いま問う「靖国問題」 2・11反「紀元節」行動開催! http://2014211.blogspot.jp/
今年も私たち反天皇制運動の実行委員会は、2・11反「紀元節」行動に取り組んだ。二〇〇六年以降中断されたままの、政府後援の奉祝式典は今年もおこなわれなかったが、安倍はこの日にメッセージを発表し、「国民一人一人が、わが国の今日の繁栄の礎を営々と築き上げたいにしえからの先人の努力に思いをはせ、さらなる国の発展を誓う、誠に意義深い日」「国際的な諸課題に対して積極的な役割を果たし、世界の平和と安定を実現していく『誇りある日本』としていくことが、先人からわれわれに託された使命」などと述べている。
そもそも二〇一二年の自民党の選挙公約において、「竹島の日」、「主権回復の日」と並んで、「建国記念の日」にも政府主催の式典を開催すると明記されていたのだ。安倍政権のもとで、今後、天皇主義と結合した国家イベントとしての「建国記念の日」が、現実化していく可能性もある。反天皇制運動の課題としての反「紀元節」の意味は、依然として大きい。
私たちは、この日、集会とデモをもった。実行委の名称にあるように、今年のテーマは「靖国問題」とした。昨年末、安倍首相は突如靖国を参拝している。それは、「政教分離違反」をあえて侵す点で改憲攻撃の一環であり、国家に命を捧げることは無条件で尊いとする国家主義的価値意識の賛美であり、なにより、今後生み出されるであろう戦争の死者を、国家的に顕彰していくという決意の表明である。「建国記念の日」や靖国参拝、「愛国心」、あるいは「天皇元首化」など、安倍の「復古主義」的姿勢は、ことあるごとに露出している。それはしかし、たんなる戦前回帰などではありえない。改憲と「グローバル派兵国家」づくりとむすびついたナショナリズム=国家主義の強化という、すぐれて現代的な攻撃なのだ。
一二〇人が参加してもたれた集会は、実行委からの基調提起に続き、菱木政晴さん(靖国合祀イヤですアジアネットワーク)の、「靖国問題入門 感謝と謝罪」と題した講演。「靖国問題」について、あらためて何が問題なのか、わかりやすくていねいなお話だった。要旨を掲載したのでみてほしい。
講演に続き、安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、日韓民衆連帯全国ネットワーク、三・一一追悼式典に抗議する実行委員会からのアピールを受けた。
終了後、高田馬場方面へのデモに出発。ここでひと言、以下の点について断っておきたい。ここ数年、日本キリスト教会館を出発する私たちのデモは、新大久保のなかにある公園で解散するというコースをとっていた。人の多さや、天皇制と差別・排外主義に反対する声があることを、ここで生活し暮らす多くの在日の人たちにも届けていきたいという思いがあったからだ。しかし、とくに昨年の2・11を前後して大久保の地で展開された、醜悪かつ犯罪的なレイシストたちの行動を思うと、私たちがこの地域をデモをすることは、必然的にレイシストを(カウンターと称して)この地域に招き寄せる結果となりかねない。いうまでもなく、権力が好んで描き出す「どっちもどっち」的な図式自体が不当であるし、そのようなレイシストの犯罪行為を許しているこの国と、警察権力の問題がこのような状況を生み出したことは明らかである。けれども現実問題として、たとえ少数であれ、かれらの登場が必至であるなら、そのような状況を生み出すことは避けるべきだと、デモコースの選定にあたって実行委では判断した。こうした状況を許してしまっている私たちの運動的な不十分さを痛感せざるをえない。
デモは、8・15反「靖国」行動などと比べると、街宣右翼や在特会系レイシストの姿は圧倒的に少なかった。そのぶん、道行く人に、私たちのアピールを、はっきりと届けることができたと思う(こういう、あたりまえのことができたと特記しなければならないのは、あたりまえではない)。
しかし、右翼の妨害が皆無だったわけではない。右翼街宣車ははるか遠くで止められていたようだが、少数の右翼の街頭からの罵声や、単発的な突入が繰り返された。猛烈な勢いで突っ込んできた右翼メンバーにより、デモの宣伝カーが襲撃され、フロントボディはへこみ、ヘッドライトが壊された(車の修理カンパもよびかけている(http://2014211.blogspot.jp/)ので、ぜひご協力をいただきたい)。
一方、警察による違法な写真撮影はひどいものだった。とくに、宣伝カーの前を、左右から長い棒のついたビデオを掲げて撮影するなど、その介入ぶりはエスカレートしている。違法撮影への抗議に対して、いつもは右翼の妨害を撮っているんだとうそぶく警察が、今回ははっきりと、デモが許可条件通りに歩いていないから(その採証をしている)という口ぶりだ。こうしたデモへの弾圧にたいしても、原則的に批判の声を上げていきたい。
反「紀元節」行動はこれで解散だが、同封の呼びかけにあるように4・27/4・29行動への準備が始まっている。こちらのほうへの参加・賛同も引き続きお願いします。
(実行委員会/北野誉)