2014/10/07

カーニバル19号[主張]

 安倍右翼政権との対決を、さまざまな場所から!


 喧噪の8・15が過ぎると、反天連はひと息つけて、年末の討論集会の準備などにかかる、などと悠長なことがいっていられたのも随分前の話。昨年の九月は東京国体反対闘争があったし、ここ数年はまったくもって「闘争の秋」といった趣き。今年の九月もさまざまな集会や行動に、週末はもちろん平日も、時間を作って参加する日々が続いた。

 いうまでもなく、それは安倍政権の怒濤のような攻撃があるからだ。まったくひどい状況。だが、さまざまな課題として現れるそれらの攻撃に対して、多様な民衆の反撃がつくり出されており、その結果としてこうした日々があるならば、できるかぎりその参加者の一人となって、声を上げていきたいとも思う。

 それにしてもひどい。「多くの人々が傷つき悲しみ、苦しみ、怒りを覚え、日本のイメージは大きく傷ついた。『日本が国ぐるみで性奴隷にした』との、いわれなき中傷がいま世界で行われている。(朝日新聞の)誤報によって作り出された」。一〇月三日の衆院予算委員会で、自民党の政調会長に就任した稲田朋美の質問に答えた安倍の言葉だ。

 稲田は「日本の名誉回復をはかっていく具体策も検討したい」と述べ、「吉田証言が与えた国際的な影響などを検証する新組織を党内に設ける」考えを示したという。

 朝日新聞のほうは、「これまでの慰安婦報道をめぐる記事作成の背景や一部記事の取り消しにいたる経緯、国際社会への報道の影響などについて、弁護士ら有識者七人で構成する第三者委員会で検証」し、報告をまとめるとか。

 私はこの原稿を、四日付けの朝日新聞朝刊を見ながら書いているのだが、その見出しは「予算委で首相『河野談話継承』」である。「多くの人々が傷つき悲しみ、苦しみ、怒りを覚え」というのは、まさに日本がやってきたこと、そしてその責任にほおかむりし続けてきたこと、安倍自身、そうしたことを先頭に立ってやり続けてきたし、いまなおやり続けていること等々にたいしてこそ向けられるべきことだ。この是非の転倒の上に、文言としての「河野談話」の継承を安倍が口にしたからといって、どんな積極的な意味があるのか。朝日が作る第三者委員会も、集団的自衛権行使容認というお手盛りの報告書をまとめた、安保法制懇座長代理の北岡伸一まで入っている。朝日の、集団的自衛権に関する報道に、それは影響しないのか? その他もいかにもの人選である。本号でも、別の論者が触れていることだと思うから、これ以上は書かないが、ここぞとばかりに「朝日バッシング」に邁進する既存大手マスコミも含めて、社会的な言説状況のありかたが、まとめてとんでもない方向へと雪崩を打っているようにしか見えない。

 「日本のイメージは大きく傷ついた」ということにも、よく言うよと呆れるばかりだ。例の、高市早苗や稲田朋美とネオナチ(国家社会主義日本労働者党代表)との、山谷えり子と在特会幹部とのツーショット。「知らなかった」などととぼけているが、はじめから同じ穴の狢だ。そしてなにより、ことあるごとに「従軍慰安婦はなかった」と繰り返し、明白な人権侵害・加害責任を否認し続ける安倍自身の姿勢が、「日本のイメージを傷つけている」ことは、多くの指摘がある通りである。

 明白な加害者の側が被害者めいたふるまいをし、歪んだ感情をそのまま排泄するというこの醜悪そのものの姿は、まさに八月に私たちが目にした右翼たちと同じものだし、むしろそうした連中の親玉によって、現在の政権中枢は占拠されているのである。私たちの運動の課題は大きい。

 昨年末の安倍首相の靖国参拝に対して、大阪に続いて四月二一日に提訴した東京の靖国訴訟は、九月二二日に第一回の口頭弁論が行われた。私も傍聴したが、原告代表の関千恵子さんと在韓原告の金敏詰(キム・ミンチョル)さんの気持ちのこもった意見陳述、弁護団の力強い訴状陳述がなされた。この裁判に対して、靖国派の右翼たちが東京・大阪でそれぞれ「補助参加」の申し立てを申請している。

 それを要求している「英霊を被告にして委員会」(会の名前はやしきたかじんのパロディらしい)は、鴻池祥肇、津川雅彦、金美齢、竹田恒泰、加瀬英明、 湯澤貞……といった面々をずらりとそろえているが、関西でその事務局的役割を担っているのが、さきの山谷とのツーショットの人物であるし、また、彼らの代理人として今回の口頭弁論にも参加していた、おなじみの弁護士・徳永信一とともに、かつて小泉靖国参拝違憲訴訟において、靖国応援団として補助参加を申し立てた弁護士の一人が稲田朋美である。

 こうした状況の中で、国・安倍・靖国神社を直接相手取った裁判が本格的に始まった。当然にも右翼たちは、大量の傍聴希望者を動員し、この訴訟そのものを妨害しようとしている。次回口頭弁論(第二回)は一二月一日の予定だ。この裁判支援のためにも、ぜひ東京地裁に集まろう!
(北野誉)