2014/05/21

カーニバル14号[主張]

安倍政権の暴走へ怒りをこめた抵抗を!

 一五日に安倍晋三が自らの私的諮問機関から解釈改憲を提言する報告書を受け、集団的自衛権の解釈改憲検討表明の記者会見を行った。気がつけば私は仁王立ちでTV画面を睨みつけ、握りしめた拳は怒りでわなわなと震えていた。二枚のパネルを用いて「人々のために働いているPKOの方々が」とか、「他国で戦争に巻き込まれた人々が」とか、誰がゴーストライターかは知らないが、人々の心情に訴えかけるような文言を用意し巧みに誘導する。「積極的平和主義」が示すように実体とは真逆の言葉を平気でというか、あえて用いて自己正当化していく。秘密保護法、集団的自衛権の行使、原発再稼働など、世論調査で半数以上の人々が反対の声を上げているにもかかわらず、相対する他者のことなどおかまいなしに強行していく。
 「人々のために」という言葉を使いながら、「公助よりも自助」政策。生活保護法をはじめ、この間どれほどの社会保障制度の見直しがなされていることか。心にもないことを平気な顔でペラペラと口にするこの男の大嘘を、絶対に止めさせなければならない。
 麻生の「ワイマール憲法」発言、「デモはテロ」の石破発言は安倍政権の本質である。このような発言をした当人たちにすら、何の処罰も与えることが出来ず、あろうことか安倍の支持率も高いままであった。しかし今回の安倍の手法は、独裁政権に等しいものである。さすがにメディアも、立憲主義について方々で論じている。しかし、憲法そのものについて踏み込み、「民主主義の原理」について論じられることはない。象徴天皇制や民主主義について議論がなされるように喚起することも、メディアの役割の一つではないのか。今さらメディアに期待などしてはいないが、戦後の平和主義の根幹を少なくとも、正当な手段もとらず、姑息なやり方で変えようとする記者会見の直後に、田崎史郎時事通信解説委員、島田敏男NHK解説委員ら報道関係者らが西新橋の「しまだ鮨」で安倍と会食したという。このタイミングで首相とメディア関係者が会食をすることは大きな問題である。「すしなんか喰っている場合か!恥を知れ」といいたい。腐ったすしネタは捨てられるが、腐ったメディアが重宝されるのは、重罪である。
 もう一ヶ月も前になるが、四月二三日から二泊三日の日程でオバマ米大統領が国賓扱いで来日した。皇室関係行事の調整に最低必要な日程だという。米国の正義など、はなから信じてはいない。軍事産業でしか経済がなりたたず、アメリカの正義の名のもとに一体どれほどの人々が苦しみを余儀なくされ、血を流してきたことだろう。アメリカ帝国主義が第三世界の人々から搾取し奪ったものは、はかり知れない。政治の責任者はその加害性を思いしるべきである。原爆を投下した広島、長崎で、米軍基地に苦しむ沖縄で、その人々の苦しい声に耳を傾ける義務がある。アキヒトと会って何とする。象徴天皇に外交の権利などない。天皇元首化を目論む安倍などと会食する腐ったメディアに、その違憲性を批判する視点など微塵もない。イスラエルのネタニエフ首相とも会見しているが、きな臭いこの二人の首脳とアキヒトの会見の問題性を反天連は追及して行く。
 オバマ来日当日、コースが三万円〜という銀座の高級すし店「すきやばし次郎」でオバマと安倍の会食の報道がされた。
 多くの若者が貧困にあえぎ、奴隷のような不条理な労働条件の下で働かされ、希望ももてずに生きている現状を安倍は本気で考えたことがあるのだろうか。この国で餓死者がいる現実をこの男は想像することがあるのか。それとも、この貧困もまた、戦争に動員させる道具として意図的につくりだしているというのか。日米首脳会談で、オバマから集団的自衛権行使の支持を受けたと安倍は得意げであった。集団的自衛権が行使されたベトナム戦争やイラク戦争がもたらした悲劇を想起しよう。私たちは過去に学ぶことでしか、現代を生きることが出来ないと確信している。私たちを取り巻く状況は非常に厳しい。けれどもわたしたちは「天皇制はいらない!」の声をあげ続け、「抵抗」することを決してやめない。握りしめた拳は振り上げてやる。
(鰐沢桃子)