2012/04/18

モンスター27号[主張]

原発再稼働阻止、
そして「植民地支配と日米安保を問う」連続行動へ!

原発再稼働をめぐる動きが急だ。4月6日、関係四閣僚は会合を開き、停止中の原発を再稼働させるための、きわめて甘い「安全対策の暫定基準」を決めた。そして近く関西電力大飯原発の安全宣言を行い、枝野経産省が再稼働要請のために福井県を訪問するというのだ。このニュースが手許に届く頃にはもう終わっているはずだが、4月11日には、「原発ゼロへ! 止めよう再稼働」を掲げた国会への要請行動とデモが予定されている。野田政権の再稼働政策を許さない声を、引き続き大きく上げていこう。

すでにひと月近く前になってしまったが、3月11日、私たちは、反天連も参加している福島原発事故緊急会議の枠で、3・11再稼働反対! 全国アクションによる「国会囲もう! ヒューマンチェーン」と、それに続く首相官邸前アクションに取り組んだ。この日は、首都圏でもさまざまな取り組みがあったが、この行動は、それらが大きく合流していく場として設定され、一万人を超える人びとが国会を「人間の鎖」で囲んだ。

しかし、これらの行動についてのマスコミの扱いはきわめて小さなものだった。前面に出ていたのは「追悼」である。それは、3・11の意味とは、震災とそれに続く津波で、たくさんの人びとの命が失われたということのみであり、したがって、反原発デモなどせずに、「全国民」は静かに祈りを捧げる日であるべきだ、と黙示的に主張しているかのようにみえた(実際、運動の中でさえ、そのように主張する人びとは少数ではあれ現実に存在した)。もちろん、原発の事故から一年でもあるこの日を、反原発の日にさせないための政治的な意志がそこに働いていたといえば言い過ぎだろう。そうではなく、多くの人の死という厳粛な事実を前にしてたじろがざるをえない当然の感情がこのように集約されたのであり、国家による「追悼」とはひとえに、それを政治的に組織することによって、国家の責任を解消させていくシステムであったと言わなければならない。

この、天皇も出席した政府による追悼式典の問題については、本紙「あにまる談義」や「皇室情報の解読」など別稿を見ていただきたいが、「病をおして」述べた天皇の「おことば」が、野田首相の式辞などと比べて踏み込んだ内容を持っていたことにもあらわれているように、象徴天皇制の政治的機能が、きわめて高度に発揮されたイベントであったことだけは間違いない。私たちは、引き続き、この式典がつくりだした政治的な意味、そして、そこで天皇制が果たした役割を批判していかなければならない。
ところで、国家的レベルで行われる儀式としての「追悼」が、社会的に過剰な「同調圧力」をもたらしたとすれば、それを戯画的な姿で表現したのが、街宣車の右翼たちだったろう。3・11のこの日、私たちもさまざまな右翼の罵声を浴び続けたが、彼らは「国民こぞって追悼すべき日に反原発のバカ騒ぎする反日極左」などとしきりにがなり立てていた。だが、そう言うなら自分たちこそ静かに家に籠もって「追悼」すべきである。2時46分に彼らが何をしていたのか知らないが、死者を利用して運動叩きに使っているだけの彼らの本質が、明白に示されたエピソードではある。

しかし、ただそれを嗤っていればいいということでは、やはりすまない。毎号、同じようなことばかり書いているようで気が引けるが、この間の右翼の突出、そしてそれを理由とした警察の規制のひどさである。3・11の「原発推進・天皇出席の震災追悼式典やめろ集会実行委員会」のデモに対する街宣右翼の妨害もひどかった。しかし、3・18の「だからこそ、反戦を!」デモに対する右翼によるデモ襲撃は、この間の右翼の暴力行為の中でも、最も悪質なものの一つであったと言っていい。この集会は、反天連も呼びかけ団体の一つとして名を連ねていたが、デモでは靖国通りに並んだ十数台の街宣車が、歩道側・車道側からひっきりなしにデモ隊へ突入してきた。彼らは沿道から石のようなものや卵を投げつけ、宣伝カーの窓ガラスが割られた。3・18の実行委員会では、これらに対する抗議と、物損への支援のカンパを呼びかけている(ブログ参照)。ぜひ、ご協力下さい。

そして、反天皇制運動の実行委員会としては、今年も4・29反「昭和の日」行動を準備している。前日の28日には、昨年に続き反安保実行委員会と共催で講演集会を持つ。今年はサンフランシスコ条約発効から60年、沖縄の「復帰」40年にあたり、健康問題でどうなるのかわからないが、秋には天皇の沖縄訪問も予定されている。私たちとしては、4・28〜29を、日本の「植民地支配と日米安保を問う」ための連続行動としてとりくむつもりだ。これも詳細は、同封チラシを見てほしい。連日さまざまな行動が予定されている。われわれもその課題を共有しつつ、できるかぎり共に取り組んでいこう!

(北野誉)