す楽しい運動を!!

貝原浩のあの時この時◉セクハラ「不敬」疑惑

状況批評◉戦後「無責任国家」の発端としての裕仁の「終戦の詔勅」─(田中利幸)

反天ジャーナル

ネットワーク◉親子が親子であること、それは人権─(宗像充)

ネットワーク◉9・28ついに東京国体!開会式反対集会とデモにご参加を!─(井上森)

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく◉〈41〉排外的愛国主義が充満する社会の中の異端者─(太田昌国)

野次馬日誌◉ 8月2日~9月4日

集会の真相
  • 平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動2013
  • ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う8・15反「靖国」行動
  • 2020年東京にオリンピックはいらない
集会情報

神田川


 
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2013/08/30

やってる場合か!東京国体 9・28開会式反対集会・デモ

 

開催費1100億円/5万人参加の天皇行事「東京国体」にNO!を
  9月28日、味の素スタジアム(調布市)での開会式を皮切りに、東京国体(スポーツ祭東京)が開催される。開会式には例年通り天皇夫妻が出席。2万人の観客、2万人を超える選手団、そして3500人の集団ダンスに向けて、彼らが手を振る光景が作り上げられる。

八百長・不正の横行する国体
 国体の形骸化は著しい。大会は都道府県対抗で行われ、総合優勝「天皇杯」を目指して争うことになっているが、「天皇杯」は過去40年以上、一度の例外を除いて開催県が獲得することに決まっている。つまり国体は、あらかじめ勝者が決まったスポーツ大会なのだ。
 開催都道府県は、天皇杯のために不正を行う。これまで審判団の不正、計量の不正、出場選手の不正(居住実態のない選手)など、ありとあらゆる不正が繰り返されてきた。国体の地位は低下し、有力選手は不出場、団体競技では「親睦試合」という位置付けに過ぎなくなった。

私達の手で国体を終わらせよう!
 「国体改革」が叫ばれて10年。それでも今年もまた、何も変わらない国体がやってくる。天皇杯のために、壮大な茶番が繰り広げられる。生徒・児童が動員され、閑古鳥の競技会場を埋めるために自治体はやっきとなる。財政難の時代に、100名を超える都職員と500名を超える地方自治体職員が国体に駆りだされている。
 本当はほとんどの人がやりたくない―というのなら、私達の手で終わらせよう、国体。味の素スタジアムに向かうデモの士気は、開会式よりずっと高いのだ!



やってる場合か!東京国体 9・28開会式反対集会・デモ★
■2013年9月28日(土)
・13:15開場 13:30開始
・15:30頃デモ出発(予定)
■会場:
府中市紅葉丘文化センター

【電車】
西部多摩川線「多摩駅」下車-徒歩12分
※西部多摩川線は、中央線「武蔵境」駅から乗り換えです。12分に1本くらいあります。

【バス】
京王線「多磨霊園駅」より、京王バス「武蔵小金井北口行き」乗車、「多磨霊園表門」下車-徒歩6分
★多磨霊園「表」門停留所です。「裏」門もあるので、注意!

※京王線「多磨霊園駅」発のバスは、12:41、13:03、13:23、13:43があります。乗車時間は6分程度です。
 
やってる場合か!スポーツ祭東京」   実行委員会   http://www.geocities.jp/yatteru_201213/

2013/08/14

カーニバル5号 [主張]

安倍改憲政権反対! 差別排外主義反対! 反弾圧と自由の声を!

 参院選の結果は、事前の評判通り、自民党圧勝・民主党大敗という結果となった。維新の議席が伸びなかった結果、維新と協力して96条の正面突破から改憲を推し進めていこうというプログラムが、一定の見直しを余儀なくされたことは間違いない。けれども、それは改憲攻撃が弱まったということではない。
 
 選挙後の記者会見で安倍は、96条の改正発議ができる条件を野党の協力を得て追求するとともに、まずは国民投票法の改正に取り組む考えを示した。また石破幹事長も、「党憲法改正草案への国民の理解を求めていくため、戦略的に対話集会のようなことをやっていく」と述べ、全国各地で対話集会を開く考えを表明している。さらに安倍は、集団的自衛権が違憲であるとする従来の政府見解の見直しを進め、新たに「国家安全保障基本法案」の策定をめざすことも明らかにした。これはいわば、九条に関しては「解釈改憲」でもいいから、とにかく実質化に向けて突き進むということだろう。もちろん、96条や立憲主義をめぐって、改憲派まで含めて自民党改憲案を批判する動きが強まっていたり、安保基本法については公明党との調整が必須であるとか、さまざまな困難も横たわっている。
 
 その安倍政権のもとで、8月15日に安倍の靖国参拝があるかどうかが注目された。安倍自身の参拝はどうやら見送られるようだが、閣僚や国会議員の参拝がまた行われそうだ。だが、あいかわらず靖国問題は、まるで「外交問題」だけであるかのように語られてしまっている。東アジアの国々のみならず、アメリカの政治支配グループにおいてさえ、安倍政権の歴史認識は大きな懸念材料である。靖国問題に関する権力者の判断が、「外交問題」にしかないことは明らかである。けれども私たちにとっては、その根本のところにある歴史認識の内容そのもの、植民地支配と侵略の責任、それを一貫して回避してきたことの責任こそが、問われるべき問題としてあり続けていることはいうまでもない。
 
 そういった中、麻生副総理による「ナチスに学んで改憲を」発言が飛び出した。歴史的事実の誤認を重ねた、保守派のお仲間達の会合という場所での軽口のような発言だったが、だからこそそこには、麻生の半ば無意識化された歴史意識が、正直に示されていたといわねばならない。
 
 この発言は瞬く間に世界に広がり、ロサンゼルスに本部を持つ反ホロコーストの人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」をはじめ、大きな批判を浴び、早々に「発言の撤回」に追い込まれた。しかしわれわれは、この麻生がその政治的なステップを確立する資源として引き継いでいる麻生財閥が、麻生炭鉱などでの過酷な朝鮮人強制労働によって富を蓄積してきた歴史を持つ企業であったことを忘れることはできない(「麻生炭鉱での朝鮮人強制労働」http://www16.ocn.ne.jp/~pacohama/kyosei/2asou.htmlなど参照)。麻生グループの企業責任は、戦後一貫して果されてはいない。さらに麻生太郎自身、総務大臣時代の2003年に「創氏改名は朝鮮人が望んだ」などとも発言している。
 
 こういった状況が続いているからこそ、われわれは、安倍改憲政権の歴史認識そのものを問題とせざるを得ない。私たちが参加する実行委は、今年も8・15反「靖国」集会とデモにおいてこのテーマに取り組んでいくが、同時に、この日本社会を広く覆っている差別排外主義に反対していくこと、そして右翼を口実として運動への弾圧、介入と分断を目論む警察権力を許さず、あたりまえの権利としてある言論・表現の自由を求めていく課題を持つ行動であることを痛感する。
 
 私たちの8・15のデモは、街宣右翼や在特会などレイシストによる激しい妨害と、激しい憎悪の中を進まなければならないものとなってしまっている。もちろん、それは新大久保や鶴橋などにおける、レイシストによる在日朝鮮人への差別煽動と同一視できるものではない。われわれはそこに暮らしているわけではないし、その日限りの攻撃を受けるだけなのだ。けれども、8・15のデモが「朝鮮人」、あるいは「朝鮮系反日日本人による極左デモ」として攻撃される限りで、8・15における排外主義右翼たちの側の攻撃性は、この社会のマイノリティに対してまっすぐに向けられているものと同質である。
 
 8・15の行動が、そのような意味合いをも帯びたものとなっているということの現実性をかみしめつつ、私たちは今年も反「靖国」行動に取り組んでいきたい。国家による「慰霊」反対、天皇制の戦争責任・植民地支配責任追及、そして安倍改憲政権のナショナリズムと差別排外主義に抗する行動を、ともに作り出していこう。
(北野誉)

反天皇制運動 カーニバル5号(通巻348号)



反天連機関紙 カーニバル5号 2013年8月6日発行


◉-(川合)

主張安倍改憲政権反対!差別排外主義反対!  
                 反弾圧と自由の声を!─ (北野誉)  2

動物(あにまる)談義◉〝選挙を語る〟の巻─  3

状況批評◉3・11から3年目の8月に─ (舟越耿一)  4

反天ジャーナル◉─  7
               
            ・反官僚制と解釈改憲(はじき豆)
     
            ・民度の問題だとして・・・・・・(鈴鹿ひろゑ)
      
            ・原発事故被災地と児童虐待 (核女)

紹介◉「原子力規制委員会」の「再稼動基準」づくり批判
  ─(海棠ひろ)  8

皇室情報の解読◉安倍「壊憲」政権の「ナチス」ばりの
   政治的「手口」への批判を!─ (天野恵一)  9

太田昌国のふたたび夢は夜ひらく◉〈40〉死刑囚の表現が社会にあふれ出て、
                                                                            表現者も社会も変わる─ (太田昌国) 10

野次馬日誌◉ 7月5日~8月1日─ 11

集会の真相◉ ─15

         ・「安倍改憲と8・15」7・28討論集会報告
    
         ・Aさんの「弾圧の報告と、皆と今後を考えるための集会」

集会情報◉  ─16

神田川◉  ─16


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2013/08/13

「8.15反『靖国』行動」参加者有志による声明文-「8.15反『靖国』行動」への右翼妨害や弾圧を許さず、参加を呼びかける声明


「8.15反『靖国』行動」への右翼妨害や弾圧を許さず、参加を呼びかける声明

安倍政権が参院選に圧勝した事で、憲法改悪、戦争、ナショナリズムの一層
の推進が危惧されています。また街頭では「在特会」などの右翼が在日朝鮮人・
外国人にヘイトスピーチを浴びせかけています。そしてこれらが最も暴力的に
展開されるのが、毎年8月15日の靖国神社反対デモであり、それは最早限度
を超えています。私たち参加者有志は妨害の暴力の停止を求めるとともに、
より多くの方が実態を知り、今年の『ゴメンだ! 安倍政権 歴史認識を問う
8・15反「靖国」行動』にもともに参加する事を呼びかけます。


★デモに対する凄まじい右翼暴力に反対を

靖国神社は戦前の侵略戦争で戦死した人々を「英霊」として祭り上げ、アジア
への侵略戦争と植民地支配を賛美し、天皇を始めとした戦争指導者の責任を
免罪しています。そして敗戦日当日の8月15日は閣僚や首相が参拝・黙とうし、
靖国神社と侵略戦争を肯定し続けてきました。そこで当日は朝から様々な
抗議行動・デモが行われ、午後は「8.15反『靖国』行動」の集会とデモが行われ
続けてきました。それに対して機動隊が過剰警備で阻止したり、靖国を参拝
する街宣右翼がデモの沿道から暴行目的の突入を試みる妨害が繰り返されて
きました。

そして2009年頃から、いわゆる「在特会」などの新たな草の根右翼グループが
街頭デモを始めた頃から、ネット上の呼びかけなどでデモ中の妨害者が激増し
妨害内容もエスカレートしました。靖国神社に最も近い九段坂下の交差点の
四方に数百人もの妨害者が陣取り、凄まじい罵声とともに空き缶やペットボトル
を投げつけてくる。デモグッズを奪い取る。街宣右翼もそれと張り合うかのよう
に突入してきて、09年はデモ終了後に参加者が殴られて鼻の骨を折る大ケガ
を負いました。2011年は右翼の突入後の現場に何とナイフが落ちていた事が
確認されました。私たちは「8.15デモ」がいま最も暴力を受けるデモになって
しまったと思っています。
毎年の写真はこちら:
http://www.mkimpo.com/diary/2012/yasukunix2012.html

いま「ヘイトスピーチ」が問題になっていますが、「8.15デモ」に対してもネットでの
妨害予告や殺人教唆が行われ、今年もすでにネット上に溢れています。毎年
同時期に行われる「靖国キャンドルデモ」に対しても、今年は右翼が車で突入を
試みたといいます。今年の「8.15デモ」も集会の段階から深刻な妨害が予想され、
それは開催前から参加者と主催者に多大な心労と被害を与えています。民主
社会の根幹であるデモを文字通りの暴力で圧殺することは絶対に許されません。

また右翼暴力の多くが警察に放任されていることも見過ごせません。すでに今年
6月の新大久保でも「在特会」らのデモが許容される一方でデモに抗議した側が
4名も不当逮捕され、右翼が「被害届」を提出して警察が運動側の立件を狙う事も
東西で起こっています。2011年の「8.15」の右翼所持品と思われるナイフは公安
警察が拾ってバッグに隠して不問にしてしまいました。また2012年の<「危機」
の時代の天皇制を問う!2.11反「紀元節」行動>では、未公表のデモ出発時間が
右翼のブログに掲載され、デモコースも未公表なのにコース上で妨害右翼が待ち
受けていました。デモ申請後に公安警察が情報をリークしたとしか考えられません。
右翼暴力に乗じての弾圧も常に懸念されるのです。


★靖国神社は問題の根源。ぜひ多くの参加を!

首相や閣僚がどれだけ国内外から批判されても靖国参拝を続けるのは、権力者が
支配体制を維持するための核心的行為だからです。靖国反対デモが右翼から凄ま
じい暴力を受けるのも、靖国への反対は権力者にとって「あってはならない事」に
なっているからです。「靖国神社への反対は死者への冒涜だ」「遺族や人々が個々
の死者を追悼したい気持ちを踏みにじることになる」という批判がよく聞かれます。

しかしこれは大きな事実誤認です。靖国神社は個別の死者を祀る場所ではなく、
天皇のために死んだ者だけが選ばれ「英霊」と一まとめに祀られています。つまり
死者を選別して個別性を奪い、国家のための死を優先し、私たちにそう思わせるの
が靖国神社の機能なのです。それを通して戦前の戦争を正当化し、新たな侵略
戦争で自衛隊員が死んだ際も活用されうるのです。

天皇制から安倍晋三まで、日本の権力者が戦前から継続していることは知られて
おり、靖国神社はその核です。国家主義を極めている今の安倍政権下では、反対
デモへの暴力と弾圧の危険性もより高まります。いわば現在の「8.15」と反対デモ
への妨害は、原発事故の責任を取らず憲法改悪や貧者の切り捨てに突き進む安倍
政権と日本国家の暴力的な本質と起源が、最も露呈する場だと言えるでしょう。

だからこそ「8.15デモ」は今年もこれからも無事に大きく行われなければなりません。
私たちは参加者としても「8.15デモ」への右翼暴力の停止を求めるとともに、多くの
方々が暴力に反対することを呼びかけます。そして多くの方にご参加いただき、暴力
や弾圧を止めながら問題の根源へ迫ることを、願わくば「3.11」原発事故後の酷い
状況を変えたいと新しく社会運動に参加し始めた方々や、「在特会」らのヘイトスピ
ーチに心を痛めてカウンター行動に参加し始めた方々にもぜひともに参加して頂く
ことを呼びかけます。


2013年8月13日 「8.15反『靖国』行動」参加者有志

2013/08/01

ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動


 自民党安倍政権は、一定の支持率の高さにも支えられながら、「戦争のできる国家」をめざして、改憲攻撃を本格化しようとしている。その政治姿勢は、天皇元首化や「日の丸・君が代」の尊重に代表されるような国家主義に貫かれている。

 安倍政権のいう「日米関係の修復」とは、日米安保を一層強化し、日米による沖縄の植民地的支配を永続させていこうとするものだが、安倍の政治姿勢には、そのアメリカからも強い批判が出ている。

「慰安婦制度は必要だった」という橋下日本維新の会代表の発言は、それがあからさまに戦時・平時の女性への性暴力を肯定する思想に貫かれていたゆえに、国内外を問わず、多くの批判と抗議の声をまきおこした。しかし、橋下発言を批判して見せた安倍政権も、「慰安婦の強制連行はなかった」と何度も強調し、河野談話を実質的に否定する動きを強めているのだ。

 さらに、これらの右翼・排外主義的な言説は、政権中枢から社会全体にまで広がっている。街宣右翼や在特会によるレイシズム扇動、デモや大衆運動への妨害も卑劣さを増している。そして、彼ら右翼を利用して社会運動への介入をねらう警察権力の動きも、あいかわらず続いている。だからこそ、私たちは、あたりまえの権利として、権力の不当性を批判していく声を上げていかなければならない。

 かつての戦争を美化し、戦争の死者を顕彰する靖国神社の歴史認識は、閣僚・議員から民間右翼に至るまで、跋扈する歴史修正主義の思想的バックボーンのひとつである。さらに、天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式だ。第1回目の「全国戦没者追悼式」が新宿御苑で開催されたのは、1952年5月2日だった。この年の4月28日が、サンフランシスコ講和条約の発効=安保体制を主軸とした「戦後日本国家」が確立した、いわゆる「主権回復の日」であることに注目しなければならない。国家による死者の追悼は、これらの死者たちを生み出した国家の責任を解除するばかりではない。今後の戦争に参加していくために、「お国のための死」は尊いものであるとする儀式にほかならないのだ。

 靖国・国家による「慰霊」反対、天皇制の戦争責任・植民地支配責任批判の声を上げる8・15の行動へ。そして安倍改憲政権のナショナリズム、排外主義に抗する反天皇制運動をともに作り出していこう。
 

 
日時:2013年8月15日 13:15開場  

集会後デモ!

お話:吉澤文寿さん

会場:全水道会館(4階)
http://www.mizujoho.com/front/bin/ptlist.phtml?Category=9177)   
(JR水道橋徒歩3分、都営地下鉄水道橋駅上)

主催:ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動
http://13815a.blogspot.jp/


呼びかけ:アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2013/07/11

「安倍改憲と8.15」 7.28討論集会


またしても8月15日がやってくる。私たちは例年どおり集会とデモ、そしてここ数年継続している8.15前段討論集会を今年も開催する。
8.15は私たちだけではなく、さまざまな団体・グループが行動を準備し、それぞれに少なくない人たちが合流してきた。その運動の歴史は長く、10年、20年のことではない。8.15と「全国戦没者追悼式」、「靖国」問題は、社会がどのように変わろうとずっと問題であり続けているのだ。それは戦争・植民地主義の歴史をいまだ克服しえず、その道にすらついていないことの証左でもある。そして事態はこの10年でより悪い方に動いていることは誰の目にも明らかだ。

現憲法は天皇条項など少なくない問題をはらみつつも、平和主義や主権在民、表現・言論の自由の保障など、国家の放恣を制約するスタンスを持っていた。安倍改憲は、天皇元首化や9条改悪を目論むだけでなく、私たちを縛る基本法として、その立ち位置を根こそぎ変えてしまおうというものである。
差別・排外主義、国家主義、歴史修正主義を本質とした「改憲」を推し進める安倍政権下で迎える8月15日を前に、私たちは、これまで8.15行動を共にしてきた友人たち、安倍改憲に不安をいだく人、8.15行動に関心を持つ人たちと、安倍改憲を軸に、8.15を含むさまざまな問題について意見を交換し、認識を深めていく時間を共有していきたい。

短い時間でできる議論は限られているが、それでも議論を積み重ね、深めていこう。そこで見えてくるものをともに考えていきたい。多くの方の参加を呼びかける。ともに!


〈課題と発言者〉
 ・生存権、格差問題: 山口素明さん
 ・弾圧、街頭行動の自由: 園良太さん
 ・歴史認識、反差別: 依頼中
 ・沖縄・安保、反戦、反基地: 竹内康人さん
 ・靖国問題、政教分離、慰霊・追悼問題、ほか: 実行委から

日時:2013年7月28日(日) 13:15開場
会場:日本キリスト教会館4F会議室


主催:ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8.15反「靖国」行動
http://13815a.blogspot.jp/

呼びかけ:アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2013/07/09

反天皇制運動 カーニバル4号(通巻347号)


反天連機関紙 カーニバル4号  2013年7月9日発行

 

 【扉】 (大子)
 

【主張】 ゴメンだ! 安倍政権(鰐沢桃子)

 

【貝原浩のあの時この時】 「売国=愛国」ナショナリズム

 

【状況批評】 今日の政治状況における日韓会談関連文書公開の意義(吉澤文寿/日韓会談文書・全面公開を求める会、共同代表)

 

【反天ジャーナル】 ・脱原発の誓いを国宝の寺で(核女)

                               ・NSAは盗聴がお仕事だけど(「ここだけの話」が大好き!)

             ・「父と公妨と証拠品」(大橋にゃお子)

 
【ネットワーク】 原発再稼働を阻止しよう!緊急伊方集会報告-現地闘争を支える交通費カンパに協力を-(岩下雅裕/再稼働阻止全国ネットワーク)


【寄稿】 日本共和主義研究-9条の思想がサンマリノに生きている 堀内哲著 同時代社 定価   2100円(堀内哲)
 

【太田昌国のふたたび夢は夜ひらく】39 諜報・スパイ騒動においても、裏面で作用する植民地主義的論理(太田昌国)

 
【野次馬日誌】 6月2日~7月4日
 
【集会の真相】 ・やってる実で、都交渉と討論集会をやりました(北野誉=反天連)
          
          ・「語り合い行動する自由」を呼びかけて(富田琴太郎)
 

【反天日誌】 

【集会情報】

【神田川】

 

●定期購読をお願いします(送料共年間4000円)
●mail:hantenアットten-no.net(アットは@に変換してください)
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2013/07/05

2013 8・15反「靖国」行動へのよびかけ


 自民党安倍政権は、一定の支持率の高さにも支えられながら、「戦争のできる国家」をめざして、九六条を突破口として改憲攻撃を本格化しようとしている。それは、九条改憲のみならず、主権者民衆が国家をしばる立憲主義の原理を、国家が民衆をしばるための憲法へと全面的に転換する、きわめて国家主義的な方向性に貫かれている。天皇を元首とし、「日の丸・君が代」の尊重を謳う国家主義も、まさしくその「象徴」なのである。
 安倍政権は、原発再稼働、ゼネコンのための被災地「復興」、社会保障の切り捨てと消費税増税、TPP参加、国民共通番号制など、一連の政策を進めつつあるが、最優先されるべき政策の柱は、「民主党政権下で壊れた日米関係の修復」であるとしている。それはつまり、アメリカの政治・軍事的な世界戦略の一翼としての日米安保を一層強化し、辺野古や高江の基地建設をはじめとして、日米による沖縄の植民地的支配を永続させていこうとするものだ。この点において、安倍政権が、沖縄を切り捨てた一九五二年四月二八日のサンフランシスコ講和条約の発効の日を「主権回復の日」として、天皇・皇后出席のもと、国家式典をもって祝賀したことはきわめて象徴的であった。
 集団的自衛権容認や軍事力の強化は、「中国・朝鮮脅威論」や「領土ナショナリズム」の議論によっても支えられているが、安倍政権の政治的な資源が、右翼ナショナリズムにあることは明白である。
 四月の靖国神社春季例大祭を前後して、麻生副総理をはじめとする閣僚が靖国神社を参拝し、安倍首相も参拝はしなかったが「真榊」を奉納した。さらに、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」メンバーは、過去最多の一六八人で集団参拝をおこなった。韓国や中国からの批判に対し、安倍は「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」「国のために命を落とした英霊に尊崇の念を表するのはあたりまえ、わが閣僚はどんな脅しにも屈しない」などと居直った。
 これら一連の発言には、アメリカからも強い批判が出た。米議会の調査報告も、安倍の歴史認識は「侵略の歴史を否定する修正主義的傾向」をもつと批判し、それが「地域の関係を混乱させ米国の国益を傷つける」などとしている。
 安倍のナショナリズムは「日米同盟」路線との対立すら生みだしているのだ。
 さらに、「慰安婦制度は必要だった」という橋下日本維新の会代表の発言は、その発言があからさまに戦時・平時の女性への性暴力を肯定する思想に貫かれていたゆえに、国内外を問わず、多くの批判と抗議の声をまきおこしている。しかし、ここでは橋下発言を批判して見せた安倍政権も、「慰安婦の強制連行はなかった」と何度も強調し、河野談話を実質的に否定する動きを強めている。これらの発言や行動は、決して一部の突出した右派政治家だけのものではないのだ。歴史の是非を転倒させる動きに対する多くの批判の声を無視し、それはいまや主流的な言論の一をしめてしまっている。そして、右翼・排外主義的な言説は、政権中枢から社会全体に広範に広がっているといわなければならない。
 私たちの反天皇制運動の課題は、多くの人びととともに、そのような歴史認識の歪曲・改ざんを許さず、天皇制国家による侵略・植民地支配責任を追及することであり続けている。しかし、こうした状況のなかで、反靖国、戦争責任追及や反天皇制の声を挙げていくことへのバッシングは、年々厳しくなっている。
 街宣右翼や在特会によるデモ妨害は、例年8・15の九段下周辺でも執拗に繰り返されているが、オスプレイ配備に反対する一月の沖縄上京団に対する妨害や、新大久保や鶴橋などにおける差別・排外主義扇動、さまざまな運動に対する妨害を繰り返している。さらには、それらの妨害行為を繰り返す彼らが、それに対する抗議を受けるや、「暴行された」などと称して「被害届」を提出し、権力の弾圧を呼び込むなど、そのやり口は卑劣さをましている。そして、彼ら右翼を利用してデモを規制しようとする警察権力の動きも、あいかわらず続いている。だからこそ、私たちは、あたりまえの権利としての権力批判の声を上げていかなければならない。靖国・国家による「慰霊」反対、天皇制の戦争責任・植民地支配責任批判の声を上げる8・15の行動に、今年も取り組んでいこう。
 かつての戦争を美化し、戦争の死者を顕彰する靖国神社の歴史認識は、閣僚・議員から民間右翼に至るまで、跋扈する歴史修正主義の思想的バックボーンのひとつである。さらに、天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式だ。それは、死者たちを生み出した国家の責任を解除するばかりでなく、今後も「戦争国家」を確立していくために、「お国のための死」を尊いものとして受け入れさせていこうというイデオロギーにほかならない。
 安倍改憲政権のナショナリズム、排外主義に抗する反天皇制運動をともに作り出していこう。実行委員会への参加・賛同を訴える!

8・15反「靖国」行動実行委員会


【呼びかけ団体】アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2013/06/11

反天皇制運動 カーニバル3号(通巻346号)

 

反天連機関紙 カーニバル3号 2013年6月11日発行


【扉】 (高橋寿臣)

 

【主張】 もっと怒れ! もっと抵抗しよう! (中村ななこ)

 
【動物(あにまる)談義】 “なぜ橋下だけ?”の巻
 
【状況批評】 明仁・美智子天皇制の戦争責任追及を(中嶋啓明)
      

【反天ジャーナル】 ・「修学旅行・・・・・ではないけれど」(まおう鳥)

             ・いつまで「女の問題」にするんだ!?(斎藤塩子)

             ・台湾映画「ケデック・バレ」の衝撃!(映女)

 
【ネットワーク】 リニューアル!『「反改憲」運動通信』(梶川涼子)

【太田昌国のふたたび夢は夜ひらく】 ㊳歴史を「最低の鞍部で乗り越えよう」とする論議に抗して

【皇室情報の解読(よみなおし)】 象徴天皇制国家〈無責任の体系〉の「誤れる」スタートの日によせて-「4・28~29」連続行動

【野次馬日誌】 5月8日~6月1日
 

【集会の真相】 ・5・18東アジア反日武装戦線と私たちの来た道、行く道 

              5年連続集会 虹の彼方へ 第1回 ある前史について(平野良子)

 

          ・5・18障害者スポーツ大会の正体(蝙蝠)

 
          ・5・25女天研連続講座特番(大子)
 

【反天日誌/集会情報/神田川】

 
 
 
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2013/06/07

【集会】映像を観て話し合う スポーツと天皇


◆国体、障害者スポーツ大会、オリンピック・・・皇室とスポーツは切っても切れない関係だ。最近は、東京オリンピック招致に関して、IOC委員を皇太子が東京で歓迎してみせた。
◆国体はかつての存在感や影響力をとっくに失っている。しかし「天皇行事」であるがゆえに、決して廃止はされない。9月に行われる東京国体にも1000億円の税金が投入されている。
◆なぜ、天皇制はスポーツと結びつこうとするのだろうか?そこで作られる天皇像とスポーツ像とは何なのか?映像を観て、共に考えよう。


2013/6/22〔SAT〕 
 
   13:15 Open / 13:30 Start
 
府中市中央文化センター・第1会議室
   
   
    (京王線府中駅徒歩5分)
 
講師:小倉利丸さん
★皇室とスポーツに関するDVD(60分)を上映した上でお話しいただきます。
 
 
主催:やってる場合か!「スポーツ祭東京」実行委員会

http://www.geocities.jp/yatteru_201213/
 

2013/05/14

反天皇制運動 カーニバル2号(通巻345号)


反天連機関紙 カーニバル2号 2013年5月14日発行

 

【扉】 (ななこ)
 

【主張】 安倍政権の妄想政治に抗するぞ!(桜井大子)

 
【貝原浩のあの時・この時】 1999年5月 6年目の結婚記念日(天野恵一)
 
【状況批評】 主権はアメリカからではなく人民から「回復」するのだ
         ―4・28「主権回復」政府行事をとりまく政治的景観(武藤一羊)
      

【反天ジャーナル】 ・去年の3・11に見た「祭」(戦闘的ゴジラ主義者)

             ・自転車利用が減れば安全って、意味ないじゃん(宮下守)

             ・「男性手帳」を!「女性手帳」ではなく(映女)

 
 【ネットワーク】 経産省テントひろばの新たな闘い(木村雅英)

【書評】 キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会『天皇の代替わり問題とキリスト教Q&A』(蝙蝠)
 

【太田昌国のふたたび夢は夜ひらく】 37「外圧」に「抗する」ことの快感を生き始めている社会

 

【野次馬日誌】 4月7日~5月7日

 

【集会の真相】 ・4・28/4・29連続行動報告(梶野宏/反安保実行委員会)

          ・市民のひろば・憲法の会の5月3日憲法集会(井上森/立川テント村)

 

【反天日誌】 

【集会情報】

【神田川】

 
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2013/04/25

【共同声明】異議あり! 4.28「主権回復の日」共同声明

 
 私たちは、政府自民党による4月28日の「主権回復の日」化を許さず、天皇出席の下で行おうとしている記念式典に反対します。
 この日を「主権回復の日」として祝うことは、以下のような理由から大きな問題があると考えます。

1)サンフランシスコ講和条約は「片面講和」であり、日米安保体制とともに、冷戦構造のもとで、アメリカを中心とした一方の極に加担することを意味しました。このことによって、米軍は、行政協定(現在の地位協定)に基づいて引き続き駐留が認められ、「本土」から分離された沖縄は、米軍がほしいままに使用できる基地の島となりました。そのもとで日本は、朝鮮戦争やベトナム戦争、そして現在アメリカが推し進めている「対テロ戦争」にいたるまで、アメリカに出撃基地を提供するとともに、戦争支援・協力を続けることになりました。
2)昭和天皇を核とする日本の支配層は、アメリカのヘゲモニーの下でかたちづくられたこの体制に積極的にすり寄ることによって、延命しました(岸信介ら戦犯容疑者も、講和条約を期に公職追放を解除されました)。沖縄への米軍の長期の駐留を「希望」した昭和天皇の「沖縄メッセージ」にもみられるように、昭和天皇は、沖縄「切り捨て」に明確な責任を負っています。この天皇のメッセージを受け、アメリカは引き続き沖縄を軍政下に置くことになりました。沖縄を基地として自由に使おうとするアメリカは、「銃剣とブルドーザー」によって強制的に土地を接収し、基地を拡大していきました。
 さらに、サンフランシスコ講和条約の枠組と冷戦構造のもとで、日本の戦争責任は事実上不問に付されてしまいました。きわめて不十分な戦後賠償さえ、日本の資本進出の足がかりとなるようなかたちでしかなされませんでした。侵略戦争による住民の被害のみならず、軍人・軍属として、あるいは「慰安婦」や強制労働・徴用といったかたちで、アジアの人びとが動員され、多大な被害を与えたにもかかわらず、一切の個人賠償もきちんとした謝罪もなされずにきました。日本が賠償を免れることができたのは、アメリカの強い働きかけがあったからであるともいわれています。その結果、日本は軍事的・政治的にはアメリカに「従属」しながら、経済的には高度成長とアジア再進出を果すことが可能となりました。しかしそれは、「アメリカを通してしかアジアと向き合うことができない」戦後日本の基本的な性格をも作りだしました。

3)サンフランシスコ講和条約は、かつての「大日本帝国」を解体して、戦後日本の国境線を新たに確定させるものでもありました。しかし講和条約の会議には中国・台湾や南北朝鮮の代表は招かれず、ソ連も条約の調印を拒否しています。この条約に基づいて「日本が放棄すべき領土」に何が含まれるのかということは、アメリカや日本も含め、さまざまな議論がありましたが、最終的にはアメリカの「安全保障」の必要上線引きをした部分もあります。尖閣(釣魚島)、竹島(独島)や「北方領土」をめぐる係争も、このときの偏った戦後処理がなされた結果として生み出されたものにほかなりません。
4)さらに、この日をもって、朝鮮人・台湾人など旧植民地出身者は、一方的に日本国籍をはく奪され、日本社会の構成員ではない存在とされました。この日、旧植民地出身者を治安管理の対象とする思想に貫かれた入管体制(外登法・入管法)が確立されたことで、それまでも生存の権利をはく奪され、 差別されてきた「在日」の人びとは、その法的地位の不安定さや社会的な無権利状態を「公的」に温存・強化されることになりました。
 日本政府は「戸籍」と「国籍」を都合次第で使い分け、たとえば軍人恩給や各種社会保障については「内地戸籍をもたないから」と適用を除外しました。一方、巣鴨に囚われていた朝鮮人BC級戦犯は、講和条約の発効とともに刑の執行停止を求めましたが、日本政府は「そのときは日本人だったのだから」と言って拒否しています。
 これらは本来、戦後の出発点において清算されなければならなかった問題でした。しかしそれは存在しなかったように形を変えて、現在まで継続する植民地主義の問題となっています。

 以上のように、安倍政権が記念しようとする「主権回復の日」とは、敗戦と占領を経て、冷戦体制の刻印のもとに、戦争と差別を不可分のものとして戦後日本国家が確立し、出発した日です。そのことを肯定し、積極的に意味づけようとするのが、政府による記念式典です。本来、植民地支配と侵略戦争の責任を果たし、「平和構築」の第一歩となるべき日が、このような多くの問題を抱えた日となってしまいました。このように歪められたものを、それとして祝おうというのが安倍政権の政治です。私たちは、現在の日本国家・社会のさまざまな問題が、このような戦後日本国家の起点にあるがゆえに、「主権回復の日」に反対します。
 同時に安倍政権は、全面改憲に見られるように、戦後日本国家の全面的転換をも図ろうとしています。「主権回復の日」は、いまある「国家主権」を賛美し、「領土問題」などをめぐって脅かされる「日本の主権」を守ることが「国民」の責務であるというキャンペーンの日にもなるでしょう。
 私たちは、このような「主権回復の日」を許さず、それを祝う式典に反対する意志を共同で示すために、以下連名で、この共同声明を発します。  

                                                                                                                     2013年4月25日
【共同声明】賛同団体
            ↓
異議あり!「主権回復の日」共同声明http://www.ten-no.net/428seimei/

2013/04/16

反天皇制運動 カーニバル1号(通巻344号)

 
反天連機関紙 カーニバル1号  2013年4月16日発行


 【扉】 (津田凌子)
 

【主張】 天皇出席の式典にNO!「講和」と「昭和の日」に反対しよう。(北野誉)

 

【動物(あにまる)談義】 “真打登場!?”の巻


【状況批評】 教育はどう奪われようとしているのか(佐野通夫)

 

【反天ジャーナル】 ・「冷静な軍人たち」の罠(井上森/立川テント村)

                               ・こじれた「改憲」状況をどう生きる!?(排外主義にNO!福岡/竹森真紀)

             ・チェルノブイリを描いた劇映画「故郷よ」(映女)

 

【書評】 太田昌国著 『テレビに映らない世界を知る方法』(栗原幸夫)

 

【太田昌国のふたたび夢は夜ひらく】 36「日本人の統一」を呼号するのではなく

                                                                                「論争ある分岐を」(太田昌国)

 

【皇室j情報の解読】 「維新のドン」と「売国ナショナリズム」

                                       ―安倍政権と石原慎太郎の〈壊憲〉政治批判(天野恵一)

 

【野次馬日誌】 3月1日~4月6日

 

【政府主催の「東日本大震災追悼式」に反対する共同声明報告】

 

【集会の真相】 ・2月~3月・緊急会議の取り組み

                           (海棠ひろ/福島原発事故緊急会議・生きる権利プロジェクト)

          ・やってる場合か! 東京国体 日体協デモ(蝙蝠)

 

【反天日誌】 

【集会情報】

【神田川】

 

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2013/04/14

「講和」・安保・天皇制を問う! 4.29反「昭和の日」行動


日時:2013年4月29日(月・休) 午後2:00
集合 3:00デモ出発
場所:柏木公園 (
東京都新宿区西新宿7)(http://www.shinjuku.info/S75269.html

 昭和天皇裕仁は、アジア・太平洋における侵略戦争と植民地支配の最高責任者でした。また、天皇制と自らを守るため、敗北が明白な戦争を長引かせ、沖縄戦と「本土」各地の大空襲、ヒロシマ・長崎への原爆投下という悲惨な事態をもたらしました。
 

 敗戦後、「米国による琉球諸島の軍事占領の継続を望む」という、1947年の連合国にあてたいわゆる天皇メッセージが、現在の安保体制と沖縄の基地問題を 形づくりました。実際、サンフランシスコ講和条約もそれとセットで調印された日米安保条約も天皇メッセージに沿ったものでした。

 そのよ うな昭和天皇裕仁の誕生日を「国民の祝日」とする「昭和の日」を祝うことなどできません。敗戦から今日まで、日本政府は「紀元節」「元号」「日の丸・君が 代」「昭和の日」の制定など、着々と戦後の天皇制国家を強化してきました。一方で、戦後賠償の軽減によって経済大国にのし上がりました。そしていま、「国 防軍」の設置や天皇の元首化など、憲法改悪を具体化させつつある安倍政権は「主権回復」を唱えています。その真意は戦争国家としての仕切り直しにあること は明らかです。

安倍の思うとおりにはさせない、の声を上げていく行動にぜひ合流を

2013/04/13

【集会】誤った戦後国家のスタート「主権回復の日」(4.28)を今こそ問う!――沖縄・安保・天皇制の視点から

 
講師:新崎盛暉さん(沖縄平和市民連絡会代表世話人)
日時:2013年4月28日(日) 午後1:30〜
場所:新宿歴史博物館・講堂
共催:反安保実行委員会、反「昭和の日」実行委員会
 
 
 
安倍内閣は、3月12日、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に、政府主催の記念式典を開くことを閣議決定した。式典には、天皇・皇后も出席する。安倍は、国会で「日本がかつて主権を失い、7年間占領されていたということを 知らない若者が増えている」と語っている。
しかし、「知るべき」(あるいは「思い出すべき」)は、講和条約が、加速する冷戦状況のなかで、アメリカ主導によって進められ、本来の戦争賠償や平和構築といった課題がうち捨てられてしまったことである。
同時に結ばれた日米安保条約により、占領軍がそのまま日本に居座り、基地の自由使用が継続されたのである。なにより、沖縄は、「主権回復」から切り離され、米国による軍事占領が継続されることとなり、72年の「復帰」後も米軍基地の存在はなお重くのしかかったままである。東側諸国との対抗軸の中での、日本の経済力のひたすらな強化が求められ、被害当事者には届かない戦時賠償すら切り詰められた。侵略の最大の被害国・中国は講和会議にすら呼ばれていない。植民地支配に結果する在日韓国・朝鮮人の日本国籍を一方的に剥奪し、差別を固定化した。
安倍自民党政権の言う「主権回復」の正体とは何であるのか。政府主催の記念式典が行われる今、改めて「講和」の内実を問う集会を持つ。

2013/03/15

やってる場合か! 東京国体 日体協デモ


●今年9月28日に開会する国民体育大会・東京大会(東京国体)。総予算1000億円以上を使って行われる「我が国最大のスポーツの祭典」。
 だが今、一体どれほどの人が国体を待ち望んでいるだろうか?観客数は減少の一途。生徒・児童や町内会を動員しての「応援ボランティア」なる珍妙なものまで繰り出して、なんとか体裁を保っている始末。こんなこと、やってる場合じゃない!

●国体を主催するのは、東京都・日本体育協会(日体協)・文部科学省。そのうち国体の維持/拡大にもっとも力を注いできたのが日体協だ。
 「アマチュアスポーツの総本山」として各地のスポーツ団体を統括する公益法人・日体協。だがその前身は、かつての天皇制ファシズム下でスポーツを通じた国民動員に協力した大日本体育協会である。大日本体育協会は戦争協力を露骨に打ち出した「明治神宮国民体育大会」を開催していた。

●戦後彼らは〈日体協〉と名称を変え、明治神宮大会も国民体育大会として再出発した。そして、国体を「我が国最大のスポーツの祭典」とするために、日体協が渇望したのが天皇の開会式への出席だった。象徴天皇制としての再出発を目指した天皇制も、渡りに船とばかりにとびついた。
 以降60数年間。天皇は幾度かの例外を除いて、国体に「ご臨席」し続けている。総合優勝県に与えられる優勝杯は「天皇杯」と名づけられ、天皇杯を目指して不正な選手獲得競争や審判の八百長が続いている。

●天皇という「錦の御旗」を手にした日体協は、地方自治体に無理難題の会場整備を要求し、肝心の「国体改革」も掛け声倒れ。利権や汚職にまみれた日体協に、「一人ひとりの豊かで活力のある暮らし(日体協策定『21世紀の国民スポーツ振興策』)」をうんぬんする資格は一切ない。
 「錦の御旗」を振るヤツがいる限り、そしてそれに付いていくヤツがいる限り、国体は終わらない。3月31日、国体の総本山=日体協に迫るデモへ!いざ!


【日時】2013年3月31日(日) 午後3時集合 3時半デモ出発
【集合】宮下公園(渋谷駅5分)

※日体協本部のある岸記念体育会館へ向けてデモをします!

【主催】やってる場合か! 「スポーツ祭東京」実行委員会

2013/03/06

カーニバル0号[集会報告]

2・11反「紀元節」集会
2月11日、日本キリスト教会館で「安倍改憲政権を許すな!反『紀元節』行動」が行われた。主催は同行動実行委員会。
反改憲運動通信の国富建治さんから、昨年4月の「自民党改憲案」(http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf)と「改憲案Q&A」(http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf)を素材に、改憲の狙いと問題点が指摘された。9条はもちろんだが、前文の全面的改変から天皇元首化に始まり、基本的人権を「公益」「公の秩序」の下位に置くなど、国家権力を制約する最高法規という憲法の本質的な定義が覆されようとしていることが強調された。   
一坪反戦地主会関東ブロックの下地厚さんからは、1月27・28日に行われたオスプレイ配備撤回と普天間撤去をめざす行動の報告がなされた。こうした行動が、超党派の市町村首長・議員や各種団体が一体の取組みとなるほどの、沖縄の憤りと政治状況が説明された。辺野古の公有水面埋め立ては、安倍訪米以後ますます急がされており、あらゆる面からこれと対決せねばならない。  
福島原発事故緊急会議のUさんからは、原発事故が3・11追悼式典により「脱政治化」されようとしており、これに対応するものとして「アベノミクス」や「国境問題」などが「政治化」されているという問題が提起された。原発と原発による被曝を、「国家による暴力」として対象化することが、現在の反原発運動には必要だという指摘がなされた。  
反天皇制運動連絡会ののむらからは、右翼団体による直接暴力と、これを利用する治安権力、さらに事実を歪める報道やデマ情報などが複合して、この間の運動体・個人への弾圧が拡大していること、こうした中でさらに「社会不安」の喧伝と治安法の準備が進んでいることが報告された。  
連帯アピールは、関西大弾圧救援会・東京の会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、やってる場合か!「スポーツ祭東京」(東京国体)実行委員会、日韓民衆連帯全国ネットの4団体。 
 集会の終了後、早稲田通りから明治通り、大久保通りを経由するデモに出発。在特会や街宣右翼らによる妨害に乱されることなく、この日の行動を終えることができた。参加者は一三五人。
(nomad)

2013/03/05

反天皇制運動連絡会 第9期への呼びかけ(2013年2月)



反天連第8期のスタート(2009年12月)は「政権交代」の時期に重なった。それをふまえ、私たちは次のような呼びかけ文を発した。


「……第8期への呼びかけを発しようとしている今、状況は激変している。その極右むき出しの安倍政権は、中国・韓国などのアジア諸国との関係はもちろん、自分たちの親分であるアメリカとの関係までブチこわしにする侵略・植民地支配自己正当化のイデオロギーをふりまわして、短期に自滅した。その後福田そして麻生と自民党短命政権は続いたが、ついに選挙で民主党が大勝ちして鳩山政権が成立するという局面が、今、うまれているのだ。これは大きな変化である」。

もちろん、この時においても私たちは、右翼自民党の敗北と「
リベラル」民主党の勝利に期待する文脈で、そのように書いていたわけではない。

「権力政党自民党が権力からころがり落ちることで、右翼は『上』
と直結するスタイルから、横に大衆化する方向へ転換しだしている。これが未来に何をもたらすのか、私たちは『右翼の時代』が終わったのではなく、その時代が新しい段階(局面)をむかえつつあるのだという状態の本質を、しっかり見すえて、運動をスタートさせたいと考えている」。

まさに民主党政権の時代に、
私たちの参加する反天皇制運動のデモが、右翼に攻撃される事態は日常化し、この「横に大衆化する」右翼との対決は、反天皇制運動のみならず、多くの社会運動がつねに強いられる現実になってしまった。それでも、この時点で私たちは、民主党による象徴天皇制の「リベラル」な利用が進むだろうと考え、その点に危機意識を向けていたことは確かである。

「もちろん『リベラル』民主党は、
象徴天皇制を強化しフル活用しようという政党である。右翼との対立という側面(それは今後さらに激化していくことはまちがいあるまいが)にのみ注目し、その事を見落とすわけにはいかない。右翼と切れる(あるいは党内の右翼を押さえ込む)ことで民主党は、象徴天皇の政治活用のフリーハンドを手にしようとしているのである。ソフト・イメージの〈アキヒト─ミチコ〉天皇制は、その意味では民主党政権の方にマッチしている。こちらの方こそ、私たち反天皇制運動の正面の敵ともいえよう」。

つまりは、象徴天皇制は「
二つの対立的な政治意思に同時に担がれている」が、その「二重構造は近代天皇制国家を貫徹している支配の様式」でもあるのだから、原則的な天皇制批判の継続こそ、この「敵の分裂的状況」において必要であると論じていたのだ。

実際、民主党政権初期、鳩山の時代には、
普天間基地問題をはじめとして、自民党時代の「対米従属」路線から一定の距離をとり、対アジア外交を重視しようとする志向が見えた。しかし、それは官僚、自民党や主流マスコミも含めた「日米同盟こそ基軸」という声に押しつぶされ、挫折を余儀なくされた。それとともに、一定存在していた「リベラル」色を大きく後退させ、中道右派から新自由主義・保守路線への道を歩んでいくことになった。こうして民主党政権は「有権者」の一定の期待も失い自滅していったが、他方で下野した自民党は、民主党との対決色を鮮明にする中で右翼色を強め、それが安倍極右政権の再登場を押し上げた。議会内においても、「革新」や「リベラル」勢力が凋落し、右から安倍を突き上げる日本維新の会が躍進した。すなわち、政権交代から三年たって安倍政権が再登場することとなったが、それは単なる回帰ではないのだ。

安倍政権は、昨年末の選挙公約において「天皇元首化」
などを掲げる「改憲」を明記した。そして、日本の伝統や「強い国」を強調して、教育などを通して国家主義的・天皇主義的な歴史認識を浸透させようとしている。「日米同盟強化」のために、沖縄への基地押しつけをさらに強化し、「集団的自衛権」行使の容認へ踏み出そうとしている。「領土問題」などで中韓への強硬な姿勢をとり、「村山談話」は踏襲すると言いつつ、新たな「談話」を出したいとする。さらに、事故を起した原発からはいまだに膨大な放射性物質が垂れ流され、多くの地元被災者が「棄民化」されつつあるのに、原発の再稼働に突き進もうとしている。また、しきりに「復興」をいうが、それも当事者住民を無視した、ゼネコンを潤すだけの政策でしかない。そして、右翼も利用しながら、信じがたい理由をつけて、さまざまな運動への弾圧を強めている。

これらのすべては、三年前の想像を超えている。
こうした状況の中で、第九期を開始しようとしている私たちの課題は、したがって、この親米極右の安倍改憲政権との正面からの対決を掲げるものとならざるをえないだろう。安倍極右政権の登場で、「右」の顔を正面に向けた政治のサイクルが再び強まることは疑いがない。しかし、それがそのまま、右翼的・神権主義的な天皇制の強化に繋がると考えるべきではない。国家の機構でありながら、それとは独立して超然と存在しているかのようにふるまう象徴天皇制は、そのふるまいにおいて、文化的・平和的な場面における民衆統合の装置であり続けるだろう。この意味において、政治的な天皇制の二重構造は、依然として存続し続けているのだ。それゆえに私たちは、運動の中においてさえ繰り返し登場する「リベラルな天皇への期待」なるものをも批判していかなければならない。そしてそれは、多くは8・15、さらには3・11などに象徴される「追悼の政治」の場面において発動される天皇制の批判ともなるだろう。

 しかし私たちの運動力量は圧倒的に不足している。
私たちの運動が、私たちの活動に協力して下さる多くの方に支えられることはもちろんだが、さらに、さまざまな運動との相互の協力関係を広げていくことなしに、それを進めていくことは不可能である。このこともまた、九期の課題である。

一人でも多くの方の参加、協力、支援をお願いします。
                                                                     (反天連事務局)