2012/06/01

モンスター28号[集会報告]


「反逆の女たちに出逢いなおす」第3回

4月18日、駒込・どぅたっちで、女性と天皇制研究会の連続講座「反逆の女たちに出逢いなおす」の第3回が行われたので、参加してきた。

そもそも「大逆事件」100年を記念し、天皇制国家と抗った女たちの足跡をたどるこの企画。僕はとても楽しみにしている。楽しみなのは、毎回、講座のあと同じ会場で行われる、おいしい沖縄料理と泡盛飲み放題の交流会でしょ、と人にも言われまた事実その通りでもあるのだが、それも含めた企画の全体がとても魅力的なのだ。1回目は近藤和子さんによる管野すが、2回目は山川菊枝の記録映画と鈴木裕子さんのコメント。そして今回取り上げられたのは金子文子。このあと、長谷川テル、伊藤野枝、宮本百合子……と続くらしい。

それで、今回の報告者は渡辺厚子さん。学校現場の「日の丸・君が代」処分への闘いでおなじみだが、80年代には韓国政治犯救援の活動にも関わっていたと聞いている。そうしたことを思えば、渡辺さんが金子文子について報告するのは、とてもぴったりだ。

実際、渡辺さんは昨年10月に、金子文子についての著作もある山田昭次さんらとともに韓国に行き、聞慶に開館予定の朴烈義士記念館や金子文子の墓、芙江里に残るゆかりの地を訪れている。今回のお話と一緒に紹介されたそのときのスライドは、金子文子も見ていたであろう当時の朝鮮の風景を、僕たちにも想像させるものだった。

「私生児」としての出生、そのことによる被差別体験と朝鮮での体験、17歳で東京に出て自立しながらの勉学、朴烈ら朝鮮青年たちとの出逢い、皇太子(昭和天皇)への「爆弾事件」容疑での逮捕、死刑判決〜天皇恩赦で減刑、獄中での「縊死」……。わずか23歳で世を去った彼女の生は、酷薄であり鮮烈である。渡辺さんのお話は、おもにその金子文子の生涯をトレースするかたちで進められた。そして、今回はもうお一人、山田昭次さんもコメンテーターとして参加された。山田さんは、金子文子の思想的な意味を家父長制および家父長制社会に対する抵抗であると明確に整理された。そのことによって、彼女の個人的な生は社会的な闘いとストレートにつながる。

渡辺さんのお話は、時間の制約で、準備されていた文子の思想の意味、権力や平等、天皇・国家、朝鮮観については、十分お話を聞けなかった。残念だが、詳細なレジメも配られていたので、自分自身でこのことは考えていきたい。
(北野誉)