2016/08/03

「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8.15 反「靖国」行動デモ


■「聖断神話」と「原爆神話」――
この二つの大嘘によって戦後が始まった。 

■この大嘘(神話)は、日本の侵略戦争・植民地支配における天皇制の責任と、無差別大量 殺戮という米国の戦争犯罪を隠蔽するためであった。そして、戦後の米国による核・軍事 力を背景とした世界支配戦略を可能にし、日本では、天皇制の象徴天皇制というかたちでの延命(戦争責任を取らない体制)を可能にした(それによって「靖国信仰」も延命させた)。 

■米大統領がヒロシマ訪問で謝罪しない、日本政府も謝罪を求めない――この歪んだありよ うも二つの大嘘に起因する。こんな戦後は一刻もはやく終わらせなければならない!  71 年前に時間を巻き戻し、天皇制の戦争責任を追及し、あるべき戦後の姿を作り直そう!

■二つの大嘘(神話)を撃つ、8.15 反「靖国」行動に是非参加を!

 
8・15反「靖国」行動デモ

[日時]  2016年8月15日(月) 14:30集合/16:00デモ出発

[集合場所] 在日本韓国YMCA 3階
(JR水道橋駅より徒歩9分、地下鉄神保町駅より徒歩7分)



主催 ●「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8.15 反「靖国」行動    http://2016815.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】 アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制 運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動評議会

2016/08/01

【反天連からのよびかけ】01 天皇制が主導する「Xデー状況」への反撃を開始しよう! ──天皇も皇族もやめろ、そして天皇制は廃止せよ!


天皇制が主導する「Xデー状況」への反撃を開始しよう!
──天皇も皇族もやめろ、そして天皇制は廃止せよ!

 2016年7月28日
反天皇制運動連絡会

 ●これは「自粛なきXデー」の始まりである

 7月13日、明仁天皇の「Xデー」状況がはじまった。しかもこれまで全く予想されなかったかたちで。
 天皇という地位についている人間の生物学的な死としての「Xデー」へのカウントダウンが始まったわけではない。しかし、天皇の「代替わり」にともなう、新たな天皇制像の演出としての「Xデー状況」は、すでに開始されたと見るべきだ。
 反天連は昭和天皇「Xデー」との大衆的な闘いに向けて1984年に結成された。昭和天皇の「Xデー」においては、病状報道から天皇の死にいたる時期の「自粛」と「弔意強制」が、列島全体を巻き込んだ社会現象となった。それは経済状況にも影響し、何よりもその「息苦しさ」への反発が、天皇制に対する批判的な感覚を広げた。このことはおそらく、天皇制を演出する側にとっても総括すべき点であったはずである。今回の、いわば「自粛なきXデー」状況の開始は、われわれにとっても、前回とは異なる反天皇制運動の展開を要求している。そのことを見すえながら、私たちは多くの人びととの共同の作業として、開始された「Xデー状況」に反撃する闘いを、さまざまなかたちで準備し開始することを呼びかける。

 ●天皇が事態を主導している

 われわれは、今回のそれがまず、天皇自身による「生前退位」の意向表明として始まったことに注目しなくてはならない。これはたんに年老いた明仁天皇が、現役を退きたいと希望しているといった話ではない。NHKによってそれが報じられてすぐに、宮内庁幹部や政府は「報じられた事実はない」「承知していない」と打ち消して見せたが、各メディアは事実としてそれを後追いで報じ、宮内庁もまたNHKへの抗議などはしていない。さらに、首相官邸では、限られた人間しか知らず、何を検討しているかについてさえ極秘のチームが、皇室典範改正に関する検討をすでに進めていたとされる。それをも飛び越えて、天皇の「意向」が唐突に明らかになったのは、明仁天皇自身そして徳仁や文仁らの強い意向がそこに働いていたからであると判断される。
 今回の件は、明仁天皇自身が、「次代」の新しい天皇制を演出する、その主導的な担い手の一人として立つという明確な意思を表明したということを意味する。摂政をおくのではなく、皇室典範の改正が必要な「生前退位」を、明確に希望したこと、それは象徴天皇制を、明仁天皇みずからが主人公となって、積極的に変革し再構築するという宣言なのである。


 ●「国民の天皇」の政治的行為

 「生前退位意向表明」は、昭和の天皇制とは段階を画した「国民の天皇」としての、明仁天皇制をしめくくるものである。
 その即位以来、マスコミ等を通じて演出されてきた明仁天皇制の姿とは、アジアへの外交や沖縄訪問による戦争責任の和解に力を尽くし、国内外の戦跡で死者への祈りを捧げ、さまざまな自然災害の被災者を慰問するなどの「公務」を精力的に行なう、「常に国民とともに」ある明仁と美智子といったイメージであった。しかし、これら一見すると「非政治的」で平和的な、問題ともならないように見える天皇の行為は、現実にはすぐれて政治的な役割を果し続けている。
 たとえば、アジア訪問などにおける天皇の発言は、実質的に天皇制国家の責任も日本軍の責任もなにひとつとらず、ただ口先でだけ「謝罪」のことばを発して終わったことにしようとする日本国家と基本的に同じものである。それがたんなる「口先」ととらえられないのは、「国民統合の象徴」とされる地位に立つ者のことばであり、マスメディアが絶対敬語で無条件に賛美することばであり、ある人たちにとっては侵略戦争の責任者であった昭和天皇の息子のことばであるからだ。国家の儀礼を受け持つのが天皇の役割だが、それは天皇であるからこそ、他の国家機関ではなしえない何ものかを有するものとして演出される。しかし、繰り返すが天皇は国家の機関である。だから天皇のことばを賛美することは、国家のことばを無条件で賛美することと同義である。天皇はそのようなかたちで政治的な役割を果しているのだ。


 ●天皇の「公務」の拡大は違憲だ

 年齢のせいで「公務」が十分果せなくなったという思いが、今回の「生前退位」の意向表明の背景にある、とマスメディアは報じている。明仁と美智子によってさまざまにおこなわれてきた天皇の「公務」を「誠実」に果していくこと。「生前退位」の意味することは、自らが体現してきたそういう象徴天皇制のあり方を、その権威も利用しつつ、明仁天皇から徳仁天皇へと意識的につないでいくことに違いない。それは、息子の妻の病いも含め「不安」の中にある次代の天皇制を、ソフトランディングさせていくという意図に貫かれている。
 だが、憲法で規定された「国事行為」以外の「公務」なるものは、そもそも違憲の行為である。かつて「統治権の総覧者」であった主権者天皇を、「国民主権」のもとでの象徴天皇に衣替えするにあたって、天皇の役割を法的に限定したのが憲法の天皇条項である。認められた「国事行為」以外に「公的行為」なる区分を立て、天皇の「公務」としてひとくくりにすることは、いわば天皇条項の「解釈改憲」にほかならない。そうやって勝手に「仕事」を増やしておいて、それを十分に行なえないから「退位」して代替わりが必要だなどと、「政治に関与しない」はずの天皇が言い出すことは、二重に違憲の、ふざけた言い草なのだ。個人的な事情で国家の制度の変更を迫る。ここにあるのは、身体を有する特定家系の個人を国家の「象徴」とする制度自体の矛盾である。
 今後、天皇の意思を「忖度」して皇室典範改正作業が本格化されていくであろう。すでに、退位後は「上皇」になるのか、今回限りの特例法で、などといった議論も始まっている。皇室制度を安泰にするための「女性宮家」の検討も再浮上するだろう。右派の抵抗も予想されるが、皇室典範の不合理な部分を、合理化しなければならないといった議論が、「陛下の意思」を背景に、「国民的」になされる場がつくりだされようとしている。
 問題なのは、そうした議論の中で、拡大されてきた天皇の「公務」自体の違憲性を、正面から問う言説がほとんど見られないことである。逆にそれを前提とし、それらをより積極的に行なうことが天皇の役割であると言うのである。
 私たち反天連の立場からすれば、体制としての戦後民主主義のなかに埋め込まれた象徴天皇制は、民衆の自己決定としての民主主義とは矛盾するシステムである。生まれによって、特別な身分が保障されるような制度はおかしい。私たちは天皇によって「象徴」され統合された「国民」であることを拒否する。膨大な経費と人員を使って、各地に移動するたびに、人権侵害をひきおこし、批判的な少数言論を抑圧する制度は迷惑である。そうであるからこそ、新たな天皇制の再編強化を意味する「生前退位意向表明」に私たちは注目せざるを得ないし、その違憲性を批判し、そこで具体的に生み出される天皇制の政治と言説に批判的に介入していく。
 天皇も皇族であることもやめよ。徳仁も即位するな。皇族という存在はいらない。そして天皇制自体は廃止されなければならない。

2016/07/29

「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ8・15反「靖国」行動


■「聖断神話」と「原爆神話」――この二つの大嘘によって戦後が始まった。
■この大嘘(神話)は、日本の侵略戦争・植民地支配における天皇制の責任と、無差別大量 殺戮という米国の戦争犯罪を隠蔽するためであった。そして、戦後の米国による核・軍事 力を背景とした世界支配戦略を可能にし、日本では、天皇制の象徴天皇制というかたちでの延命(戦争責任を取らない体制)を可能にした(それによって「靖国信仰」も延命させた)。
■米大統領がヒロシマ訪問で謝罪しない、日本政府も謝罪を求めない――この歪んだありよ うも二つの大嘘に起因する。こんな戦後は一刻もはやく終わらせなければならない!  71 年前に時間を巻き戻し、天皇制の戦争責任を追及し、あるべき戦後の姿を作り直そう!
■二つの大嘘(神話)を撃つ、8.15 反「靖国」行動に是非参加を!

 【前段討論集会】
「聖断」のウソ―天皇制の戦争責任を問う


講師●千本秀樹 さん(日本近現代史研究):「聖断」のウソ 天皇制の戦争責任を問う


[日時] 2016年7月30日(土) 17:45 開場/ 18:00 開始

[会場] 文京区民センター 2A 会議室(地下鉄春日・後楽園駅)

[資料代] 500 円


 8・15反「靖国」デモ

[日時]  2016年8月15日(月) 14:30集合/16:00デモ出発

 [集合場所] 在日本韓国YMCA 3階
(JR水道橋駅より徒歩9分、地下鉄神保町駅より徒歩7分)

主催 ●「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8.15 反「靖国」行動    http://2016815.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】 アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制 運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動評議会

2016/07/13

天皇行事の「海づくり大会」 はいらない! 海づくりは、海こわし7・18討論集会


天皇行事の「海づくり大会」はいらない!海づくりは、海こわし7・18討論集会

 天皇制翼賛体制を全国各地に作りだす3大天皇制行事の一つ『第36回全国豊かな海づくり大会~やまがた』が「森と川から 海へとつなぐ 生命のリレー」を大会テーマとして今年910日、11日に山形県で開催される。「海づくり大会」は、天皇が言葉を述べ(現在高齢により休止)、衆議院議長や山形県知事が「天皇・皇后の御臨席を仰ぎ……」と天皇を迎えた光栄を述べ、功績団体の表彰を中心とする式典行事(酒田市民会館)とわざわざ海に放流台をつくり天皇・皇后が「国民」手本として稚魚を放流する(鼠ヶ関・ねずがせき港/鶴岡市)イベントである。
山形「海づくり大会」は、「東日本大震災」、福島原発事故翌年の2012年に開催が決定されました。
開催意義は「明日のわが国漁業の振興と発展を図る」とあるが、漁業団体を天皇制のもとに組織するためのものである。そして今回の山形開催の意義の一つは「東北地方の元気再生 」として、大震災と原発事故による被害からの「復興」を目指す機会としている。福島原発事故は未だ現在進行中であり、汚染水放出による深刻な海洋汚染も続いている。安倍政権はその元凶であるにも関わらず、原発再稼働を強行している。「海づくり大会」開催はそれを隠蔽するための天皇行事である。
そもそも「海づくり大会」は、埋め立てや大規模開発、空港建設予定地、とりわけて原発予定地での開催が目立っているように、「豊かな海」の破壊を推進し、隠ぺいしてきたのである。
「海づくり大会」は、地球規模の環境破壊が深刻化した1981現天皇アキヒトが皇太子時代から開始され、即位後天皇行事に「格上げ」された、天皇アキヒトを平和と環境を守る天皇として押し出すために「全国植樹祭」と並ぶ重要な行事である。全国持ち回りで毎年開催され、1995年戦前の「海の記念日」を復活・制定した「海の日」とともに今日的な「海洋国家日本」にとっての重要な行事である。
山形「豊かな海づくり大会」は、2016年岩手「国体」、2018年福島「植樹祭」とつづく東北での天皇行事のさきがけであり、2020年東京オリンピックにむけて福島原発事故収束―福島切り捨てを演出するものとなる。同時に戦争国家化の中で行われる天皇制行事は、地域での天皇制翼賛体制を強化し、戦争する「国民」づくりを加速させるためにある。
今集会は山形現地で「海づくり大会」反対の闘いを準備している鈴木雄一さんと実行委の天野恵一さんによる問題提起を受けて討論したいと考える。ぜひ多くの皆さんの参加を。

日時:2016年718日(月・休)13時半~

場所:築地社会教育会館第1洋室

お話:「東北(支配)と水産業」(鈴木雄一・反戦反天ネット山形)

  「天皇行事の政治的意図」(天野恵一・「8・15反靖国行動実行委)
資料代:500

 主催●「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8・15反「靖国」行動 http://2016815.blogspot.jp/

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会


2016/06/26

【集会】第Ⅸ期から第Ⅹ期へ 反天連討論集会 どうなる!? どうする!? 天皇制と反天皇制運動

第Ⅸ期から第Ⅹ期へ 反天連討論集会
どうなる!? どうする!? 
天皇制と反天皇制運動

日時:2016年7月2日(土)14:00〜

場所:ピープルズ・プラン研究所 (東京都文京区関口1-44-3 信生堂ビル2F)

発言:
伊藤晃(近現代史研究)
井上森(立川自衛隊監視テント村)
天野恵一(反天皇制運動連絡会)

■反天連は、Xデーが予感される状況下、第Ⅹ期をスタートした。
■アキヒト・ミチコ天皇夫婦は、リベラル派をも味方につけるほどの強力な天皇制を作りあげてしまった。その一点だけをみても、私たちは、昭和天皇Xデーのころよりも困難な条件を沢山かかえ込んでいる。その困難な条件の分析、天皇制の現在を認識し共有する場をつくりたい。
■また、どのような状況でも、天皇制民主主義、天皇制平和主義に異を唱える人がいることを私たちは知っている。そういった人たちの声が力となるような運動を作り出したい。
■昭和天皇Xデーの経験と、それから約30年間の運動の蓄積をフル活用し、たえず変化(進化)してきた天皇制の現在への分析もしたい。また、新たに作り出されてきた運動ともつながっていきたい。
■というわけで、第Ⅹ期スタートにあたり、討論集会を開催する。ぜひご参加を!

主催:反天皇制運動連絡会・第Ⅹ期

2016/06/07

反天皇制運動連絡会 第10期への呼びかけと設立目標(2016年6月)



 第2期以降、3年ごとにいったん解散・再結成という区切りを設けながら、9期まで活動を重ねてきた私たち反天連は、いま第10期にむけてスタートしようとしている。反天連は、ヒロヒト「Xデー」状況との闘い、大衆的政治闘争としての反天皇制運動を目ざして、1984年に結成された。当時、中曽根首相が打ち出した「戦後政治の総決算」というスローガンや、「不沈空母発言」「靖国公式参拝」などに象徴されるような日米同盟の強化、新自由主義的・新国家主義的な政治志向のもとで、民衆統合支配の装置としての天皇制の「浮上」が、運動圏においても強く意識され始めていた。その後の反天皇制運動は、私たちもその一翼を担いつつ、89年のヒロヒト「Xデー」と新天皇の「即位・大嘗祭」反対運動の全国化・大衆化として、大きな広がりを作り出していった。
 それからすでに30年以上もの時間が過ぎた。非自民連立政権の成立や右派勢力の巻き返し、政権交代などのジグザグを経て、いまや、解釈改憲によって集団的自衛権行使を解禁し、違憲の安保法制を強行可決し、緊急事態条項をひとつの突破口として明文改憲をすすめようとする安倍政権によって、80年代以来の政治方向が完成させられようとしている。
 これにたいして、現在、国会前やさまざまな場所で、安倍政権の強権政治に対する人びとの声、立憲主義の蹂躙を許さない運動の大きなうねりが続いている。しかし、そこに「反天皇制」ということばが占める余地は、ほとんど無に等しいかのようだ。そこには、私たち自身の主体的力量といった問題以上に、「Xデー」以後の天皇制、すなわち「アキヒト・ミチコ天皇制」というものの性格が反映しているといわなければならないだろう。
 戦後天皇制は、一貫して非政治的、平和主義的なものであるというイメージでとらえられてきた。それは、天皇の「人格賛美」を日々繰り返すマスコミによって支えられ、総じて現実政治に関わらない、戦後民主主義体制に適合的な支配のシステムとして合意されてきた。とりわけアキヒト・ミチコは、ヒロヒト時代に十分果しえなかった「開かれた皇室」、戦争責任からクリーンであり、「皇室外交」にも積極的な「国際化時代の天皇制」として登場し、さらには海外を含めた戦争被害者の「慰霊」、原発事故や自然災害の被災地を精力的に回ることによって、「祈り」と「癒し」の担い手としての顔をも前面に出していった。「宗教的」とさえいえる「無私の祈り」に励んで見せることが、人びとの間に、天皇の権威を再組織していることを無視することはできない。そういった意味において、私たちは、アキヒト・ミチコ天皇制は、象徴天皇制に期待される役割を果すことにかなり成功しており、その「国民統合」のあり方は「象徴天皇制の完成形態」であるとさえ考えている。
 そのことは、現在、安倍政権に批判的な人びとの中から、アキヒト・ミチコを「リベラル」であり平和憲法秩序を大切にしていると評価し、それと比較して安倍を批判するというロジックが繰り返し登場していることにも現われているだろう。天皇主義者である安倍を、実は天皇も批判していると言いたいのかもしれないが、それは政治的に演出された天皇の「無垢性」に依拠しつつ、その権威を前提とする議論でしかない。
 私たちはまず第一に、国家の政治的なシステムとして天皇制を考える。
 3年前、第9期の開始にあたって私たちは、「国家の機構でありながら、それとは独立して超然と存在しているかのようにふるまう象徴天皇制は、そのふるまいにおいて、文化的・平和的な場面における民衆統合の装置であり続けるだろう。……それゆえに私たちは、運動の中においてさえ繰り返し登場する『リベラルな天皇への期待』なるものをも批判していかなければならない。そしてそれは、多くは8・15、さらには3・11などに象徴される『追悼の政治』の場面において発動される天皇制の批判ともなるだろう」。そして、第二次安倍政権の登場が「右翼的・神権主義的な天皇制の強化に繋がると考えるべきではない」と主張した(「第9期への呼びかけ」2013年3月)。
 それより以前、民主党政権の時代にも私たちは、むしろ「ソフト・イメージの〈アキヒト─ミチコ〉天皇制は……民主党政権の方にマッチしている。こちらの方こそ、私たち反天皇制運動の正面の敵ともいえよう」とも主張していた(「第8期への呼びかけ」2009年12月)。戦後象徴天皇制は、アメリカの占領体制のもとに、サンフランシスコ体制=日米安保体制を軸として作りだされた戦後日本の構造の一部にほかならない。「国民統合の象徴」として戦後憲法に制度化された象徴天皇制にとって、戦後憲法体制に適合的な民主党政治のほうが、天皇制のあり方をも含めて変えていこうとしている自民党の改憲政治よりも、当然にも戦後憲法下の天皇像を積極的に演じてきたアキヒト・ミチコにとって「意に沿う」ものであっただろうという判断もあった。民主党の凋落と自民党の再登場によって、天皇制の権威化が予想されるが、本質的には政権政党の「政治利用の対象」としての天皇という役割は変わらないであろう。「天皇元首化」を掲げた自民党の改憲草案においても、天皇は依然として「象徴」であるように、けっして「統治権の総覧者」としての天皇制の復活を志向するものではありえない。
 象徴天皇の役割は、さまざまな国家的儀礼において「国民統合の象徴」という役割を担うことであり、国家の行為を権威づけ正統化し、「国民」の幻想的共同性を担保することである。天皇家や皇族の人間に対する無条件の絶対敬語と人格賛美は、そのまま統合された国民によって成り立つ国家の無条件の賛美にほかならない。それはまた、皇室の「私事」とされる「皇室祭祀」の祭主であることとも連動して、日本の文化・伝統の体現者ともみなされることになる。
 私たちは、第10期を、「次」の「Xデー」状況の開始を見すえつつ、このようなアキヒト・ミチコ天皇制の現段階をこちら側から「総括」し、国家・社会の再編にともなう天皇制の再編=再定義の方向性をとらえ、その中から、天皇制の生み出す「現実」に対する批判と行動を持続していきたいと考える。
 私たちがなすべきことは、天皇制廃絶を一般的にスローガンとして語ることではありえないし、「国民運動」における天皇批判の不在を嘆くことでもない。私たちの運動は、「慰霊」や「皇室外交」における戦争責任・植民地責任の隠ぺい、天皇の移動などにともなって常に起こる人権侵害や治安弾圧、「日の丸・君が代」強制、世襲の特権的身分制度にともなう差別、靖国問題や国家の宗教性、ナショナリズムと排外主義の問題など、天皇制に関わって具体的に日々起きている事象との具体的な対決をおいてほかにない。それらは、反「Xデー」闘争以来の闘いを通じて、私たちも含めた反天皇制運動がつかみ取った「運動としての民主主義」に関わる課題であり、したがってそれは、さまざまな運動とのつながりと相互の協力関係なしにはなしえない。
 一人でも多くの方の参加、協力、支援をお願いします。(反天連事務局)

【設立目標】
(1)予想される明仁天皇「Xデー」および「Xデー」状況との闘いを準備する。
(2)「全国戦没者追悼式」や「震災追悼式」をはじめとする、マス・メディアに支えられた国家による追悼儀礼、天皇出席の国体・植樹祭・海づくり大会などの天皇儀礼、「皇室外交」や「昭和」の賛美などと持続的に対決する大衆的な反天皇制運動をつくる。
(3)「天皇元首化」や「日の丸・君が代」を明記し、立憲主義を否定する国家主義的な改憲策動と対決する。
(4)原発推進、「日米同盟」の強化、「恒常的派兵」国家化などに向かう日本政府の動きと対決し、各地の反原発・反安保・反基地運動と「連帯」しうる反天皇制運動をつくる。
(5)天皇制国家の植民地支配責任、戦争・戦後責任、「領土ナショナリズム」や差別・排外主義を撃つ闘い、治安弾圧、「日の丸・君が代」強制、オリンピックをはじめとする排除と統合のナショナルイベント、天皇制の安定継承のための皇室典範「改正」、教育の国家による統制などに抗する運動などとの豊かなネットワークづくりと、他のテーマの運動との有機的連携を作りだす運動のメディアの強化。
(6)80年代からの反天皇制運動の歴史的な体験を思想的に対象化する作業の持続。

【運営の申し合わせ】
(1)基本方針は、定例(週1回が原則)の事務局会議で決め、会員全体に提起する。事務局会議は月1回は拡大事務局会議(会員に開かれた会議)とする。
(2)事務局メンバーの推薦と本人の自発的意志があれば、誰でも事務局員あるいは「事務局協力者」(コンスタントに事務局会議には出られなくても「協力」の意志のあるメンバー)になれる。ただし、政治党派のメンバーは遠慮していただく。
(3)会員とは、主旨に賛同し、会費を納めた者である。「ニュース購読会員」(年間4000円)とより積極的な「協力会員」(年間7000円)の二種類がある。
(4)ニュースは原則として月1回発行で、購読料は年間4000円とする。
(5)会は、大衆運動の原則にしたがって運営する。
(6)期間はとりあえず3年間とする。

反天皇制運動Alert 0号[通巻382号]

反天連は3年ごとにいったん解散、そして再結成という区切りで活動してきました。
今号から第Ⅹ期が始まります。新しいニュースのタイトルはAIertです。

 反天皇制運動 Alert(アラート) 0号[通巻382号]
2016年6月7日発行 
 [目次]
第Ⅹ期反天皇制運動連絡会への呼びかけ
野次馬日誌
集会の真相(講演会「心は支配されたくない」)
集会情報
神田川
 

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